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No.1106987
Yorkvonさん
東の大国「ラズガルド帝国」が、シュヴァルツェン連合王国領の″聖アルトランド神霊国″とラズガルド領の国境線付近に、大規模な軍を駐留させている。この動きを不穏に感じたシュヴァルツェンは、国境線に陸軍部隊を配備。 ラズガルド帝国の皇帝″アイゼンヴァール″からの返答がないまま、国境線では緊張が高まっていた。 …しかし…戦争はもはや、避けられない状態であった。 というのも、アイゼンヴァール自身が戦闘を仕掛ける算段であることは、間違いがなかったからだ。
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アイゼンヴァールは、自らの勢力圏であるミズガルド大陸から、シュヴァルツェンを駆逐するつもりでいる。大陸の西部は肥沃な大地が広がり、食糧の一大生産地であるし。 何よりもシュヴァルツェンのシルバーブラッド首相に対する警戒と不信が、アイゼンヴァールには強かった。 シュヴァルツェンにおいて、冷酷かつ残虐非道な女帝として恐れられているアイゼンヴァールも…産業技術大国たるシュヴァルツェンを、また恐れてもいた。 目と鼻の先にある″憂い″を絶たねば、安心して眠れない、というようなものだ… その憂いとはつまり、ラズガルド帝国とすぐ隣接する、シュヴァルツェン領。 こちらからすぐ攻められるということは、向こうからもすぐ攻められるという、恐怖の源泉。 アイゼンヴァールは、まず聖アルトランド神霊国を自らの勢力圏に置くことを目的としていた。 「…陛下。アルトランドを直接侵攻はしないのですか?」 アイゼンヴァールに尋ねるは、彼女の副官にあたるガゼル… アイゼンヴァール「…そうだ。アルトランドを直接支配下に置くつもりはない。 …あの国の中には、宗教組織″グラバル教団″の総本山がある、スカビナ祭礼国がある。 その教団内では、総主教の″叙任権″を巡って、連合派と神聖派で争っている状態…」 総主教の任命権を、シルバーブラッドが教団から取り上げたことに端を発する、グラバル教団の叙任権闘争。 この争いが、シルバーブラッド率いるシュヴァルツェン中央政府側に同調する教団内″連合派″と、シルバーブラッドに敵対する″神聖派″という派閥を生み出した。 アイゼンヴァール「…聖アルトランド神霊国は、支配するには荷が重い地域だ。 …宗教組織の影響が、あまりに強い… そういう国は″火薬庫″のようなもので、抑圧して支配しようとすれば、我らも大きな″火傷″を負うことになるだろう」 ガゼル「では、どのような御采配を?」 アイゼンヴァール「…私の目的。それは必ずしも″支配″ではない。 アルトランドからは、シュヴァルツェンの影響力を排除出来ればそれで良い。 そのために、グラバル教団の″対立″を利用するのだ… シルバーブラッドに敵対的な″神聖派″と手を組む…」 ガゼル「…ではシュヴァルツェン領である、聖アルトランド神霊国を独立させるということですか?」 アイゼンヴァール「最終的には、な。 その主導権を握るのが、神聖派だ。 …アルトランドが独立した後、神聖派と同盟を結び、同国をシュヴァルツェンとの緩衝地帯にする…」 …最終的な目的は、ミズガルド大陸からシュヴァルツェン連合王国の影響力を排除すること。その手始めとして、シルバーブラッド首相と敵対するグラバル教団″神聖派″と手を組み、聖アルトランド神霊国を独立させる。 そして独立後、シュヴァルツェンに対する″盾″として、緩衝地帯の役割を果たしてもらう… それがアイゼンヴァールの策だった。 「神聖派の目的…それは、総主教の任免権を含めた、グラバル教団の主導権の奪還だ。 シュヴァルツェンから独立して、神聖派は教団内の主導権を取り戻す…」 アイゼンヴァールは、きたる戦いの時に向けて、着々と策を進めていた… 聖アルトランド神霊国の東部… その一角の都市ハイドラントでは、グラバル教団「神聖派」の兵士達が、集っていた。 「…神の戦士達よ!今こそ立ち上がる時である!」 壇上に立ち、声をあげるのは… 神聖派の最高指導者、スカラベ・パーラー。 彼はグラバル教団の最高幹部″大司卿″の一人だ。 パーラー「シュヴァルツェンの中央政府は、グラバル教の頂点たる大主教の任命権を教団から取り上げ…教団の自由を奪っている! これは、許し難いことである!! シュヴァルツェンに従属する教団内の″連合派″勢力は、我らの敵だ!! 連中から教団を取り戻さなければ、ならない!!」 教団の私兵「神の戦士」達は、パーラーを指導者とする「神聖派」に付いている。 彼らは、神のために命を捧げる、死をも恐れない戦士達だ。 「さあ、武器を取れ戦士達!! 神の御加護は、我らにあるぞ!!」 パーラーの演説によって、大声をあげる神聖派の戦士達… それはまさに、開戦前夜とも言える様相を呈していた…
2022-11-16 19:01:16 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:405 閲覧ユーザー数:405
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東の大国「ラズガルド帝国」が、シュヴァルツェン連合王国領の″聖アルトランド神霊国″とラズガルド領の国境線付近に、大規模な軍を駐留させている。この動きを不穏に感じたシュヴァルツェンは、国境線に陸軍部隊を配備。
ラズガルド帝国の皇帝″アイゼンヴァール″からの返答がないまま、国境線では緊張が高まっていた。
…しかし…戦争はもはや、避けられない状態であった。
というのも、アイゼンヴァール自身が戦闘を仕掛ける算段であることは、間違いがなかったからだ。
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