No.112716

真なる世界へ 第1話

相変わらず直感で書いていますのでおかしな点がありますが・・・・ご了承ください;;

私の中では『四聖獣』は『四霊獣』とごちゃ混ぜになっていますが・・・・。
結論で『鳳凰』と『朱雀』は同じでは?
と考えるのをやめてしまいました(- -;)

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2009-12-17 14:02:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4181   閲覧ユーザー数:3494

真なる世界へ 第1話

 

 

 

「・・・・うぉぉぉぉ!?」

俺は今、堕ちていた。

「がーっはっは!!!」

「ふんぬうぅうぅぅぅぅぅぅ!!!!」

貂蝉と卑弥呼は悲鳴・・・というより雄叫びをあげて同じく堕ちていた。

「だ、大丈夫なのかぁぁぁぁ!?」

必死に舌を噛まないように二人に聞く。

ってか危ないだろ!?

「大丈夫よぉぉぉぉぉぉ!!」

「本当かよ!?」

あぁぁぁ・・・・ぶつかるっ!!

 

そうおもって目を瞑った瞬間、急にふっ、と重力の檻から解放された。

「・・・・なんだ、これ?」

恐る恐る目を開けるとうすく光る翼が生えていて、それが浮遊力を生みだし、落下を緩和していた。

「・・・・・」

無事着地すると羽根が消えた。

「なんだったんだ?」

「だから言ったじゃない、ご主人様の手助けをするって」

「・・・・この刀が・・・・」

腰に添えられた刀がなんだか頼もしく思えた。

 

「で、これからどうする?」

どうやって着地したかはスルーするとして、卑弥呼がそういった。

「そうねぇ・・・私たちは華陀ちゃんのトコロに戻るケド・・・ご主人様は?」

「・・・折角だけど、俺には確かめたい事があるから・・・・。」

「・・・そう。残念だけど、ここでお別れね」

「少し心残りだが、仕方がないか・・・。

 っと、オノコよ、名前を聞きそびれたわい」

「・・・俺は北郷一刀。

 じゃあな、貂蝉、卑弥呼。また逢おう。」

貂蝉と卑弥呼に別れを告る。

さて・・・今はどのところにいるか確かめなくては。

 

最初は南にいってみるかな・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・しまった」

別れてから数里歩いた先に着いたのは小さな城下町だった。

すこしお腹が空いたので食事でもとろうかとおもったんだが・・・。

「金がない・・・」

こっちの世界に通ずる硬貨を俺は持ち合わせていなかったのだ。

これでは飯にもありつけない・・・・。

「どーしたものか・・・・」

どうしたらいいか、と悩んでいると向こうから騒がしい声がした。

『黄巾党がでたぞーー!!』

 

その叫びでやはりか、とおもったた。

俺が最初に出会ったのも黄巾党だった。

因果というべきなのか・・・・。

まぁいい。 しかし・・・黄巾党、か。

群れをなして策もなしに突っ込んでくる烏合の衆。

「やるか・・・」

俺は喚き散らしている男に賊の居場所を聞き出した。

すると男は賊は目の前にいる、といった。

ありがとう、とだけ言い、男が指をさす方へと走り出した。

 

門を抜け、遠くを見やる。

すると黄色の牙門旗に「黄」の文字が書かれていた。

・・・まぁいつ見ても黄色い連中だこと。

そっと腰に下げた刀に手を添える。

――ここから、俺の戦いが始まるんだ・・・。

ふー、と腹に溜めた息を吐き、頭をクリアにしていく。

ざっと見た限りでは100人ちょっと。

昔の俺なら無理だったが・・・今の俺は違う。

今の俺は、守れる力を備えた俺だ。

たった今来たところでも、俺にとっては守る対象だ。

偽善者・・・とでも言われるかもしれないが、構わない。

彼らの生活を守るためにも、ここで守り切らねばならない。

「神星刀・・・力を貸してくれ」

『・・・・・』

俺の願いを聞いたのか、ぼうっと柄の先端が鈍く光る。

鞘から抜き、刀身をあらわにする。

神星刀の刀身は太陽の光を浴びて、より輝いていた。

「いくぞ・・・・」

神星刀片手に、俺は黄巾軍相手に、単騎で突っ込んでいった。

 

 

「・・・っ。 はぁぁ・・・・」

疲れた・・・・。

未だに殺しなれない俺は気絶程度で黄巾党を相手にしていた。

しかし疲れた、一人で100人・・・とまではいかないがその半分と戦っていた気がする。

とりあえず、この場に残るのはあまりよくないので、来た道を引き返した。

 

 

「・・・・・お?」

門を潜ればはたしてそこにあったのは・・・・。

街の人が諸手を挙げていた。

「よくやったぞ若人ー!!」とか「ニィちゃん強いなー!!」とか様々。

言われてふと気がつく。

この町に兵士が一人も見当たらない上に、若い人がいなかった。

そして・・・なにより。

県令が・・・統率者がいないことだ。

「あ・・・・あの・・・・・・」

俺がぼーっと立っていると裾を引っ張られた。

振り向けばそこに小さな女の子がいた。

エメラルド色のロングヘアーにコバルトブルーの瞳。田舎娘よろしく、白いワンピースを着ていた。

上から目線はよくない、俺はかがんで女の子と同じ視線で聞き返した。

「どうした?」

「・・・・えっ・・・と」

 

――聞けば、女の子はこの村の村長の孫娘なんだとか。

村長が俺を呼んでいるらしい・・・。

「こっち」、と言葉少なに先行する女の子の後を、称賛の声を背に浴びなが俺は追った。

 

たどり着くと、周りの家と大差ない大きさの家がたっていた。

中に入ると人の気がしない・・・。いや少しする。

気配を辿りながら女の子を見ると、こくん、と頷いき、また先を往く。

とりあえず、部屋まで案内してくれるそうだ。

 

案内された部屋へ入る・・・。

少し薄暗い部屋の中に上半身だけ起こした老人がいた。

「旅の人、こんな姿ですまなんだ」

開口一番に今にも消え入りそうな声で老人はそういった。

「お身体がわるいんですか?」

余りにも見ているのが痛々しくて俺は思わず返してしまう。

老人はゆっくりした動作で頷いた。

ふるふると震える手を自分の顔の前に持っていき手のひらを閉じたり開いたりを繰り返していた。

「儂も年じゃ・・・今じゃこの子の助けないじゃ満足に動けん・・・。

 もどかしいのう。こうして自分の手が目の前にあるのに意のままに動かせないなんて・・・」

そう言って老人・・・いや、村長は寂しそうに呟く。

「・・・して、私どもにご用が・・・?」

改めて要件を聞く。きっと何か頼まれるのだろうか・・・・。

「おお・・・・そうじゃった」

ごほん、と一つ咳ばらいをして、長老は改めてこちらを見据えた。

その眼には有無を言わせない威圧感があった。

「件のコト、真に助かった。 もし、行くあてがないなら旅人よ、頼みがある。

 後先のない老父の頼みじゃ、聞いてくれるとありがたい・・・・。

 この子を・・・空(くう)の義兄になってはくれまいか?」

そういって、老人の膝にのっている女の子――空の頭を愛しげに撫でた。

しかし・・・わからない。

「・・・見も知らぬ私に・・・どうして愛孫を預けるというのです?」

「・・・・ふむ、少し、昔話をしよう」

そういって、撫でる手を止め、窓の外に目をやった。

「この村に一人の女の子が生まれた。

 名は管賂・・・凄腕の占い師じゃ・・・。」

「・・・管賂・・・」

「その管賂は幼いながらも言いおった。

今より数年先、この街に輝く衣を纏いし青年現れ、乱世に平穏をもたらさん・・・・とな

儂は耳を疑ったよ。幼い管賂がまるで何者かにとり憑かれたかのように予言したからの。

少しの畏怖を抱えながらも儂はその予言を信じた。 ・・・・他の者は半信半疑だったが・・・。」

「・・・・・・」

「まぁ・・・つまるところ、管賂の予言は現実のなった。 今じゃ都に流れている『天の御遣い』とやらなんだろう」

「・・・仮に私が天の御遣い、だとしても、預ける理由が―――」

「・・・だからじゃ」

「―――え?」

「みての通り、この村には若いもんはおらんし、町を守る兵士もいない。

 奴等にとってはココは絶好の場所・・・土地は肥え、作物は豊富だからのう。

 諦めずしてやってくる。 ・・・お主が奴等を殺さずにいるのも時間のもんだいじゃろうて」

「・・・・気づいてたのですか・・・?」

「・・・ああ。こう見えても儂も兵士の端くれ、それにこの身体でも耳はきく方なんでな。

・・・響く鈍い音じゃ、峰か。・・・優しいんじゃな」

「・・・そんな。 『俺』は臆病なだけです。

人を、村を蹂躙し、貪り尽くし、負を生むだけの賊なのに・・・・斬るのが怖い・・・。この手が血に濡れるのが怖い・・・。

本当は大切な人たちを守りたいがために強くなったのに・・・。これで戦えなくなってしまえば本末転倒というものです。」

「・・・はは」

長老はそう呟く俺をみて、優しく微笑んでいた。

「見た通りじゃ。 貴方様の優しさがこの乱世にもたらしてくれると儂は確信したよ。

 そんな貴方様だからこそ、儂の宝者を安心して預けられる・・・・それに・・・・。

この子に世界を見せてやりたい。儂らじゃそれさえもかなえる事が出来ん・・・・」

そうして微笑む姿が・・・儚く、見えた。

「・・・そんな、諦めたような言い方はやめてください」

「諦めてはおらんよ。

儂らは村を守り、村の為死ぬ。故郷が知らぬ賊に荒らされるより、自分たちの力を振り絞って守り、死んでいく方がええ。

皆、そうおもってここに残っておるのじゃ」

「そんな・・・・!」

「バカらしい・・・か。

天の国に争いごとがあるかは知りませぬが、誰だって、生まれ育った場所を蹂躙されるのを見ているだけは悔しい。

だから武器をとり、一丸となって火の粉を振り払う・・・。当然のこと。

本当は平和に暮らしたい・・・けど、降りかかる災厄は自分たちの手で守らなければならない。

この世に生きるものすべての定め。皆が還る場所は一つしかないのじゃ。

魂も肉体も・・・な。」

・・・長老の意志は固かった。これ以上の言葉は不要だろう。

だが、俺の性格上、ただ黙ってここを去るわけにはいかなかった。

「・・・・わかりました。不肖ながらも俺も手伝わせていただきます」

「・・なんと!天の御遣い様自らが我らの手助けとな!

・・・じゃが・・・」

長老は申し訳なさそうに言う。。

だがその気持は十分に伝わったので、俺は長老の言葉をさえぎるようにいった。

「ええ。といっても長老の志を考えると、俺の手助けは一部にしかすぎません。

俺の知識がどこまで役に立つかはわかりませんが・・・どうか、長老の助けになったらいいのですが・・・・」

「お顔を上げてくだされ!

・・・・どうしてそこまでしてくれるのです?」

「・・・性格上、人が困っている事は見逃せなくて・・・それに」

未だ話が掴めない空の頭を優しく撫でながら、長老の目を見据えた。

「・・・娘・・・となるより義理の妹って感じですかね?

この娘の為にもここを守らなくては、ね」

「では・・・!」

「・・・ああ。さっきの話、こちらからお願いするよ。

でも、決して。諦めずに、最後まで精いっぱい生き抜いてくださいよ?」

「ええ。ええ・・・すまなんだ!

天の御遣い様の手助けがあれば、この村は滅ばずに済む・・・・!」

長老は涙を流しながら何度も俺に頭を下げた。

「・・・・いい村ですからね。絶対に守りましょう!」

「・・・お願い申し上げる・・・!」

こうして、小さな村の防壁構築作戦が始まった。


 
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