領地を巡る争いに負け、地方に島流しにされた神妖の表情はもっと暗いものである。
中央のプライドを捨てられず、故にそのまま立ち直れず零落して行く者は少なくないのだが、
その点でこの大天狗、秋葉権現はひと味違っていた。
周防に流れ着いたその日から、全く落ち込む素振りもなく辣腕を発揮。
瞬く間に木端神妖達の信仰を集め、ついに中央時代と変わらぬ神徳を誇示したのである。

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これほどの女丈夫が敗れるとは、中央神妖のレベル推して知るべしといった所だが、
中部七国平定を成したものの、数奇な運命を辿った四尾の待宵と、
結果的に孫の代まで血を繋ぎ、安寧を得た秋葉権現とでは明暗がくっきり分かれている。
神様会議界隈では文字通りの「おしどり夫婦」として有名であり、
いずれは神様としての性質が「縁結び」に変質するのではないかと噂されている。