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【サイバ】晴天鮮士ウオイチバン 対 アクアプラネット物語ジャンピーマリン【交流】

古淵工機さん

2023-07-31 23:39:54 投稿 / 全18ページ    総閲覧数:408   閲覧ユーザー数:392

天空市・晴天おさかなセンター。

ここは多くの海産物が水揚げされる晴天漁港のすぐ近くにある商業施設であり、

新鮮な魚介類を買い求める客や、魚介料理を食べにくる客で連日のようにごった返している。

 

その晴天おさかなセンターには『晴天鮮士ウオイチバン』なるローカルヒーローがいる。

『宇宙密漁団ブンドーラと戦いを繰り広げ、天空市の海の幸を守るヒーロー』という設定だ。

 

……しかし、『事実は小説より奇なり』という言葉がある。

実際、天空市には多くのヒーローたちがいる。

そして様々な事件から天空市の平和を守っているのである。

 

……そう、ウオイチバンも実は……。

『ヒーロー競演!ウオイチバンVSジャンピーマリン』

さてさて、晴天おさかなセンターは相も変わらず人の波。

鮮魚売り場は買い物客が並び、干物売り場もこれまた大勢の人。

シーフードレストラン『ビストロシーサイド』も、ビュッフェ『デル・マーレ』も、

寿司処の『寿司晴(すしせい)』も、行列ができている。

 

そんなおさかなセンターにやってきたのは天空市海洋学研究所『アクアプラネットてんくう』の面々。

「見て見てジャンピーさんっ!水揚げされたばかりのマグロですって!!」

「そうだね~!ボクら二人で食べきれるかな?」

「あははは……ww」

鮮魚売り場の中央に置かれたマグロを見て談笑するのはジャンピーと今井浜瑠美。

 

「ちょっと二人とも!あたしたちは遊びに来たんじゃないのよ!!わかってる?」

すぐにホッピーの怒号が響き渡る。

「そんなこと言ったって息抜きも必要ですよホッピーさん……」

「とかいってあんたはあれやこれや食べたいだけなんじゃないの!?」

「い、いや、それは……!」

「そうですよ!リフティさんなんかホラ……」

瑠美が指をさした先には海鮮丼専門店でイクラ丼やらマグロ丼やらを買いあさるリフティの姿が。

 

「えーっとそれから!あっ!シラス丼もお願いします!!」

「だっしゃあーーーーーーー!!??」

盛大にズッコケるホッピー。

 

「あっ!ホッピーさんも何か買っていきませんか~?」

「あんたも目的忘れて何してんのよリフティ!!」

 

そんな漫才に割って入ってくるのは瑠美の姉・優美とマシーナリー部隊の兄貴分・ファスティだ。

「まぁまぁ、おさかなセンターに来れる機会なんてそうなかなかないし、たまには楽しんでもいいんじゃない?」

「そうだぞ。肩肘張ってばっかりじゃ窮屈になるってもんだ」

「それはそうだけど……そんな甘いこと言ってたらさ……」

 

どうも釈然としない様子のホッピー。しかし次の瞬間、彼女は目を疑った……!

 

「おおっ!新作の帆船キットだ!!……すまない店員さん。このキットを包んでくれんかね」

帆船キットを買っていたのは城ヶ崎洋三、アクアプラネットの所長である!!

 

「博士までーーーーーーーーー!?!?!?……ぐはぁ……」

ああ、なんということだろう。ツッコミ疲れでホッピーは倒れてしまった!

「あれ?ホッピーさん?ホッピーさん?」

「まぁ、気を張りすぎてりゃそうなるな。……ですよね博士?」

「いかにも。任務も大事だが、適度に気を抜くのも大事だ。センターに来たのもそういった側面を養う必要があるからな」

「リフティ、ホッピーを少し休ませてあげて」

「了解です!」

 

リフティに担がれてベンチへ移動するホッピー。

「ううう、こんなことしてる場合じゃないのに……」

「まぁまぁ、プライドだけじゃミッションは成功できませんから……」

そんな平和な時間が続くかと思えた、まさにその時だ!!!

 

『きゃあーーーーーっ!!』

『うわぁ!?』

売り場のスタッフや常連客の悲鳴がこだました!!

 

「あれは!?何かあったな……!瑠美ちゃんは海鮮丼食べてて!!」

「は、はい……」

ただならぬ異変にいち早く反応したのはなんとジャンピー。悲鳴のした方向へと走り出す!!

 

「へっへっへ、おい、ここで一番高い魚をありったけだしな!!」

「それからレジの金も全部だ!!」

店員たちを取り囲んでいるのはジャイアントパンダ男とゴリラ男、水牛男にイボイノシシ男……。

いずれも黒いジャンパーを着こみ、深く帽子をかぶり、いかにも悪そうな面々だ!!

 

と、そこへ。

「待て!これ以上勝手な真似は許さないぞ!!」

飛び出してきたジャンピー。

 

「あ!?イルカが何の用だよ!?」

「お前らこそ何しに来たんだよ!!」

「うるせえ!俺たちが何しようが勝手だろ!!」

そんな押し問答を聞いて駆け付けたのはリフティ、ファスティ、そしてホッピー。

 

「なるほど……あんたにしては随分反応いいわね……!」

「ちょっと……ダメですよ寝てなきゃ!」

「こんなときにいつまでもぐったりしてらんないわよ。あたしを誰だと思ってるのリフティ?」

「漫才なら後だ!まずはこいつらをどうにかするぞ!!」

 

ファスティの号令で臨戦態勢に入ったマシーナリー四人。

すると……。

「なにをボサっとしてんだい!奪うもの奪ったらさっさとズラかるんだよ!!」

現れたのはイタチ型セリアンスロゥピィの女だ。

「わ、わかりましたアネさん!」

「そんなわけでこの高級マグロはいただくぜ!!」

「あっ、待て!……みんな追うぞ!!」

「「「了解!!」」」

 

かくして追跡が始まった!

「こっこまーでおーいでーwwwww」

逃げるイボイノシシ男を追いかけるジャンピー。

 

「くそっ!あいつデブのくせしてなんて速いんだ……!海の中だったらすぐ追いつくのに……!」

 

ホッピーは水牛男とゴリラ男を追いかける!

「さぁ追いつめたわよ!観念しなさい!!」

「……そうだな、これは逃げ場がねえや」

「ああ。……今のままじゃァな!!」

そう言うと、ゴリラ男の腕と水牛男のツノが変形した!

 

「なっ……なんなのよあんた達!?」

「俺の名はゴリハンマー!!」

「同じくドリバイソン!!」

「「壁に穴開けて逃げりゃいいだけだもんねー!!」」

「あっ!こらぁ!!……あいつら怪人だったなんて!!」

『こちらリフティ!あと一歩だったんですけど、あのパンダ火を噴いて逃げました!!』

リフティからの報告を受けた城ヶ崎博士は驚愕した。

「火を噴いてだと!?……ただのセリアンスロゥピィとばかり思っていたが……!」

「博士?」

「相手はおそらく改造人間だろうな……各員油断するな!!」

しかし、追えども追えども犯人との距離は開いていくばかり。

「なんて奴らだ!リーダーの女も尾にソニックブレードを装備している!」

「ボクもです。取り押さえるまではいったんですが、あのイノシシ男が電撃を……うっ……!」

 

電撃を浴びせられたダメージで倒れてしまうジャンピー。

「ジャンピーさん!!」

「一時的に回路がやられて気絶してるだけよ。だけどマズいわね……」

「ああ、俺たちでさえあれほどの攻撃を受けたら……!」

さて、犯人グループは裏手にある倉庫の陰に身を隠していた。

「やりましたぜアネさん」

「でかした!あとはこのマグロをいただいちまうだけだよ!」

「「「「「うっへっへっへっへ……」」」」」

いかにも悪役の笑いを浮かべる五人だったが。

 

「そうはいかないぞ!大人しくそのマグロを元の持ち主に返してやるんだ!!」

「!?……だ、誰だい!?」

声のした方向を見る五人組。その視線の先に立っていたのは……!!

「天空市民の海の幸……盗む不埒な悪党め!この晴天鮮士ウオイチバンが相手だ!!」

 

現れたのはなんと、晴天鮮士ウオイチバン!

晴天おさかなセンターのローカルヒーローである!!

 

「わ、笑わせるんじゃないよ!ちびっこ向けヒーローショーのマスコットだろう!?」

「そうだ!本物の改造人間の俺たちにお前ごときがかなうもんか!!」

「やっちまえ!フルボッコだ!!」

 

しかし。

 

「……果たしてそううまくいくかな?」

少しも慌てるそぶりを見せないウオイチバン。

「な、なんだと!?」

「ヒーローショーのキャラクターごときが舐めんじゃねえってんだ!!」

「身の程知らずめ!これでもくらいやがれ!!パンダファイアー!!」

パンダ男……カエンパンダーが火を吐き出す!!火炎放射がウオイチバンに迫る……!

「やったか!?」

「はーっはっはっは!バカめ!一般人が歯向かうからだ!!」

高笑いするカエンパンダー。

だが、燃え盛る炎の中から……ウオイチバンが飛びだしてきた!!

 

「ぐげえっ!?」

「あ、兄貴!!」

「身の程知らずはお前たちのようだな。私が何者かもわかっていないとは」

 

「てめえーっ!!」

逆上したイボイノシシ男……エレホッグがウオイチバンに電撃を浴びせようとする!

「ウェイブバリアー!!」

「なっ!?なにいーっ!!防いだだと!?」

 

説明しよう!

ウェイブバリアーは波の力を使って作られるバリアーである。

この技を使うことで、あらゆる攻撃を跳ね返すことができるのだ!

 

「お釣りのウェイブトルネード!!」

「ぎゃあっ!!」

 

ふたたび説明しよう!

ウェイブトルネードはやはり波の力を使い、渦を出して相手を吹き飛ばす技である!

 

「この野郎ーっ!!」

エレホッグを倒され逆上したゴリハンマーとドリバイソンが襲い掛かる!!

「アクアホイップ!!」

 

みたび説明しよう!

アクアホイップとは海のエネルギーを結集してできるムチのことである。

変幻自在に形を変えることで相手の攻撃を受け流したり、相手を縛り上げたりできるのだ!

「ぐえっ!!」

「あぎゃあっ!!」

 

次々に倒されていく怪人たち。

 

「くそっ!!こんなやつ一人になんてザマだい!!」

「残るはお前だけだ!怪人ナタイタチ!!」

「ふん、あたしの名前までバレちまっちゃしょうがないねぇ……刺身になってもらうよウオイチバン!喰らえっ!!」

ナタイタチは尾を変形させた電磁ナタでウオイチバンに斬りかかろうとした。

だが……!

 

「おりゃーっ!!」

「なっ!?お前はいつぞやのイルカ野郎!!」

機能を回復したジャンピーがナタイタチめがけてタックルを仕掛けたのだ!!

 

「君は確か……ジャンピーくん!!」

「ボクたち、こいつらを追いかけていたんです!!」

「そうか……協力感謝する!」

「くそっ、なんて日だ……まとめて切り刻んでやる!!」

ナタイタチがジャンピーとウオイチバンにふたたび襲い掛かろうとする。

 

「ジャンピーくん!君のジャンプ力を見込んで頼みがある!」

「なんですか!?」

「私を乗せて海へ飛び込み、そのままジャンプするんだ!!」

「OK!」

ジャンピーはウオイチバンを背に乗せると、岸壁から海へと飛び込み潜水を開始する。

 

「なんだなんだ、ヒーローが逃げるなんて……まァいいさ。出てきたところを真っ二つにするだけさね!!」

しばらくして、ジャンピーが垂直ジャンプの態勢に入り、水面から飛びだす!

 

「来たな!あたしにだってジャンプ力はあるんだよ!!」

「いまだ!!」

「二段ジャンプ!!」

 

ジャンピーの背中からジャンプを繰り出し、ウオイチバンが宙に舞う!!

「なにっ!?バカな!こんな高さ……アタイでも無理……」

「ウオイチ……スラーッシュ!!」

 

またまた説明しよう!

ウオイチスラッシュはウオイチバンの必殺剣だ!

 

「ぎゃあっ!!」

電磁ナタを切断され、反動で倒れこむナタイタチ。

 

「これでもう自慢の尻尾は使えまい!観念するんだ!!」

「うう……くそっ……アタイたちの夢が……小さな幸せが……!!」

「その自分勝手な幸せのために、もっと多くの人の幸せが奪われるところだったんだ。よく反省するんだな」

 

その後、五人組は警察に引き渡されて御用となり、

盗まれたマグロもおさかなセンターに返ってきたのである。

「ありがとうジャンピーくん、それにアクアプラネット・マシーナリー部隊のみんな。君たちの勇気を讃えよう」

「こちらこそありがとうございました!」

「あのウオイチバンが本物のヒーローだったなんてな……」

「まだまだ、あたしたちの身近なところにヒーローがいるってことね」

「あの、サインください!!」

「ちゃっかりしてるなぁリフティ……」

などと談笑を続けているところに城ヶ崎博士、今井浜姉妹がやってきた。

 

「ありがとうウオイチバン。君のようなヒーローもいるんだな」

「どうも城ヶ崎博士。あなたこそ立派なチームをお持ちのようですね」

「これからも共に、海の平和を守っていこう」

「こちらこそ!」

がっちりと握手を交わす城ヶ崎博士とウオイチバンの背後から声が聞こえる。

 

「おーい!ウオイチバン!」

「や、これは板前さん」

現れたのは今回の事件の被害者だった鮮魚店の板前。

「いやぁ、あのマグロが戻ってきてよかった。本当にありがとうな!」

「いえ、これもヒーローの務めですから」

「お、それにアクアプラネットの皆さん方もな!良かったらマグロ食ってきな!!」

板前はそう言うと、目の前でマグロを捌きだした。

 

「え、ここで解体始めちゃうんですか!?」

突然の出来事に目を丸くするジャンピーたち。

 

「……いいんですか板前さん。これはあなた方の大事な……」

ウオイチバンの問いに、板前はにっこりと笑顔を浮かべて答える。

「いいんだよ!このマグロもあんたらになら食われたいはずさ」

「……ありがとうございます。いただきます!」

「「「「「いただきまーす!!」」」」」

かくして、海を愛する者たちのおかげでおさかなセンターの平和は守られた。

ウオイチバンとアクアプラネットの面々には捌きたてのマグロが振る舞われた。

 

晴天鮮士ウオイチバン。

彼は単なる『ローカルヒーローというキャラクター』ではない。

『本物のヒーロー』なのである!

 


 
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