No.111302

とあるテストあけのとあるお昼

華詩さん

みなさんは無事にテストは終わりましたでしょうか。これが終われば後は年末年始のイベントに集中するだけですしね。そんなわけでテストが終わってホッとしている彼女らはどうしているのでしょうか。

2009-12-09 15:09:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:820   閲覧ユーザー数:799

『キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン』

 

「はい、終了。一番後ろ、答案を集めて来て。」

 

 終了のチャイムが鳴り響き、試験監督の先生が答案を集めるように指示をした。本日で期末テストも無事に終了。長かったようで短かった五日間が終わった。私は軽く伸びをして、集めに来た子に答案を渡す。

 

 どの教科も今までで一番手応えがあった気がする。特に苦手だった数学が余裕を持って終われたのは良かった。いつも時間ギリギリで答案が返ってくるまでモヤモヤしていたが今回はちゃんと見直す事ができた。日頃からわからないところを教えてくれる彼に感謝しないと。

 

 全ての答案を集め終えた先生が教室を出ていく。この一週間教室内に漂っていた緊迫していた空気は、すっかりと抜けいつものほのぼのとした空気が広がっていた。

 

 私は筆記用具を片付けて帰る準備をする。今日はあの子達を早めに向かえにいってあげれる。二人は早く向かえ来るのを楽しみに待っている。朝で駆ける時、いつくるのいつくるのと何度も何度も確認してきた。

 

 その前にもう一人、ある事を楽しみにしている人がいたっけな。さて、遅くなると悪いし早く行こう。私は教室から出てみんながいる教室へ向かう。彼の教室がある廊下にでると、彼は教室の入り口の前に立っていた。またせちゃったかな。そう思って慌てて駆け寄る。

 

「あれ、どうしたの?」

「ああ、あれ。」

 

 彼はそう言って指を指すと、親友と親友の彼がなにやら言い合いをしていた。どうしたんだろう。私が教室に入ろうとすると彼に手を握られる。そしてそのまま引っ張られてします。

 

「止めとけって。夫婦喧嘩は犬も食わぬってな。ほかっとこう。今日は中庭が気持ち良さそうだから外で食べよう。」

「だって、仲直りさせないと。」

「大丈夫だって、いつものだよ。それに間に入って遅くなったら二人が寂しがるだろ。」

「うん。そうだね。」

 

 親友達の声を後ろにして二人で仲良く手を繋いで中庭に移動する。銀杏の木がまだたくさん葉っぱをつけていた。よく見ると所々にまだ緑色が交じった葉っぱもあった。

 

 もう十二月なのに、やっぱり暖冬なのかな。でも朝晩は凄く寒い。でも昼中は風が強く吹いていなければかなり暖かい。私達は中庭のベンチにくっ付いて座る。風は強くないけど温かさはほしいから。私は、鞄からお弁当を二つ取り出す。

 

「はい。お弁当。リクエストの卵焼き入り」

「ありがとう。すごっく楽しみだったんだ。」

 

 彼は嬉しそうにお弁当を受け取ってくれる。これで何回目になるのかわからないが、何回、渡してもこの時に感じる恥ずかしさはなくならないな。

 でもなくならないから、良いのかもしれない。ふっと横を見ると彼はとっても幸せそうな顔をしてお弁当を頬張っていた。ずっと見ていると彼が不思議そうにこっちをみた。

 

「どうかした?。」

「なんでもないよ。ねぇ、美味しい?」

「あぁ、美味いよ。」

「よかった。」

 

 私がそう言って笑うと彼も笑った。お弁当を食べながらテストの事や、クリスマスの事などの話をした。彼もテストの手応えが良かったみたいだ。それとクリスマスのデートはどんな服がいいだろうかと相談された。

 

「ああいうのって、やっぱりちゃんとした格好をしてないとダメなんだろう?」

「どうかな、普段よりちょっとお洒落でしっかりしって感じで良いんじゃないかな。」

「難しいな、それ。まぁ頑張ってみるよ。あんまり期待するなよ。」

 

 別に構えなくても良いのになと思ったけど、なんとなく大人っぽいデートがしたかったのでそう言っておいた。たぶん、彼は頑張ってお洒落してくれるはず、だから私も負けないように頑張ってお洒落しないと。一年越しの外出クリスマスデートだしね。

 

 お弁当を食べ終えてしばらくたわいもない話しをしているとチャイムがなる。中庭にある時計を見る。今から出ると丁度いい時間かな。

 

「そろそろ、行こう。」

「そだな。」

 

 彼から空のお弁当箱を受け取り鞄の中にしまって立ち上がる。歩きはじめると彼が手をすっと握ってくれた。私はその手をしっかりと掴みお互いの指を絡ませる。彼の足が止まる。

 

 彼を見ると彼は少し戸惑っていたが何事もなかったかのように歩き出す。普段は学校内ではこう言った手の繋ぎ方はしない。でも今日は人も少ないし、それに今さら何かを言う人もいない。

 

 それにしても私も彼も随分と積極的になったもんだ。一年前の自分が見たら何て言うんだろう。きっと顔を真っ赤にして何してるのって言うんだろうな。

 

 そんな事を思いつつ校門に向かって歩いていると冷たい風が二人を包む。もうそろそろコートやマフラーが欲しくなるな。

 

 でもその前に、私は彼の手を離して今度は腕とり、腕を組み寄り添う、結構温かい。二人でいるときはまだこれで十分。ちょっぴり顔が熱いのも彼から感じる温もりの所為にしておこう。

 

fin


 
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