それはきっと突然やってくる。
「へっくしゅ…うぅ、寒いな今日は…」
炬燵に入り、TVを見る。
流石にこの時期はどこもあまり面白い番組はやってない。
「今年ももう直ぐ終るなぁ」
TVを消しそのままゴロンと横たわる。
クリスマスも過ぎ、後は数日経てばもう次の年だ。
思えばこの一年は一番大変だったと思う。
「ま、その分楽しかったけどな…」
命の危険もそれなりにあったが、過ぎてしまえば懐かしい思い出だ。
あの悲しい過去も今では普通に思い出す事ができる。
「あいつのおかげ、かね」
今頃皆でのんびり夕食をとってるのだろう。
自称俺の一番弟子は肉が食べたいと叫んでるはずだし。
我が同僚は、それに苦笑しながらもその要望に答えているのだろう。
そして所長はそれを見て、機嫌が悪そうにしながら本心は楽しんでいるはず。
最後にあの素直じゃない子は…
ドンドンと扉を叩く音がする。
正直言えば炬燵から動きたくないが、お隣さんかもしれない。
ならば、出ないわけには行かないだろう。
名残惜しいが、さくっと出ますかね。
「寒い」
ドアを開けると、それはお隣さんではなく、
件の素直じゃない子だった。
「ま、入れよ」
「うん。炬燵使える?」
「あぁ。ほれ、其処にいると冷えるだろ早く入れ、俺も寒い」
「んー、外よりは暖かいわね」
この家にストーブなんて高級機材は、あるが使わない。
燃料代払うくらいなら、そのお金で豪勢に牛丼でも食べるだろう。
いそいそと二人炬燵に入る。
「生き返る~」
「年寄り臭いな~。痛てっ、物投げるなよ!」
「可憐な少女に向かって言う言葉じゃないわよ」
「少女な所は認めるが可憐かというと疑問だ」
冗談だ冗談。頼むからその分厚い本の角で殴ろうとしないでくれ。
「しかし、最近よく来るな」
「いいじゃない別に。折角こんな美女が来てるんだからもっと喜びなさいよ」
「自分で言うな」
「事実だもん」
やれやれ、俺も調子のいい。
こいつが来てから急に寒くなくなった。
「ねぇ?」
「何だ?食い物はもう無いぞ」
「別にたかりに来た訳じゃないわよ、これ以上絞ったら枯れそうだし」
「ほっとけっ」
「それ、つけてたんだ?家の中なのに」
俺の首元を見ると、黄色のマフラーが装備されている。
防御力は上がらんぞ?暖かいがな。
「炬燵だけだと寒いからな」
「ふふん、私からのプレゼントだからじゃない?」
「さぁーな」
たく、痛い所ついてきやがる。
半分当たってる辺り言い返せない。
「よいしょっと」
「おいっ?何する、ってあー」
急に俺の傍まで寄ってきてマフラーを外してくる。
寒いんだから返せって。
「言われなくても返すわよ、ほらっ」
無駄に長いマフラーは俺とあいつの首元をすっぽり覆ってしまう。
そしてそのまま俺の隣で炬燵に入る。
「お前、これが目的だったか?」
「何の事かしら?言ったでしょ。ぼーっとしてたら長くしすぎただけよ」
くすっと笑う。
あぁ、間違いなく確信犯だな。
だが、まぁ。
「暖かいから、別にいいか」
「そうそう、気にしないの。それとも恥ずかしい?」
「まさか、もう馴れたよ」
「ふーん、男っぷりもレベルアップって訳ね」
相変わらずああ言えばこう言う奴だ。
やってる事は全部素直なのに。言動だけは素直じゃない。
だからこそ。
「なぁ、タマモ?」
「なによ横島?」
俺達は友達みたいな感じで恋をしてるのかもしれないな。
―おわり
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今先ほど書き上げたものです。
書いてて何なのですが、短い上に
何が書きたいのか良くわかりません(汗
ほんのりまったりと生きている二人のお話…かなぁ?
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