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DESTINY OR FATE-運命の輪-第十五話第十六話

ブログにてDESTINY OR FATE-運命の輪 最終回をアップしました。

フルムーンと申します。 オリジナルの小説(漫画小説)をブログにて公開してます。 小説と、挿し絵 (漫画)を投稿いたします。今後はラブストーリーや様々なジャンルを創作していきますので、ぜひ、見にきてくださいね(*^^*)
ブログでは一番早く新作をアップします。↓↓

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2024-01-14 13:08:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:165   閲覧ユーザー数:165

双子の捜索に難航するハインは、日々憤りを募らせていた。一刻も早く、ヒエンを奪還しなければ.....そう思うほどに、成果のない報が届くたびに権力基盤を盤石に固めること、それを第一の信条に据えてきた彼だったが、全てが空虚感に覆いつくされていくばかりであった。

 

「とにかく、何が何でもヒエンを取り戻せ!! 何より........ヒエンがいなければ何の意味もない。」

 

一方満天の星がまたたくその下に、木々の葉を揺らす涼しい夜風にヒエンは一人吹かれていた。泣きはらしたその瞳からあふれる涙を、夜風は優しくぬぐってくれた。

 

「ヒエン大丈夫か? ずいぶん.......悲しい思いをしたね...........。」

 

どこからともなく死神の声が響き渡った。

 

第十六話

 

清涼な夜風の吹き渡る澄み渡った夜、ヒエンの前に黒いモヤが現れて、その中から死神が姿を現した。実は彼も陰ながら、双子の兄妹を見守っているのだ。

 

「.........死神さん、私とお兄ちゃんは決して結ばれないし天国にも行けない...........。周囲はそれを許してはくれない、ましてお兄ちゃんも動いてくれない..........。だって私が昔、その対価を受け入れて、死神さんにお兄ちゃんを助けてもらったもんね。だから仕方ない、仕方ないのだけれでも...........だけど辛くて、悲しくて仕方ないの......。」

 

ヒエンは死神に胸の内を力なく打ち明けた。彼は彼女に永遠の時間の中で孤独に、それも理由も知らず死者の魂を狩るだけの、虚無な自分自身の深い闇を見た。

 

「お願い死神さん、無理かもしれない、でも願わずにはいられないの! もしかつてのように....また対価が必要ならそれを受け入れる...........。もし叶うのなら私を、この世のすべての苦しみから解き放って、お兄ちゃんが私を愛してくれないのなら、共にいられないならせめて...、苦しみも悲しみも、辛いことを一切思い出さず、お兄ちゃんのことだけを愛することができる、そんな世界へ連れて行って。」

 

昔瀕死の兄を助けるために受け入れた対価、そのために決して愛する兄と結ばれないことを、どうしてもそれに抗えないことを、ヒエンは改めて思い知らされた。そんな絶望の淵からの、せめてもの願いを死神に嘆願したのだった。

 


 
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