プロローグ的な
「2次元の世界に行きてーなー!」
自室で今さっきやり終えたゲームを机の上にほっぽって、
大きく伸びをしながら、現実には絶対に起こらないような事を言ってみる。
「なーに言ってんだろか・・・」
自分の発言にツッコミを入れてみる。
『その願い叶えてあげようか?』
「はぁ?」
オイオイ、俺よ。
いくらなんでも幻聴が聞こえるようになっちまったら、お終いだぜ。
『じゃあ、準備はいい?』
「へっ?・・・うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
さっきと同じ声が聞こえたと思ったら、体がフワッと宙に浮く感じがして
俺はそのまま、落ちていった。
一話
ツンツン
「ううっ」
ツンツンツン
「ちょwやめww」
ツンツンツンツン
「ん~何だってんだよー・・・」
誰かに頭を突かれて、俺は重い瞼を開ける。
「・・・・・」
「・・・・・」
目の前にいたのは見知らぬ女の子。
いや、只の女の子じゃない。頭に耳を生やしているじゃないか。
俺は寝ぼけた思考で女の子の耳に手を伸ばし
「最近のコスプレはよくできてるなー」
フニフニと耳をさわる。
「ふにゃぁ!!?」
「手触りも本物みた・・・」
バリッ
「バリッ?」
目の前の女の子がまるで猫のように毛を逆立て、爪で俺の顔を引っ掻いていた。
「いっってぇぇぇぇぇ!!なにすんd・・・」
「フゥー!フゥー!」
威嚇しながら女の子は俺から距離をとって、すぐさま飛びかかってきた。
「やっ、ごめ、ちょと・・・アッーーーー!」
薄れいく意識の中で、周りの景色が自分の部屋じゃない事と、目の前の女の子が
初めて会った気がしない事を疑問に思いながら、その場に倒れた。
「んん・・・」
布団が、温い。
あれ・・・俺いつ布団で寝たっけか?
布団の中でモゾモゾと体を動かす。
「おぉ、目が覚めたか」
いきなり知らない声が頭上からする。
「誰!?」
おもわず布団から飛び出し声の主を確かめる。
そこにいたのは、耳の形をかたどった帽子をかぶり、沢山の尻尾がある人。
その姿は、まごうことなきあのゲームのキャラクター。
「藍・・・さま・・・?」
今、俺の目の前にいるのは間違いなく東方に出てくる八雲藍。
「む?私の名前を知っているのか」
彼女は自分の名前を言われたのを不思議に思っているのだろう、
首を傾げながらこちらを見つめている。
「藍様ー!お水汲んできましたー!」
藍様の後ろの襖が勢いよく開き、どこかで見た女の子。
そうだ、俺を引っ掻いてきた女の子だ。
今見れば分かる。
「橙か・・・」
「ふにゃ!?」
いきなり名前を言われたので驚いたのか、橙は両手に抱えた小さな桶に
入れた水をこぼしそうになっていた。
正直、訳の分らんない状況の筈なのに、頭がこんがらがっている訳でもなく、
むしろ俺は、落ちついていた。
・・・一応確認しておくか
「藍さん。ここは幻想郷で、俺が今いるここはマヨヒガですか?」
「うむ。そうだが、なぜそれを?」
「それは色々とあって・・・、紫さんにもこの件について話を聞いて欲しいので
お会いすることは出来ませんか?」
「お主・・・ほんとうに何者だ?」
切迫した空気を断ち切るように俺の後ろから声がした。
「大丈夫よ藍、その子は危険な輩じゃないわ」
振り向くと、スキマから上半身を出したこのマヨヒガの当主、八雲紫がいた。
「あなたの話を聞きましょう」
一話 幻想郷 ~マヨヒガ①~ 終わり
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主人公のたあいもない一言から始まる物語・・・らしい。
初投稿です。
おかしな言い回しとかあるかもしれませんが、
そこはご愛嬌という事で・・・。
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