鳥が空高く飛んでいくのを見て僕は・・・心底羨ましく思った。
じわじわと、地面が熱を帯び始める。
夏の日差しはとても強く、今日も真夏日の予報だ。
僕はゆっくりと天を仰ぐ。
まぶしい太陽が、すぐに視界を白に変えた。
空は・・・遠い。
人は地べたを歩くしかないのだ。
重力の重みを全て受け止めて、地べたを歩くしかないのだ。
自由に空を飛ぶ鳥たちは、僕らをどう思っているのだろう?
高く高く飛んだ鳥にとって、小さな小さな点でしかない僕らは、どんな存在なのだろう?
鳥なんて生き物は大概が僕ら人間よりも小さいけれど、きっと、本当にちっぽけなのは僕らの方だ。
機械の箱に乗って飛ぶ僕たちを、自由に飛ぶ鳥たちはこう言うに違いない「人間って、一人じゃ何も出来ないんだね」と。
僕らは依存している。
産まれること。
生きていくこと。
死んでいくこと。
全てが依存している。
野生を捨てた動物。
理性を得た動物。
幸せなのか?
不幸せなのか?
人の世を生きることはしがらみ。
煩わしさが、僕は嫌いだ。
一人になろう。
せめて心だけでも、天空へ・・・。
重力に押さえつけられた体を捨てて・・・。
鳥が空高く飛んでいくのを見て僕は・・・心底羨ましく思った。
僕はきっと、鳥になりたいのだと思う。
全てのしがらみを取り払って、大空へ・・・。
もしも翼があったなら、僕はもう、二度と人の世に戻らない。
僕はきっと、鳥になりたいのだと思う。
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おそらく人類最古の願望