No.1116183

【サイバ】苦労話【交流】

Dr.Nさん

  マイカ先生 https://www.tinami.com/view/777769
      唯 https://www.tinami.com/view/742179
     和美 https://www.tinami.com/view/743015
     雪歩 https://www.tinami.com/view/754577
寧子ばあちゃん https://www.tinami.com/view/750626

2023-03-12 12:46:11 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:268   閲覧ユーザー数:261

金曜日、雪天小学校3年1組の教室。社会科の時間。

黒板には『仕事で苦労したこと』の文字。

 

マイカ先生「世の中にはいろんな仕事があります。皆さんのお父さんやお母さんもそうであるように、いろんな人がいろんな仕事をして、その対価としてお金を得て生活をしているのです。でも、仕事ですから、楽しいことばかりではありません。時には腹が立つこと、戸惑うこと、泣きたくなるようなことだってあるはずです。そこで今回は、みなさんに周りの大人に『仕事で苦労したこと』について取材をしてもらい、そのレポートを提出してもらいます。提出期限は再来週のこの時間、分かりましたか?」

子供たち「「「「「「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」」」」」」

その日の帰り道、いつもの三人。

 

和美「ねえ、社会科のレポートどうする?」

唯「あたしはお父さんとお母さんに取材かなー」

和美「神社を回していく上での苦労とかありそうだもんね。あたしたちはどうする雪歩? お父さんは電車の運転手、お母さんは新聞記者だけど、どっちに取材しようか?」

雪歩「うーん、どうせなら別の人にしね?」

和美「別の人?」

雪歩「寧子ばあちゃんだよ。俺、写真館を経営する上での苦労話聞いてみてえな」

和美「いいわねそれ! 決定!」

翌日、あたご寫眞館。

 

和美「というわけなの」

雪歩「なんかネタになるような話ねえか、ばあちゃん?」

寧子「苦労話ねえー。幸い仕事も順調だし、お客さんもいい人ばかりだから苦労とかあんまりないわねー」

和美「えー。それじゃ困るのよ」

雪歩「レポートが書けねえ」

寧子「あ、そうそう、前にこんな事があったわ」

和美、雪歩「どんな話!?」(前のめり!)

寧子「守秘義務があるからあまり詳しくは言えないんだけど──」

数ヶ月前、あたご寫眞館。

 

寧子『いらっしゃいませ』

豚男『邪魔するぜ! ウィ~ヒック!』

寧子「その水色豚の中年男性は、酒の臭いをプンプンさせながら入って来たの」

和美、雪歩「うわ」

和美「酔っ払って来店て。常識がないのかしら?」

雪歩「一番嫌なタイプの客だな。これだけで苦労話が一本書けそうだぜ」

寧子「ウフフ、こんなのまだ序の口よ。苦労話はこれからw」

豚男『おうババア、お見合い写真を撮ってくんな! ウィ~ヒック!』

寧子『かしこまりました、お見合い写真でございますね』

和美「ババア…。なによ偉そうに!」

雪歩「苦労したんだなばあちゃん」

寧子「ウフフフフ、まだまだこんなの苦労でもなんでもないわw」

豚男『俺の魅力を最大限に引き出すように写してくれよ。ウィ~ヒック!』

寧子『はい、それはもう』

豚男『どんな男でも一発でメロメロになるような写真にしてくれ。ウィ~ヒック!』

和美、雪歩「は!?」

和美「今、どんな男でもって言った?」

雪歩「まさかあー。いくらなんでもばあちゃんの聞き間違いだろ?」

寧子「いいえ、聞き間違いなんかじゃないわよ」

和美「聞き間違いじゃないのかアッー!」

雪歩「アッー!」

寧子「そしてね」

豚男『それともう一つ注文がある。ウィ~ヒック!』

寧子「そう言って、そのお客さんは上半身裸になったの」

和美「うわ。さすが男相手のお見合い写真だアッー!」

雪歩「そうだなアッー! で、もう一つ注文ってのは?」

寧子「写真に写った自分を熊になるように修正してくれって」

和美、雪歩「は!?」

和美「あの…そのお客さんって豚なのよね?」

雪歩「それなのに熊になるように修正? 何でだよ!」

寧子「さあねえ。豚である自分を認めたくなかったのかもね。今となっては知りようが無いけど」

和美「知りようがない?」

寧子「あたしは注文通り、撮った豚のお客さんの写真を熊になるように仕上げたわ。ところが、期限になってもそのお客さんは現れなかったの」

和美「まさか、飲食店とかで今流行りのドタキャン迷惑行為ってやつ?」

雪歩「あるいは注文だけして最初から金払う気なかったとか?」

和美「どっちにしても許せないわ!」

雪歩「ああ!」

寧子「期限から一週間経っても現れないから、あたしはそのお客さんのスマホに電話したの。そうしたら」

和美、雪歩「そうしたら?」

寧子「ご家族らしい方が出て、そのお客さん、お酒が原因で亡くなったんですって」

和美、雪歩「うわぁ…」

二週間後の金曜日、雪天小学校3年1組の教室。社会科の時間。

 

和美「ということで、結局、おばあちゃんは料金と豚のお客さんを熊へと修正した要した時間、全てを無駄にしたそうです。おわり」

マイカ先生「あーそれはそれは…。どうかおばあちゃんによろしく伝えてちょうだいね…」

 

 

=END=

 

 

 


 
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