No.1079743

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅36

Seigouさん

憤激の修羅

2021-12-16 14:29:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1586   閲覧ユーザー数:1398

汜水関

 

 

 

 

霞「うひょー、連合ちゅうだけあってよーさん集まっとるな~」

 

氷環「この中に、隊長様が・・・・・」

 

炉青「本当に戦わないといけないんどすか、あに様と・・・・・」

 

雅「氷環、炉青よ、覚悟を決めろ」

 

傾「そうであるな、あ奴らとて、もはや引き返せんしな」

 

集まった各諸侯を関から見下ろし、将達は何とも言えない気持ちとなっていた

 

その中でも

 

風鈴「あれは、桃香ちゃんと、白蓮ちゃんね・・・・・」

 

連合の中に、劉と公孫の旗を確認し、風鈴は憂鬱そうだった

 

楼杏「風鈴、大丈夫ですか、かつての教え子達と戦うなど、あなたにとっては苦痛でしかないでしょうに・・・・・」

 

風鈴「・・・・・いいえ、これも私の不甲斐なさゆえ・・・・・全てを飲み込むわ・・・・・」

 

楼杏「分かりました、私も覚悟を決めるわ・・・・・」

 

この汜水関に送られた主だった将は、霞、雅、傾、風鈴、楼杏、氷環、炉青の七人だった

 

代表として、傾

 

霞、雅、楼杏が隊長として

 

氷環が霞の、炉青が雅の、風鈴が楼杏の副長として補佐をする役目を担っていた

 

傾「それでは作戦であるが、どういったものが望ましいか」

 

風鈴「やはり、籠城に徹するべきでしょう」

 

楼杏「ええ、汜水関という利点を捨てるなど、論外ね」

 

余りに正論な意見である

 

守る側である以上、この汜水関をフル活用するのがセオリーと言える

 

しかし

 

雅「いや、我は打って出るべきと具申する」

 

氷環「みみみ、雅さん!!?」

 

炉青「なにを言うとるんどすか~!!?」

 

霞「雅、前と比べて結構ましになったと思っとったけど、ウチの買い被りか・・・・・」

 

雅「そうではない、話は最後まで聞け・・・・・私や私の部隊だけが打って出るのではない、ここにいる全員が打って出るのだ」

 

霞「・・・・・やっぱウチはあんたを買い被っとったみたいやな」

 

楼杏「雅さん、月さんがあんなことになって、気でも触れましたか・・・・・」

 

風鈴「そうよ、そんなものは愚策中の愚策よ」

 

雅「話はまだ終わっていない、最後まで聞けと言っている!・・・・・確かに全員で打って出るが、一当てしたらすぐさまここに戻ってくるのだ」

 

霞「そら一体どういうこっちゃ?」

 

雅「兵の士気を高める為だ、開戦早々に敵の出鼻を挫くのだ」

 

傾「それは良い、相手の鼻っ柱を叩き折ることほど、気持ちのいいものはない♪」

 

楼杏「・・・・・まぁ確かに、この汜水関に亀の様に閉じ籠るのですからね、最初に暴れておいた方がいいとは思うわ」

 

風鈴「みんな月ちゃんが気の毒でならないものね、うっ憤を晴らしておいた方がいいでしょ」

 

霞「・・・・・・・・・・」

 

雅「・・・・・なんだ、霞よ」

 

感心したかのような眼差しで自身を見てくる霞を訝しんだ

 

霞「さっきの言葉は訂正するわ・・・・・大したもんやで♪」

 

雅「見くびってもらっては困る、私とて伊達に北郷と旅をしてきたわけではないのだ」

 

それぞれが、雅の成長を喜ばしく思った

 

真名を得たこともあり、以前の猪武者を卒業したようだ

 

そこに

 

鈴々「や~~~い、泣き虫華雄、弱虫華雄、悔しかったら出てこいなのだ~~~♪」

 

雅「ん?」

 

そこに、関に近付いてきた劉備軍から元気な声が響いてきた

 

愛紗「華雄よ、貴様が真の強者であるなら、正々堂々勝負をせよ!!!それとも貴様はそれすらもできない腰抜けか!!!??」

 

霞「・・・・・らしいで」

 

雅「安心しろ、あの程度の挑発、子守歌も同じよ」

 

向こうは、華雄が猪武者であるという情報に従い、あのような挑発をして誘い出そうとしているのだろう

 

しかし、今の華雄は雅である、もはやその情報は古いのだ

 

雅「では、準備をするぞ」

 

霞「よっしゃ、一発かっ飛ばしたるか♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴々「あれあれ、華雄が出てこないのだ」

 

愛紗「朱里、雛里、お主らの言う通り挑発をしてみたが、あ奴は出てこないぞ」

 

朱里「おかしいですね、情報によりますと、あの人はかなり喧嘩っ早い性格のはずですのに・・・・・」

 

雛里「はい、猪武者と世間は評していますから、これくらいの挑発で簡単に出てくると思ったんですけど・・・・・」

 

鈴々「そうなのだ、あいつ雷々と電々の挑発に簡単に乗っていたのだ」

 

愛紗「ああ、その情報に間違いはないと思うぞ」

 

桃香「でも、あの人も一刀さんと旅をしていたんだよね、だったらもう猪さんじゃなくなったんじゃない?」

 

愛紗「それは・・・・・」

 

鈴々「・・・・・かもしれないのだ」

 

かつて、華雄は徐州の自分達の居城である下邳に一刀と梨晏と共に訪ねて来たことがあった

 

その後も、一刀と共に大陸一周の旅に同行していたはずなので、決して否定できない

 

ここからどうするか、攻めあぐねていると

 

炎蓮「なんだ、面白そうなことしてんな♪」

 

鈴々「あ、孫堅のおばちゃんなのだ」

 

炎蓮「おばちゃん・・・・・まぁ、否定はせんがな」

 

愛紗「失礼だぞ、鈴々!・・・・・申し訳ない、今華雄を誘い出そうとしているのですが、どうにも出てこなくて・・・・・」

 

粋怜「ふぅ~~~ん、確かに華雄って猪武者として有名よね」

 

祭「かなり短気で、頭に血が上りやすいと聞いているが・・・・・」

 

梨晏「ああ、今の雅・・・・・華雄には通用しないと思うよ」

 

冥琳「何か知っているのか?」

 

梨晏「知っているも何も、華雄は私と一緒に一刀と旅をしたまぶだちだからね」

 

雪蓮「ちょっと待って、そんなの初耳よ!」

 

梨晏「まぁ、話していなかったからね・・・・・今の華雄は、一刀と沢山稽古をして猪武者を卒業しているから」

 

炎蓮「一刀にボコられて、自分の弱さを痛感したってとこか」

 

祭「まぁ、己と向き合うには、良い薬になりそうではあるな」

 

雪蓮「他人事みたいに言っているわねぇ・・・・・」

 

冥琳「そうですよ、このままではこちらが不利にしかなり得ません!」

 

こちらも打開策を見いだせないままでいると

 

麗羽「お待ちなさい、私を差し置いて、何を勝手に始めていますの!?」

 

桃香「て、ええええええ!!??袁紹さん、なんでこんなところにいるんですか!!?」

 

炎蓮「おい、総大将がなにのこのこ前線に出てきていやがる」

 

総大将になりたそうにしていた我が儘娘が、何を考えているのか前線に来ていた

 

斗詩「ううううぅ~~、皆さん申し訳ありません~・・・・・」

 

真直「麗羽様、総大将がこんな前に出てはいけません!!」

 

麗羽「向こうには何進大将軍がいるというではありませんか、まずは私が物申さないでどうするというのです!!?美しく優雅に、華麗に前進するのが今回の作戦のはずですわよ!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

本気で言っていたのかよ、とさっきの軍議での麗羽が立案した作戦を思い出し、一同は泣けてくる思いだった

 

汜水関には、大将軍の旗印、何の牙門旗が翻っている為、ここに何進大将軍がいるのは分かっていた

 

その両隣には、紺碧の張旗、漆黒の華一文字、そして皇甫の旗があった

 

猪々子「まぁ面白そうじゃんか♪」

 

悠「だな、麗羽のこの破天荒なとこは嫌いじゃないぜ♪」

 

冥琳「まったく、会議の末に総大将になったくせに、勝手なことをしてくれる・・・・・」

 

雪蓮「事前に私達が先に攻めるって順番を決めていたのに、いきなり予定を狂わせてくれるわね・・・・・」

 

明命「大人しくしていてほしいです・・・・・」

 

麗羽「皇甫嵩さんまで董卓と結託しているなど、どいつもこいつも見下げ果てた人達ですこと・・・・・この連合がこの大陸全体の信を集めた、いかに大義の軍勢であるかを示して見せますわよ、お~~~~っほっほっほっほっほ♪♪♪」

 

そして、数人のお供と共に前へと進み出て、汜水関に呼び掛け、舌戦を試みようとした

 

その時

 

バン!!!!!!!

 

「「「「「!!!!???」」」」」

 

いきなり、汜水関の重厚な扉が開け放たれたと思いきや

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!

 

無数の騎馬隊が馬蹄の音を鳴り響かせ、突進してきた

 

麗羽「な、なんなんですの!!!??」

 

桃香「ええええええええええええ!!!??」

 

炎蓮「おい、いきなり総攻撃かよ!!!??」

 

真直「ほらやっぱりこうなったああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「うおっ!!?なんやねん、袁紹もおるで!!」

 

扉を開け走り出した途端に、今回の騒動の首魁が目に飛び込んできて霞は驚愕する

 

氷環「飛んで火にいる夏の虫とはこのことです!!」

 

炉青「はい、ここで討ち取りましょう!!」

 

雅「いや、事前に決めた通り、敵の出鼻を挫くことに集中するぞ!!」

 

傾「だな、あいつには生きていてもらわねば困る!!」

 

風鈴「そうね、今殺してしまえば、陛下達のお命が危うくなるわ!!」

 

楼杏「全軍に告ぐ、敵の総大将を討ち取ろうと思うな!!!事前に通達した通り、敵の先鋒を潰した後、即汜水関に戻れ!!!」

 

傾「全軍、突撃いいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」」」」」

 

そして、怒号とも取れる雄たけびと共に、董卓軍は一斉攻撃を開始した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麗羽「ちょっ、人の話も聞かないなんて、なんてお下品な人達なんですの!!?」

 

真直「敵の総大将が目の前にいるんですから、討ち取りに来るのは当たり前でしょおおおおおおお!!!」

 

猪々子「やべぇ!!!斗詩、悠姉!!!」

 

悠「分かっている!!!」

 

斗詩「麗羽様、下がってください!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里「はわわわ!!!??拙いでしゅ、桃香様!!!」

 

雛里「あわわわ、お下がりください・・・・・愛紗さん、鈴々さん、よろしくお願いしましゅ」

 

愛紗「承知した!!!だがあれほどの突進を受けきれるかは分からんぞ!!!」

 

鈴々「そうなのだ!!!お姉ちゃん、早く下がるのだ!!!」

 

桃香「う、うん、分かったよ・・・・・って、あれって・・・・・風鈴先生!!!!!??」

 

突撃してくる騎馬隊の中に、かつての恩師がいることを確認した桃香は驚愕を露にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨晏「うそ、いきなり来たよ!!?」

 

雪蓮「策も何もあったもんじゃないわね!!」

 

冥琳「粋怜殿、祭殿!!」

 

粋怜「ええ、大殿!!下がって!!」

 

祭「このような所で死ぬわけにもいくまいて!!」

 

炎蓮「だな、まだ戦いも始まってすらいないってのに死んでたんじゃ、かっこ悪すぎだぜ」

 

明命「うわわわ、もうそこまで来てますううううううう!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふざっけんなお前ら!!!!!ど初っ発からこんな怪我人の山拵えやがって、どういうつもりだ!!!!!」

 

現在、一刀の前には汜水関で先鋒を務めた、主だった者達が正座をさせられていた

 

その中には炎蓮もいた

 

因みに、この連合に参加しているのは、袁紹軍、袁術軍、孫堅軍、曹操軍、劉備軍、公孫軍だけではない

 

その他多くの諸侯も軒を連ねているのだ

 

先鋒には、その、その他の諸侯も幾つかいた

 

董卓側は、その、その他の諸侯の先鋒もまとめて薙ぎ払っていったのだ

 

そのため、一刀に正座をさせられている者の中には、その他の諸侯の主だった者もいた

 

それらの怪我人を、開始早々に一刀の天幕に雪崩れ込ませ、氣が尽きそうになるまで必死こいて治療をさせることになってしまったため、一刀の逆鱗に触れることとなった

 

一刀「俺が一日に治療できるのは、精々三千人までだ!!!!!重傷者がいれば更に減るんだよ、そこんとこ分かってんのか、コラ!!!!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

今回の一刀の怒りはご尤もなので、全員が逡巡する他なかった

 

白蓮「桃香ぁ、いくら一刀が居るからってこれはないだろうに・・・・・」

 

桃香「ううぅ、そうだよね・・・・・」

 

星「愛紗よ、何か申し開きはあるか?」

 

愛紗「・・・・・面目次第もない」

 

菖蒲「鈴々さん、一刀様の氣とて無尽蔵ではないのです、それはもう分かっていることでしょう」

 

鈴々「ごめんなのだ・・・・・」

 

朱里「・・・・・・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

一刀を否定していた伏竜鳳雛も、今回ばかりは尻込みするしかなかった

 

なにせ、本気で危なかったのだ

 

一刀がいなかったら、劉備軍は良い所など何も見せることが出来ず、戦線離脱を余儀なくされていただろう

 

恐らく理由はそれだけではない、なんとなく反論する気持ちが失せてしまうのだ

 

その理由は、かつての自分達の師を彷彿とさせるからである

 

生理的に、歯向かう気力が無くなってしまうのだ

 

炎蓮「ここまでど叱られるのは、親以来だぜ・・・・・」

 

粋怜「まぁ、今回ばかりは一刀君の怒りも尤もね・・・・・」

 

祭「初っ端からこの様な醜態を晒していてはな・・・・・」

 

梨晏「うう、ごめんね一刀ぉ・・・・・」

 

雪蓮「この連合の間は、彼に頭が上がらなそうね・・・・・」

 

冥琳「まったくだ・・・・・」

 

明命「あうあう、一刀様、怖いですぅ~・・・・・」

 

ここにいる殆んどが、一刀の鬼のような形相に震えていた

 

麗羽「か、一刀さん、もうそこまでに・・・・・」

 

一刀「ああっっっっっ!!!!!!???」

 

麗羽「ヒッ!!!・・・・・な、なんでもありませんわ・・・・・」

 

斗詩「うう、一刀様って、怒るとこんなにも怖いんだ・・・・・」

 

猪々子「兄貴は絶対怒らせちゃならないな・・・・・」

 

悠「普段穏やかな奴は、キレると豹変するっていうが、その通りだな・・・・・」

 

真直「・・・・・・・・・・」

 

ここにいる全員が、一刀の叱咤を文句一つ言わず受けるしかなかった

 

麗羽に対しては、更に遠慮がないように見える

 

それも当然である、なにせ麗羽がこの茶番の張本人であるのだから、言葉にも力が入るというものだ

 

蓮華「一刀、もうそこまでにしてあげて・・・・・」

 

小蓮「うん、シャオ達からもちゃんと言っておくから・・・・・」

 

一刀「・・・・・わかった・・・・・だが次はないぞ!!!」

 

そして、プンスカしながら一刀は天幕に戻っていき、白蓮、星、菖蒲もそれに続いたのだった

 

華琳「まぁ、今回ばかりは一刀の怒りも尤もね・・・・・」

 

桂花「ええ、流石に今回ばかりはあいつに同意するしかありません・・・・・」

 

風「まだ関に触れてすらもいませんからね~・・・・・」

 

稟「はい、先が思いやられます・・・・・」

 

沙和「沙和、一刀さんだけは絶対怒らせないようにするなの~・・・・・」

 

真桜「せやな、ウチもこれから一刀はんに対しては言葉に気を付けるわ・・・・・」

 

凪「・・・・・・・・・・」(ガクガクブルブル)

 

美羽「ううううぅ~~、一刀が孫堅並みに怖いのじゃ~~・・・・・」

 

七乃「私達も、一刀さんを怒らせることだけはしてはいけませんね・・・・・」

 

巴「はい、決して敵に回せません、一刀だけは・・・・・」

 

傍から見ていた曹操軍、袁術軍一同も、何も口を挟むことが出来なかった

 

そして、お説教は終わり、それぞれがそれぞれの駐屯地へと戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「・・・・・しかし、敵も鮮やかなものだったわね」

 

稟「はい、決して深追いせず、一当てしたらすぐさま戻りましたから」

 

風「しかも敵の総大将が目の前にいたのに、誰一人功を焦っていませんでしたからね~、お見事としか言いようがありません~」

 

桂花「これで敵の士気は、格段に上がったことでしょう」

 

華琳「確かに、敵の士気は上がったことでしょう、そこは見事としか言いようがないわ・・・・・しかし、敵は敢えて麗羽を見逃したようにも思えるわ」

 

稟「そのようなことをする意味があるとは思えませんが・・・・・」

 

華琳「その通り、この戦いに限っては、私が敵の立場だったら、目の前にのこのこ現れた敵の総大将を見逃す手はないもの、多少の被害は覚悟の上で何としてでも討ち取る選択をするわ」

 

風「それをしなかったということは、相手は何か他に意図があるということですか~」

 

稟「意図ですか、総大将を見逃す意図となると・・・・・その総大将が無能な愚か者であるなら、敢えて生かすことで相手方の失敗を誘う、それくらいしか思い当たりませんが・・・・・」

 

華琳「・・・・・・・・・・」

 

軍師達が色々な意見を口にする中で、華琳も思考に浸った

 

華琳「(事前に仕入れていた情報によると、洛陽に暴政が敷かれているという確かな確証はなかった・・・・・ということは、董卓は・・・・・陛下は・・・・・)」

 

全ては想像の範疇を出ないため、これ以上の考察を中断した

 

華琳「このことについては後にしましょう、推測の域を出ないわ・・・・・それで、春蘭、秋蘭、彩香、今回の向こうの将で気になった者はいるかしら?」

 

春蘭「私は、張遼と華雄が一番気になります、張遼のあの武勇は噂通りの物でありますし、華雄に至っては、北郷と太史慈と共に陳留を訪れていたため、もはや認めざるを得ません」

 

秋蘭「私が一番驚いているのは、あの何進大将軍です、果たしてあれが朝廷を腐敗させた者と同一人物なのか、甚だ疑問です」

 

彩香「皇甫嵩も無視できませんね、朝廷にあれほどの猛者がまだ残っていたというのが、驚きです」

 

華琳「そうね、張遼と華雄については武勇賢智を誇る良将と認めるのはいいとして、何進と皇甫嵩についてはひとまず保留としましょう」

 

彩香「そうですね、もう少し様子を見る必要があるかと」

 

季衣「・・・・・ねえ流琉、もう少ししたら、兄ちゃんに会いに行ってみない?」

 

流琉「うん、今は大分機嫌が悪いみたいだから止めといた方がいいと思うけど・・・・・心配だしね・・・・・」

 

季衣「うん、僕達も兄ちゃんに何かしてあげられたらいいのにね・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「お母様、皆も、いくらなんでも問題ありよ・・・・・」

 

小蓮「そうだよ、一刀の身にもなってあげなよ・・・・・」

 

炎蓮「まぁな、俺が一刀の立場だったら、怒髪天もいいとこだぜ・・・・・」

 

粋怜「最初から一方的にやられちゃったんだもの、一刀君じゃなくても怒るでしょ・・・・・」

 

祭「むぅ、この年になってあそこまで怒られるのは堪えるわい・・・・・」

 

梨晏「一刀って、怒るとあんなにも怖いんだ・・・・・」

 

鴎「明命、何をしていたのよ・・・・・」

 

思春「私達はあの場に居なかったからどうこう言えたものではないが、それでも酷いものだぞ・・・・・」

 

明命「あうあう、申し訳ありません~・・・・・」

 

駐屯地にて、兵士たちの面倒を見ていた蓮華、小蓮、思春、鴎にたしなめられ、一同はシュンとするしかなかった

 

雪蓮「それにしても、あっちはかなり気合が入っているわね」

 

冥琳「ええ、まるで溜まっているうっ憤を晴らすかのような勢いでした」

 

炎蓮「だな、怒りを発散する為に襲い掛かってきたようだったな」

 

粋怜「怒りねぇ・・・・・ということは、私達は彼らを怒らせることをしているということかしら」

 

祭「この連合が作り上げられたことそのものか、あるいは他の何かか・・・・・」

 

明命「でしたら、相手の兵を捉えて尋問をすればいいのではないですか?」

 

鴎「そうね、いくら何でも情報が足りな過ぎるわ」

 

思春「尋問と言わず、拷問をすればすぐに吐くだろう」

 

雪蓮「まぁ、一番手っ取り早い方法でしょうけど・・・・・」

 

冥琳「果たしてそう上手くいくか、どうもこの連合はきな臭くて仕方ないですからね・・・・・」

 

炎蓮「まぁな、それに拷問と言ったが、それは一刀が絶対に許さんだろう」

 

梨晏「そうですね、一刀はそういったことは絶対にさせませんよ」

 

粋怜「相変わらず甘いわね、一刀君も・・・・・」

 

祭「じゃが、この連合の間は一刀の世話になりっぱなしになるのは分かっておるし、機嫌は取っておくべきじゃろう」

 

明命「分かりました、拷問は致しません」

 

思春「まったく、厄介な奴だ」

 

鴎「本当ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美花「桃香様、大丈夫ですか?お怪我はされていませんか?」

 

桃香「大丈夫、どこも怪我していないから・・・・・皆もありがとう」

 

愛紗「いいえ、お礼は一刀様に言うべきかと・・・・・」

 

鈴々「そうなのだ、鈴々達は何もできなかったのだ・・・・・」

 

朱里「はい、まさかいきなり総攻撃をしてくるとは思いませんでした・・・・・」

 

雛里「狙い澄ましてなのか、それとも偶然なのか、袁紹さんが来た途端に仕掛けてきましたから・・・・・」

 

愛紗「私は、どちらかというと偶然の様な気がするぞ」

 

鈴々「そうなのだ、あんなの狙って出来る事じゃないのだ」

 

美花「はい、袁紹様が前に出て直ぐに全軍が突撃をしてきましたから・・・・・袁紹様が現れてから、前に出る・・・・・あの短い時間で行動に移せるとは思えません」

 

朱里「それに、向こうは袁紹さんを討ち取る気はなかったように思えます」

 

雛里「はい、まるでこちらの先鋒だけを狙っている様でした」

 

愛紗「だな、一気果敢にこちらを全滅させることもできたはずだ」

 

鈴々「うん、あの勢いだったら、鈴々なら突撃粉砕勝利するのだ」

 

朱里「向こうにはこちらを見逃したり、手心を加える理由はないと思うんですが・・・・・」

 

雛里「はい、董卓さんが書簡通りの暴君なら、この連合は向こう側にとって排除すべき対象でしかないはずです、そのようなことをする理由が見当たりません・・・・・」

 

桃香「それもなんだけど、皆・・・・・気になることが、あるの・・・・・」

 

愛紗「如何しました?」

 

鈴々「にゃにゃ、どうしたのだ、お姉ちゃん?」

 

いつになく暗く深刻そうな桃香を義姉妹は訝しんだ

 

桃香「董卓軍の中に・・・・・盧植先生・・・・・風鈴先生がいたの・・・・・」

 

愛紗「なっ、風鈴殿がですか!!?」

 

鈴々「どういうことなのだ!!?」

 

桃香「私だって分からないよ!どうして先生が董卓さんに味方しているのか、全然分からない!」

 

かつての桃香の恩師が敵に回っていると聞いて、愛紗と鈴々は愕然とする

 

桃香にとっての先生なら、それは自分達にとっても先生である

 

なのに一体どうしてこんなことになっているのか、自分達も訳が分からなかった

 

愛紗「桃香様・・・・・見間違い、ではありませんか・・・・・」

 

鈴々「そうなのだ、お姉ちゃんの先生が董卓に付いているなんて、ありえないのだ・・・・・」

 

桃香「そ、そうだよね・・・・・見間違い、だよね・・・・・」

 

自分が恩師を見間違えるはずがない、と思うが、今はそう思ってないとやってられなかった

 

雛里「朱里ちゃん、やっぱり董卓さんは・・・・・」

 

朱里「それは考えないようにしよう、私達はここまで来ちゃったんだもの、あとは進むしかないよ・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真直「麗羽様!!!!この連合の間は私の指示に必ず従ってもらいます、絶対服従です、いいですね!!!!」

 

麗羽「は、はいいいいい!!!分かりましたわ!!!」

 

猪々子「うわぁ~~、どっちが主なんだか・・・・・」

 

斗詩「でも、しょうがないよ・・・・・」

 

悠「ああ、あんなことになっちまったんじゃな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「うほぉ~、一刀の声がこっちにも響いて来とるで・・・・・」

 

楼杏「まぁ、一刀さんからしてみればね・・・・・」

 

風鈴「そうね、怒りもするわよ」

 

駐屯地にて大失敗をしでかした者共を叱り付ける一刀の声は、汜水関にも届いていた

 

その怒声に、董卓側も何とも言えない気持ちになってくる

 

傾「して、これからはどうするか?」

 

氷環「これからは、可能な限り籠城に専念するべきでしょう」

 

炉青「はい、今回の作戦は、あくまで奇襲どす・・・・・二度と同じ手は通用しないどすよ」

 

霞「せやな、皆の士気も結構上がったようやし、当初の目的は果たせたんちゃうか?」

 

風鈴「それでは、基本は籠城として、あとは臨機応変にいきましょう」

 

ここからは、汜水関という防衛拠点を生かすことに、一同は納得した

 

傾「しかし、素晴らしい滑り出しだな、これはもしかしたら勝てるのではないか♪」

 

楼杏「確かに今回のこちらの被害は皆無で、向こうには相当な被害を与えていますが・・・・・その考えは捨てた方がいいでしょう・・・・・」

 

風鈴「そうね、こっちはあくまで負けない戦いをするしか手はないもの・・・・・」

 

傾「むぅ、勝ちまで望むは欲張りか・・・・・」

 

これまで、こういった爽快な攻撃をしたことがなかったため、勝てると思い込んでしまう傾を誰も咎めることは出来まい

 

かといって、この戦いはこちらが負けるのは確定しているのである

 

自分達にできるのは、空丹と白湯の命を救う為に、この茶番に興じる事だけである

 

雅「だが・・・・・今回の向こうの被害は、無いと言ってもいいだろう」

 

楼杏「え、何を言っているの!?あれだけ敵の先鋒を潰したのよ、それなのに被害がないなんて・・・・・」

 

氷環「そうですね、あちらには隊長様がいらっしゃいますから」

 

炉青「はい、あに様の五斗米道は死なない限りはどんな傷をも癒すそうどすし~」

 

霞「せやったら、一刀を向こうにやったんは、失敗やったかもしれへんな~・・・・・」

 

雅「それも意味はないだろう、なにせ糧食の問題がある」

 

風鈴「そうね、なにせ緊急で用意したもの、この汜水関だけでも精々三日ももてば良い方よ」

 

楼杏「その前に向こうの糧食が尽きるのを願うけど、それも希望的観測ね・・・・・」

 

炉青「でも、あに様が一日に治療できるのは三千人までらしいどす」

 

氷環「隊長様の氣も無限というわけではありませんから」

 

傾「三千か、それでも驚異的と言わざるを得んな・・・・・」

 

霞「ちゅうことはや、こっちがどれだけ向こうに被害を与えても、怪我人を増やすだけじゃほとんど意味ないっちゅうことか」

 

炉青「はい、ただこちらの体力が消耗されるのみどすやろな~」

 

氷環「相手の息の根を確実に止めない限りは、こちらが一方的に被害を被ることになるでしょう」

 

傾「ではそうするか、今後は手加減など一切する必要はないと、全軍に通達するとしよう」

 

楼杏「それはそれで・・・・・」

 

風鈴「ええ、一刀君が苦しむことになりそうね・・・・・」

 

炉青「ですが、ただ怪我人を増やすだけじゃ、あに様一人が苦労するだけになるどすよ!!」

 

氷環「はい、隊長様の為にも私たち一人一人が背負っていかねばなりません!!」

 

霞「どっちにしたて苦しむんは一刀ってか・・・・・まったく難儀なやっちゃで・・・・・」

 

こうして、汜水関の戦いは切って落とされたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Seigouです、

 

今回は、つかみ兼チュートリアルといったところです

 

この汜水関の戦いがどういったものかを説明する為に、敢えて1万字超えの長めの文章にさせていただきました

 

まだまだ、一刀の苦行は始まったばかりです

 

待て、次回


 
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