「藍しゃまぁ。おはよぅごじゃいますぅ。むにゃむにゃ…。」
はぁ…、今日も橙は可愛いなぁ♪思わず橙に手が伸びそうになったのを自制しつつ、私は朝ごはんの支度をし始めた。
「橙。今日は橙の好きな秋刀魚の蒲焼よ。」
「わぁ~い♪藍様だぁいしゅき!」
橙が嬉しさのあまり飛びついてきてしまった。もちろん私は衝動に駆られて抱きとめてしまうのだがそれがいけなかった。ガシャン!!大きな音を立てて昼食は散らばってしまった。
「あっ…。うぅ…藍しゃまごめんなさい。」
橙が泣きながら謝ってきた。
「橙。いいのよ。また作ればいいんだから。さ、いい子だから泣かないで。今度は一緒に作りましょうね。」
鼻血が出そうになるのを私は押さえながら橙を慰めた。
「…はい。ありがとう…ございますぅ。」
あぁ♪橙はやっぱり私のものよ♪私はさっきよりも嬉しそうに橙と昼食を作り始めた。
「ふぁぁ。おはよう。」
「おはようございます、紫様。」
我が主、紫様が起床なさった。寝ててもいいのに。何でこういうときだけこの人は起きてくるかなぁ。
「ご飯はまだ?藍。」
「今作っております。もう少しお待ちください。」
邪魔しないでもらえるとありがたいのになぁ。黙って寝とけよ。
「藍しゃまぁ。こんな感じですか?」
「まぁ!橙。うまくなったわねぇ。この家から出しても平気なぐらいよ(ダレニモワタサナイケドネ)。」
実際ここ最近橙の料理の上達は早い。私の教え方がうまいのかもしれないけど。たまに橙が作ってくれるから私は楽が出来るけど。橙が作ってくれたと思うと…~~~~~~♪。
「わわわわわわ!!藍しゃま!鼻から血が出てます!!」
「気にしないで。大丈夫だから。早く食べましょうね。」
私たちは料理を食卓に運ぶ。紫様は待ちくたびれた様子で。
「遅いわよ。何してたの?藍にしては珍しいわね。」
「すみません。少々橙に料理を教えておりまして。」
「今日は、橙が作ったの?」
「はい…。私が作りました。」
橙は紫様が前々から苦手だった。少しでも慣らしてあげようと私は努力しているのだが、いつも紫様が、
「頑張ったわね、橙。私に挨拶もせずに。」
と脅したようにこういうのだ。あぁ…アルジデナキャコロシテルノニ。
「ご…ごめんな…さい。」
「紫様!!あまり橙を脅さないでください!」
「あら?面白いからいいじゃない。」
ホントムカツクナァ、コノヒトハ。カルクサツイガ。逆らえはしないので。昼食を食べることにします。
昼食後、私と橙は外に出かけていた。今日は、里に買出しだ。里の人間は最初は怖がっていたが、私の人の良さ?と橙の人懐っこさから
「おはよう橙ちゃん。元気かい?」
と声をかけてくれる人までいる始末だ。
「藍さん。今日は何を作るんですか?」
「今日は肉じゃがでも作ろうかと思いまして。」
「それなら今日は丁度いいジャガイモが入ってますよ。」
「では、10個頂きたいのですがいくらですか?」
私が御代を払おうとしたら、
「いいですよ。今日はいつも贔屓にしてもらってるサービスです。御代はいりません。」
「そんな!悪いですよ。皆さんとても努力してらっしゃるのに私たちだけ贅沢できません!」
思わず叫んでしまった。
「そんなことないですよ。なぁ!皆!」
里の人たちは、全員首を縦に振った。その中の一人が
「いいですよ。私たちの生活は安定してますし、何よりも藍さんと橙ちゃんの笑顔が見たいですから。」
私は感極まってしまった。
「ありがとうございます…。」
「いいっていいって。」
私たちはその後、里の人たちからいろんな材料をもらって、話をしてから帰ってきた。
「橙。今日の皆さんの気持ちは忘れてはいけないよ。分かった?」
「うん!!分かってるよ、藍しゃま!」
最初、私は人間など冷たいやつらだと思っていたが、最近はそうでもなく、凄くいい人たちだな。っと思うようになった。橙には人を思う気持ちを忘れてほしくないものだ。
「橙。里の人たちは好き?」
「うん!大好きだよ!」
いつまでもこんな日々が続きますように。
Fin
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単純にほのぼのした感じです。