仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編 第4章
華琳が凪達を配下に加えて一週間弱になる。その間に黄巾党はかなりの戦力や部隊となり今のだめな官軍はもちろんのことだが華琳の軍も苦戦を強いられるようになっていった。
とある日、一刀と凪が情報収集のため、徒歩で行動していた。
「凪、大丈夫か? 昨日、南から帰ってきたばかりだろ?」
凪は昨日まで黄巾党に苦戦していた官軍を春蘭と季衣と共に軍を率いて助けに行き、帰ってきたばかりなのだ。
「大丈夫です。鍛えてますから」
「そうか……、鍛えてるんならこれしないとな、シュッ!」
一刀は手を自分の顔の上にやり何やら親指を立て、人指し指と中指をわずかに曲げ、薬指と小指を完全に曲げる。
「隊長、それは?」
「鍛えてますよって言う返事みたいなもんかな。人の真似だから詳しいことはわからないけど」
この動きは一刀が見たある仮面ライダーの主人公の癖みたいなものである。
「そうですか、シュッ」
「そうそう、そんな感じ」
一刀が凪にちょっとした指導をする。
そしてそうこうして歩いていると突然凪が戦闘体制に入る。
「敵か!」
「はい!」
一刀もすぐにバックルにカードを入れ、ベルトを作る。
「変身!」
「ターンアップ」
オリハルコンエレメントを通り抜け、ブレイドに変身。凪と共に襲ってきた敵を撃退した。
襲ってきた敵を調べると敵は何やら手紙を持っていた。その敵部隊は連絡兵、しかも今まで見たことないしっかりした連絡法を持っていた部隊だった。
そして一刀達は急いで戻り、その連絡の書を華琳達に渡し、偵察部隊との検証により敵の本隊が判明した。
「ということは張角も居るってことでいいのか?」
一刀の質問に秋蘭が答える。
「ああ、張三姉妹の三人が揃っているとの報告も入ってる」
「間違いないのね?」
「何というか……三人の歌を全員が取り囲んで聞いていて、異様な雰囲気を漂わせていたとか」
「何かの儀式?」
「詳細は不明です。連中の士気高揚の儀式ではないかというのが、偵察に行った兵の見解ですが」
「ライブを聞いてるのか…」
「らいぶ?」
聞いたことない言葉に春蘭が一刀に聞く。
「大人数で歌い手の歌を聴く集会みたいなもん。俺の居た世界じゃ千や万人の単位のものもある」
「良く分からんな。号令や銅鑼ならともかく…歌声などまともには聞こえんだろう」
「確かにな……(だがこの世界ならマイクがあるのかもしれんな、ここにはないだけで……)」
「で、それは何をする集まりなの? 宗教儀式?」
華琳が一刀に尋ねる。
「基本は娯楽だ。ただ今回の場合は士気高揚にもなってるだろうな」
華琳達はすぐさま準備をし、張角達がいるとされる本拠地に向かう。
そこでは黄巾党の人数が増えすぎて色々問題を起こしていたようであった。
「荒れてるようね」
「ま、ある程度はやりやすいだろ。で、張三姉妹はどうするんだ?」
「生け捕りね、話を聞いてみたいしね……」
華琳はすぐに全軍に命令、華琳の軍は黄巾党殲滅に向けて動いた。
黄巾党の数は華琳達の兵よりも多かったが、敵は戦闘前から多少の混乱を起こしており指揮があまり取れておらずその隙をうまくつき華琳達は勝利を収めたが、肝心の張三姉妹には逃げられていた。
「この辺りまで来れば…平気かな」
次女、張宝(真名は地和)が敵が来てないか見てみる。
「もう声もだいぶ小さくなってしねー。…でもみんなには悪いことしちゃったかなぁ?」
長女であり首領とされる張角(真名は天和)がそばにはいない黄巾党兵ならぬ自分達のファンに申し訳なさそうに言う。
「難しい所だけれど…正直、ここまでのものになるとは思っていなかったし、潮時でしょうね」
三女の張梁(真名は人和)が冷静に言う。
「けど、これでわたし達も自由のみよっ! ご飯もお風呂も入り放題よねっ!」
「お金ないけどね」
「う……」
「そんなものはまた稼げばいいのよねー」
「そう……そうよ! また三人で旅をして、楽しく歌って過ごしましょうよ!」
「今度こそ大陸で一番の…」
「そうよ! 今度こそ歌で大陸の一番に……!」
「大陸の一番が何だって?」
張三姉妹の後ろにはいつの間にかブルースペイダーにまたがってブレイドに変身している一刀がいた。
「こんなところまで!」
「あれ? 何か見たことある顔のような……」
一刀は張三姉妹の顔をどこかで見たことあるようで少し考え込んでしまう。
「どうしよう…もう護衛の人達もいないよー?」
「まだあんな事やこんな事もしてないのにー!」
「大丈夫だって、おとなしく付いて来れば悪いようにはしないよ。約束するぜ!」
一刀は親指を思いっきり立てて断言する。しかし張梁は信用してるようには見えなかった。
「付いて行かなかったら?」
「地獄の果てまで追っかけてあげるよ!」
「ちぃ達、地獄に行くの!?」
「いや、例えだから……」
一刀達がボケとツッコミをしているうちに黄巾党兵が何人かやって来た。
「張角様、大丈夫ですか?」
「貴様、俺の張宝ちゃんになにを!?」
「……なるほど、行き過ぎたファンだったのか」
一刀は黄巾党兵達の反応で、黄巾党兵は張三姉妹の過激過ぎるファンだと悟った。
「悪いが過激なのはサッカーだけにしてもらいたいね!」
そう言うと、一刀やって来た兵達を素手で倒した。
その様子を見て、張梁達は諦めを見せた。
「諦めましょう、姉さん。あんなのに当たったら無事では済まないわ。…いきなり殺したりはしないのよね?」
一刀は変身を解いて元の姿に戻って言う。
「もしそんなことになったら俺が助けてやるよ」
こうして張三姉妹は一刀と共に華琳のいる本陣へと向かった。
「あなた達が張三姉妹?」
「そうよ、悪い!」
「季衣、間違いない?」
華琳が季衣に確認を取る。
「はい。ボクが見たのと同じ人達だと思います」
その事を聞いた張角が反応する。
「あ、わたし達の歌、聞いてくれたんだねー。どうだったー?」
(歌……)
「すっごく上手だったよ!」
「ほんと!? ありがとー♪」
季衣の答えに張角は心の中からうれしそうである。そしてようやく一刀は思い出した!
「ああ、思い出した!」
「どうしたの、一刀?」
「この子達前に陳留の視察で見た旅芸人だよ。覚えてない?」
「そう言えば……、言われてみるとそうかも……」
一刀の言葉でようやく華琳も思い出した。
「しかし何でこんなことになったんだ? 前までそんな力はなかったように見えるけど……」
「色々あったのよ」
「いや、その色々を聞きたいんだけどね……」
「話したら斬る気でしょう! わたし達に討伐の命令が下ってるんだって、知ってるんだから!」
張宝の言葉はもっともであるが、華琳は呆れたように言う。
「それは話を聞いてから決めることよ。それから、ひとつ誤解をしているようだけれど…」
「何よ?」
「あなた達の正体を知っているのは、おそらく私達だけだわ」
「へ?」
張宝はあぜんとする。
「そうよね、桂花」
「はい。あなた達ここ最近、私達の領を出ていなかったでしょう」
「それは、あれだけ周りの捜索や国境の警備が厳しくなったら…出て行きたくてもいけないでしょう」
「ですから現状、首魁の張角の名前こそ知られていますが…他の諸侯達の間でも、張角の正体は不明のままです」
「どういうこと?」
「誰を尋問しても、張三姉妹の正体を口にしなかったからよ。大した人気じゃない」
「そんな……!」
その言葉に張三姉妹は驚きを隠しきれなかった。
「それに、この騒ぎに便乗した盗賊や山賊は、そもそも張角の正体を知らないもの」
「そいつらのでたらめな証言が混乱に拍車をかけてね…、今の張角の想像図は…桂花」
「これよ」
その絵には身長が三メートルあるだろうひげもじゃの大男の絵だった。
しかも腕が八本、足が五本、おまけに角と尻尾まである。
(アンデットでもそんなのいないよな……)
一刀はその絵で苦笑いを見せる。
「で、結局は何が言いたいの?」
「黙ってあげてもいい、と言ってるのよ」
「どういうこと?」
華琳は三姉妹の持つ人を集める能力に目をつけたのだ。
華琳はとりあえずは自分の領土内なら自由に動いてもよく、歌もいいし、活動資金も提供するという条件で三人を取り入ろうとするのだ。
張梁はそれに承諾、張宝も嫌々だが承諾、張角は難しいと言って流れに任せて承諾した。
ちなみに張角の反応を見て、秋蘭は思わず春蘭を見る。
「どうした秋蘭。なぜ私を見る」
「(気持ちはよく分かるぞ、秋蘭)春蘭、そういう場合はナズェミデルンディス!!っだ」
「?」
そんなやり取りもあったが、とりあえず本題へと戻る。
「ちぃ姉さん。もともと選択肢なんか無いのよ。ここで断れば、私達はこの場で殺されるわ」
「むぅ……」
「生かしてくれる上に、自由に活動するための資金までくれて、自由に歌っていいなんて…正直、破格の条件だと、私は思う」
それでも張宝は納得したががった。それは華琳の領地までということであったが、張梁が華琳が領地を広げれば自分達の活動範囲も必然的に広くなるということだ。
それでようやく張宝も納得した。張角もよくわかってないまま納得した。
(これが黄巾党の長ね……)
一刀は改めて自分の世界の歴史とこの世界の歴史との違いを実感し、心の中であることを考えようと決めた。
「今度こそ、あの太平なんとかって本が無くても、大陸の一番を獲ってみせるわよ!」
「ウェ!?」
張宝の言葉にいち早く一刀が反応し、思わずオンドゥル語で驚く。
「ちょっと待ちなさい」
華琳も張宝の言葉に反応した。
「何?」
「今、太平なんとかって…」
「太平要術?」
「あなた達、それをどうしたの!」
華琳が懸命に三人を問い詰める。
「んー。応援してくれてるって人に貰ったんだけどー。逃げてくるときに、置いてきたの」
「そう…」
華琳はすぐに書が置いてあるとされる陣を焼き払うように命令を出し、そして黄巾の乱は終結した。
帰ってきてすぐに会議が開かれた。それは当初は予定されておらず、華琳も皆もゆっくりするつもりだった。
なぜそうなったのかというと都から使者が来たからなのである。
「すまんな。皆疲れとるのに集めたりして。すぐ済ますから、堪忍してな」
(また関西弁か)
「あなたが何進将軍の名代?」
華琳が真桜とは別の関西弁で話す女性に尋ねる。
「や、ウチやない。ウチは名代の副官や」
「なんだ、将軍直々ではないのか」
春蘭の答えに女性は何かを思い出したかのように呆れた物言いをする。
「あいつが外に出るわけないやろ。クソ十常侍どもの牽制で忙しいんやから」
(十常侍か…。この世界でも十常侍は悪党みたいだな)
「呂布様のおなりですぞー!」
小さい少女が呂布の名を口にする。
(呂布だと!?)
一刀が呂布と呼ばれる赤い髪の少女を見る。
(ワーッサカアイツカ?(まさかあいつか?))
そう思った瞬間、ものすごいプレッシャーが一刀に襲い掛かる。
(ぐおっ!? なんてプレッシャーだ。これが呂布の力か……。しかしどことなく違和感があるな)
一刀は自分の知識にある呂布と目の前に居る呂布との比較を可能な限り頭でする。
(可愛いのは置いといてだ、違うのはやる気というか穏やかな雰囲気をあの子が持ってることだ。
俺の世界の歴史の呂布ならそんなの持ってないだろうしな……。
だが相手が呂布ならこの後の事を考えると戦うことになるだろうな。
十常侍って名前が出た以上、あの戦いは起こるだろう。もし呂布と戦うことになったら今の俺じゃ勝てないな。
ブレイドと言ってもある程度限界はある。下手すりゃキングフォームを使わないと無理だろうな。
だが俺にはアブソーバーがない……。ぎりぎりまでに見つけれればいいが……)
一刀が色々考えているうちにどうやら華琳の処遇が終わっていたようで、華琳は西園八校尉の一人に任命されたとのことであった。
そして用件を終えた呂布達は引き上げていき、夜になって一刀は一人考える。
(呂布に勝つためには……、可能な限りの特訓をするしかないだろうな)
一刀は夜空を見上げながら拳をこめて決意する。この時、一刀は気づいていなかった。
自分の死角の空では暗闇に舞う赤いカブトムシの存在に……。
おまけ
作者「仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編 第4章 いかがです?」
一刀「まあ省いているところが多かった気がするぜ」
作者「主人公はお前だ。お前がいなくて、原作と特に変更の無い所は書かないからな」
一刀「なるほど…、しかしお前、最後にバレしすぎてないか」
作者「いいんだよ。普通に仮面ライダーの最後でも2号とかの登場とか何かしらやってるときはあるんだしさ」
一刀「そうだけど…、あとサッカーに対する悪口を言ってないか?」
作者「いや、俺はサッカー自身悪いとは思わないよ。ただフーリガンってのを聞いてなんか暴れてるシーンをよく見るから、ああ言わせただけだよ」
一刀「いいのかな…」
作者「まあ不快に思った人がいるかもしれないから一応謝っておこう。ごめんなさい」
一刀「ところで次回はどうなるんだ?」
作者「次回は一気に虎牢関の戦いを描く、一刀と呂布の激突だ! 負けるな、ガンバライド!!」
一刀「違うこと言ってんじゃねえ!!」
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基本的には真・恋姫†無双の魏ルートの話ですが、もしも北郷一刀が仮面ライダーの力を手に入れたらという妄想から生まれました。
そして流れも基本的に原作のままですが、仮面ライダーの力があるためセリフや一刀の態度が違うところや話そのものが大きく違うところも出てきたりします。
そのためそんなの嫌だという方は閲覧をご遠慮願います。
先に言いますが一刀が手に入れる仮面ライダーの力は全部で3つです。何が出るかはお楽しみ。