カニさんはヒドラに良いところを見せようとヘラクレスに立ち向かったが あっさりと踏み潰されてしまった。かわいそうに思った女神ヘラが星座にしてくれた。と、何ともカッコ悪いカニさんだが、カニやエビや鮭が茹でたり焼いたりして赤くなるのは、抗酸化物質界で最強と言われるカロチンのアスタキサンチンをたっぷり貯えているからだ。この赤い色素はヘマトコッカス藻から始まり長い食物連鎖を経て人間の口に入る。カニさんは病気に強くても、物理攻撃には弱かった訳だ。防御力を高めるにはもっと殻を強くするしかない。殻はカルシウムっぽいが、殻のキチン質は骨ではなく軟骨に似ている。糖とタンパク質がくっついた（プリテオグリカン）グルコサミンで出来ている。殻には栄養素がたくさんあるので、人間が殻ごと食べれば強くなれそうに思う。実際、パウダー状に加工した商品もたくさん出ている。しかし残念ながらどんなに細かくしても 人はキチン質を消化吸収出来ないらしい。人はそれを分解する酵素をもっていないから、いくら食べても ただの食物繊維と同じなのだ。ワイルドに殻ごとバリバリ食っても、上品に高価な健康食品のキトサンを飲んでもムダと言うことだ。健康に良いからとエビの殻を焼いて食べている人は残念でした（食物繊維を摂る為なら良いと思います）。 ただそのキチン質を人間が利用出来るように強酸で分解して加工したものは商品化されている。腰痛や膝痛に効果が出ているらしい。Nアセチルグルコサミンだ。軟骨が改善するようだ。　外骨格の場合はいくら強くしても限界があるのかもしれない。硬すぎるとダイヤモンドのように割れる。鉄のような柔らかさも必要なのだろう。多少柔らかければ凹んだり、曲がったりして、すぐにご臨終とはならないだろう。普段はふにゃふにゃで いざというときはカッチンカッチンが良いのだ。カニさんがあっさり負けたのは硬すぎたのだろう。みんな 柔らかく生きようｾﾞ！