No.1079991

新大陸の140字集 その4

ぽっぽさん

書き溜めたものをつめました。

2021-12-19 20:09:09 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:316   閲覧ユーザー数:315

・塗りつぶしの一杯…2p

 服屋の店員ちゃんで140字ss。

 

・底無しの猛者…3p

 皇子と部長のワインオセロで140字ss。

 

・狐色の思い出…4p

 ファナとオルセラで140字ss。

※ファナエンドのクリア後推奨。

 

 

 

『塗りつぶしの一杯』

 

「どうぞ」と淹れたコーヒーを渡して「ありがとう」と聞いてから、自分のコーヒーにも手をつけた。香りの良い温もりを口にしながらほっと一息つく。

 

客足が落ち着いた頃に、明るい町並みをゆったりと眺めながら飲むこの一杯は好きだ。薄暗い道端で、寒さに震えながら食べた飼い猫の味を忘れられるから。

 

 

『底無しの猛者』

 

「飲んでいるのか、全部」

空のグラスの数に思わず尋ねた。白黒の代わりに置かれた白と赤。盤上は埋まりつつある。

そうですが、と答える彼女の様子はあまりにも平時と変わらなかった。

 

─飲んだように見せかけるのも処世術の一つ、その指南のつもりだったが。

 

「·····どうやら必要なかったらしいな」

 

 

『狐色の思い出』

 

「それも元は人の名前ってほんと?」

「そうだよ、意外とそういう料理多くて」

ファナがいくつか名前をあげるとオルセラは感嘆の声を上げた。

「じゃあ、私の名前もつけてもらおうかしら」

「あはは、それいいかも。何につけるか考えておくね」

話に花を咲かせるうちに、今日の一品はからりと揚がっていた。

 


 
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