No.1137436

精鋭なる横須賀艦隊

戸川さん

提督の着任

艦娘の口癖や提督の呼び方が曖昧だったり、分からない艦娘がいるので間違っていてもご容赦ください

2024-01-26 02:46:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:171   閲覧ユーザー数:171

 

大本営海軍部

 

ここに1人の男がやってきた。

 

「ここに来るのも久しぶりだな。」

 

そう言いながら大本営の門を潜りある部屋に向かって歩いていく。ある一室で初老の男が忙しそうに書類の山を片付けていた。また、その横では男が終わらせた書類を内容ごとにファイルにまとめて整理しているクールな女性の姿。長門型戦艦1番艦「長門」。彼女は長年に渡って司令長官の秘書艦を務め事務作業を素早くこなすベテランの艦娘である。司令長官、永田修一の艦娘達の中でもリーダ的な存在である。

 

 

コンコン

 

ドアがノックされた瞬間、2人して頭が痛くなった気がした。また面倒事が舞い込んでくるのかと。一息吐いてから永田司令長官が声をあげる。

 

「どうぞ」

 

返事と共に来訪者を待つ。一体何者なのか?

 

「失礼します」

 

短い返事と共に入ってきたのは永田司令長官が面倒を見てきた息子のような存在。かつて共に戦い、今は亡き親友に託された彼の忘れ形見である戸村泰治郎がやってきた。

 

「戸村泰治郎、永田司令長官の出頭要請により参上致しました」

 

「泰治郎。見ての通り今は儂と長門しかおらん。普段通りにしなさい」

 

「分かった。それより、実質予備役になってる俺を呼び出すなんて、なにかあったのか?」

 

「泰治郎。お前に頼みたい事があるだ」

 

「頼みたい事?予備役の俺に頼みとは?」

 

「うむ、実は横須賀鎮守府の提督だった野間口大将が退役された」

 

「それと、今回俺を呼び出した件がどう関わってくるんですか?」

 

「後任を決める際に他の大将達が君を推薦したのと野間口大将も後任が君なら安心できると言われてね」

 

泰治郎は、永田司令長官の話を聞き話が見えてきた

 

「つまり、俺に提督として復帰して欲しいと?」

 

「その通りだよ。かつて提督として艦娘達を率いていたお前に横須賀を任せたい。艦娘達からしたわれているお前に第一線に復帰して貰いたいのだ」

 

「おやっさん。そうは言っても、俺より適任がいるんじゃないか?俺の同期の西村や秋山、村田、逸見に藤原。あいつらだって各地の基地や泊地で戦果を上げてるなら、予備役の俺よりも全然良いと思うが」

 

「確かに。そっちの方が手続きとかも楽で良いが、大将達の他にもある人物達がお前に任せるべきだと言ってるんだ」

 

「誰だ?」

 

「この前、閣僚の不祥事によって政権が変わっただろ?」

 

「あぁ。確か、豊永政権が倒れて永山政権に変わったな」

 

「その通りだ。その政権で新たに閣僚入りした中村外務大臣、赤羽経済産業大臣、烏丸防衛大臣がお前を推しているだ。それに君の同期達も君の提督復帰を望んでいる。この戦争を一日でも早く終わらせる為に再び指揮を執ってくれないか戸村泰治郎提督」

 

「おやっさん、頭を上げてくれ。また、病床に伏せる事になるか分からないが横須賀鎮守府提督の任、引き受けよう」

 

「そうか。戸村泰治郎。貴官をこれより横須賀鎮守府の提督の着任を命ずる。己の職務を全うせよ」

 

「はっ!」

 

泰治郎は横須賀に向かった。

 

 

横須賀鎮守府正門

 

思いたったが吉日とばかりにお気に入りの車に乗って走る事約2時間。目の前に横須賀鎮守府が見えて来た。車から降りると1人の女の子がこちらに近づいてきた。

 

「あなたが、本日着任される提督でしょうか?初めまして。私は軽巡洋艦の大淀です。よろしくお願いします。提督」

 

「お、出迎えありがとうな。大淀」

 

笑顔で振り向いた先にいた大淀と名乗る艦娘。

 

「今日から世話になるぞ」

 

「はい。食堂に今所属してる人達は集めてあります」

 

「そうか。なら大淀、食堂まで案内よろしくな」

 

「え、あっ、はい。こちらです」

 

そう言い大淀の案内のもと食堂へ向かった

 

食堂

食堂のドアが開かれた瞬間、その場にいた全員が泰治郎の方を向いた

 

「お、間宮がいるのか。それはラッキーだ」

 

「皆さん、注目してください」

 

大淀が声をかけると全員が泰治郎に注目した

 

「皆さん、こちらが本日付けで着任される提督です。提督、自己紹介をお願いします」

 

大淀からマイクを渡されると泰治郎は挨拶を始めた

 

「俺が本日付けでこの横須賀鎮守府の提督になった戸村泰治郎だ。階級は少将で俺は1度ある事が原因で提督を引退しているから少しブランクがあるせいで皆にも迷惑をかけるかもしれないが、よろしく頼む。それと大淀と鳥海には秘書艦の任務を与えるから執務室に来て欲しい」

 

挨拶を終えた泰治郎は大淀と鳥海を連れて執務室に入ると気になる事を聞いた

 

「さて、大淀。食堂には本当に全員を集めたのか?」

 

「もちろんです」

 

「・・・そうか」

 

「司令官さん。何か気になる点でもありましたか?」

 

「いや、横須賀は国防の最重要拠点のはずなんだが、やけに艦娘が少ないと思ってな」

 

泰治郎がそう言うと2人は俯き話始めた

 

「1ヶ月程前に第二次レイテ沖海戦『捷二号作戦』が実施されたのはご存知ですか?」

 

「ああ、噂程度には聞いていた。なんでも各基地、泊地、鎮守府の総力をあげた総力戦だったとか」

 

「その通りです。そしてこの横須賀も・・・例外無く総力戦でした」

 

ここまでで泰治郎は話の展開と野間口大将が退役した理由を察した

 

「私達横須賀艦隊は先陣として多大なる犠牲を出しながらも目標を攻略しました。しかし、引き換えに生き残れたのは扶桑さん、翔鶴さん、瑞鶴さん、最上さん、摩耶さん、鳥海さん、那智さん、神通さん、名取さん、北上さん、大井さん、阿武隈さん、五十鈴さん、夕立ちゃん、雪風ちゃん、時雨ちゃん、村雨ちゃん、如月ちゃん、卯月ちゃん、皐月ちゃん、響ちゃん、電ちゃん、潮ちゃん、朧ちゃん、漣ちゃんのみです先の作戦で曙さんは当たりどこが悪かったのか人間の子供と同じようになってしまいました」

 

「その結果を受けて先任の野間口大将は退役を決意されました」

 

「・・・そうか。大淀、鳥海」

 

「「はい!」」

 

「明日からしばらくは近海の警備と遠征に留め戦力の拡充を最優先としてくれ」

 

「分かりました」

 

大淀と鳥海が執務室を出ていったのを確認した泰治郎は窓から太陽によって輝く海を見つめた。今、戸村提督と後に日本海軍一の精鋭艦隊と呼ばれる彼女達の戦いが始まった

 

 
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