五胡の一部族、鮮卑の急襲から始まった、諸外国の同時侵攻。
北郷一刀を巡り、互いを監視していた為に、対応の遅れた三国同盟であったが。
すぐさま三国同盟は結束を取り戻し、五分五分まで戦況を持ち返す。
しかし、決戦において奇襲を受け、戦線を維持する為に本陣は前進撤退。
北郷一刀はその撤退中に蓮華を庇い、崖下へと転落したのだった。
夜襲によって崩壊した後曲を放棄し、三国同盟軍の本陣は前曲へと移動した。
追撃してきた五胡兵は、三国同盟前曲で健在だった大軍の弓隊の掃射によって辛うじて追い払うことが出来た。
前曲を組み入れ再編成した本陣は、前曲の『八陣図』に用兵された騎兵・歩兵・弩兵・弓兵含め、まだ健在であった。
しかし、その軍議の場は、重苦しい沈黙が支配していた。
その場にいるのは、桃香、朱里、音々音、華琳、桂花、風、稟、蓮華、冥琳、思春、亞莎。
朱里と音々音、亞莎は涙を堪え切れず、口を押さえ嗚咽を漏らしており。
蓮華は思春に支えられ、ようやく立っているような状態だった。
それ以外の将軍は、更なる夜襲に備えて巡回中の為、この場にはいない。
沈黙の原因は、北郷一刀が崖に転落し行方が分からないこと。
加えて。
呉王・雪蓮が合流出来ていないことだった。
暫しあって、沈黙を破ったのは華琳。
しかし、彼女とて終始俯き加減で、その表情は沈痛。言葉にも力が無かった。
「雪蓮と共に撤退していた兵の話によると、撤退中の山中で突如山崩れが起き、それに巻き込まれたそうよ……」
「……ここ最近、この付近で大きな雨はありませんでした。五胡の罠でしょう……」
「雪蓮……姉様……」
(……蓮華様を支えてきた四柱のうち、二柱もが一夜にして崩れてしまった……)
蓮華を常に支えて来た大きな柱――雪蓮、冥琳、思春。そして最近になって急速に彼女の心を大きく占めた北郷一刀。
その半分を失い、今にも崩れ落ちそうな蓮華を支えつつも、思春は掛ける言葉を見つけることが出来なかった。
冥琳は、それでも冷静に状況を語る。
「……戦況はかなりまずい状況だ。あの象なる動物の突進は、戦車や柵でも止められないし、この狭い戦場では回避も難しい。まして……『天の御遣い』を失ったことが兵に洩れれば、戦線を維持できないほどに戦意は落ちるだろう……」
確かに北郷一刀という人間は、庶民と呼ばれる階級に絶大な人気を誇る。彼が徒(ただ)の将軍であったなら、彼の死は兵隊達を怒りによって奮い立たせることも可能だったであろう。
しかし、彼は『天の御遣い』であったのだ。その彼が参加していた戦で死んだ。それを知った兵はこう思うだろう。
『我が軍は天に見放されたのだ』と。
「公瑾殿!蓮華様は……!」
「今!今こそ判断を遅らせるわけにはいかん。たとえ……誰に何があろうとだ!」
思春の激昂に冥琳は声高に叫び返した。
断金の盟友を失っても、彼女は揺るがない。
揺るがないからこそ、彼女達の絆は『断金の交わり』と呼ばれたのだ。
「北郷のことは……少なくとも兵隊には伝えずにおくしかあるまい……」
「将軍達には……?」
「……国主の判断に任せるわ……魏は伝えるとする。万一途中で戦意を挫かれては困る……から」
華琳は蓮華を一瞥し、冥琳に視線を向ける。
「…………」
しかし、冥琳は蓮華を見据えるだけで、黙したまま。
ややあって、ようやく蓮華が答えた。
「……呉も……伝える。不確定要素は、除かねばならない……」
それを聞き、華琳は頷いた後、続いて桃香を見る。
桃香は暫し黙想し、ゆっくりと言った。
「……これから全員に伝えに行きます」
「……大丈夫なの? あなた達は……蜀の将達は、一刀を拠(よりどころ)としている部分が大きいわ」
「うん、大丈夫。ご主人様と一緒にこれまでやってきたこと。これからやらないきゃいけないこと。みんな、絶対分かってくれるから」
(あの甘ちゃんだった桃香がね……蓮華は、二人の喪失から立ち直れるかしら……)
内心を漏らすことなく、華琳は宣言した。
「じゃあ、各国の将軍をこの場に集めましょう……」
軍議用の大天幕に集められた各国の将軍は、蜀王・桃香から北郷一刀の、呉の柱石・冥琳から孫策の顛末について、その一部始終を伝えられた。
声を上げて泣き出す者。
俯き黙す者。
天を仰ぎ見る者。
歯を食いしばる者。
崩れ落ち、嗚咽を漏らす者。
やはりというべきか。最も動揺を見せたのは……愛紗だった。
「……う、嘘だ。そんなことがある筈がない!そうでしょう、桃香様!?」
桃香に詰め寄り、その華奢な肩を乱暴に揺する。
「そんな……そんなこと!あり得ない!」
「愛紗ちゃん……」
桃香が首を振り否定すると、愛紗は滂沱し膝から崩れ落ちた。
「ああぁぁぁぁっ……!うあぁぁぁぁぁぁ……!!」
面(おもて)を上げることもできない愛紗を、桃香が包み込むように抱き締める。
そこへ、その円らな瞳に一杯の涙を溜めた鈴々が歩み寄った。
「……お姉ちゃん……ホントなの?ホントにお兄ちゃんは……」
桃香はただ頷いた。
幼くとも、重い使命を自らに課し、如何なる戦場も駆け抜けた勇猛なる武将。燕人張飛と謳われた一騎当千の武人。
それでも。
「鈴々は……お兄ちゃんを、守れ……なかったのだ……!」
いかな武を誇る彼女とて人の子。況(ま)してや、その本質は幼子であった。
今、彼女は失われたものの大きさに、唯々涙するばかりだった。
恐らくは。はっきりと涙する鈴々を見たことは、その義姉二人すらなかったに違いない。
せめて悲しみが幾分でも薄れるようにと、義妹二人を抱き締める桃香。
嗚咽だけが暫く響いた。
自らの理想の主を喪失した衝撃に、茫然自失のまま涙する朱里も。
誰よりもリアリストであり、常より飄々たる星も。
赤子の如く泣き喚く音々音も。
尻餅をついたまま、涙を流すことしか出来ない翠も。
蜀の年長者である紫苑も。
普段なら憎まれ口を叩くだろう焔耶も。
誰もが、口を開くことは出来なかった。
だが、かつて桃園で誓いあった義姉妹の長姉は、瞳をきっと見張り。皆々へ語りかけ始めた。
「……うん。でもね。愛紗ちゃんも鈴々ちゃんも……みんなも聞いて欲しい」
桃香は愛紗を立ち上がらせ、その瞳を覗き込む。
愛紗が見返したことを確認してから、次に鈴々と目を合わせ。最後に全員を見回した。
「蓮華ちゃんにはもう伝えたけど……ご主人様から、みんなに伝言があるの」
「で……んごん……?」
「そうだよ。ご主人様から。だから、みんなに聞いて欲しい」
一旦間を置き、すうと息を吸い込む。
「『進め』」
桃香は、唯(ただ)一言。そう発した。
「『進め』……?」
「そう……私達は、今までずっとそうして来たでしょう?」
たった四人の『桃園の誓い』から始まった、天下泰平への戦い。
ひたすら戦った黄巾党との戦争。
領地を拝領したものの、朱里・雛里に頼りっきりだった初めての統治。
反董卓連合から始まった、漢王朝の瓦解と戦国乱世。
曹操の侵攻に対抗できず、徐州から初めての敗走。
益州を平定して、呉と同盟。赤壁での魏との決戦。
五胡の大侵攻に対する魏・呉・蜀の三国同盟締結。
天下三分の計によって、大陸に訪れた平和。それを維持する為の治世という戦い。
「私達が望む世界を――平和な世界を手に入れるには、進み続けるしかないんだよ!」
瞳に輝く意志の光。それはいつも周りの皆を導いてきた理想の光。
諸侯からは、甘いだけの夢物語だと切り捨てられ続けても。
それでもなお彼女は――彼女と彼は進み続けた。
愛紗も鈴々も、そんな二人を常に守り続けた。
いつしか仲間も増え、その光はどんどんと大きくなっていった。
それは、大陸が三国によって平定されてからも変わらなかった。
(そうだ。いつだってご主人様は――私達は進み続けて来たんだ……)
「だから……立ち止まっちゃ駄目だよ、愛紗ちゃん」
「桃香様……お強く、なられましたね……」
「ぐしゅっ……へへん、愛紗は相変わらず泣き虫なのだ!」
「……ふん!そういうお前こそ泣いているではないか!」
「やっといつもの二人になってくれたね。ふふっ……」
自らも瞳に涙を溜めつつ、桃香も笑った。
三義姉妹が放つ光に呼応するように、蜀の将達の瞳にも力と光が宿る。
「桃香様……!」
「――全く。我らが王には敵いませんな」
「うふふ。流石は桃香様ね。そう……ご主人様ならきっと、そう仰った筈ですもの!」
「ぐじゅっ……あ、あんなへぼ太守がいなくたって……ねねが、恋殿の家とこの国を守ってみせるのです!」
「ふん!我ら将は桃香様をお守りし……その理想を邪魔するものを叩き潰すのみ!」
「……そうだ。あたしらが泣いてたって、ご主人様は笑ってくれないよな……!」
「それにね。私はご主人様が死んだなんて思ってない。だって……ご主人様は『天の御遣い』だもん!このくらい、へっちゃらだよ、きっと!!」
そう言い放った桃香は、皆に笑顔を見せ、また皆も笑顔を返したのだった。
「眩しいわ、思春……」
「蓮華様……?」
「一刀を失ったあの暗闇の中、標(しるべ)を見失った私を導いてくれたのも、あの光。
そして今……俯いた蜀の皆に、前を向く力を与えた――あの光こそが、人を王たらしめるのね。
……雪蓮姉様がいない今。孫呉を導く光に、私がならなくちゃいけない。それこそが、孫家に与えられた使命」
「……」
蓮華の長い独白を、黙して聞く呉の将達。
「でも……まだ私には力が足りないわ。だから――皆、力を貸して頂戴」
今や、蓮華は一人で立っていた。その瞳には、やはり意志の光が輝いている。
「この甘興覇……持てる力、全身全霊を以って!」
「我が才の全てを賭して、孫呉と大陸の繁栄の為に――」
「せ、精一杯!頑張ります!」
「はい!お任せください!」
「この老骨に出来ることならば、なんなりとお申し付け下されい!」
その光を反射するように、呉の将達も口々にその誓いを宣言した。
(本当に……強くなったわ、桃香。この曹孟徳が、あなたから力を貰う程に)
魏王・華琳は、愛しき従たちを一人ずつ見据えていく。
夏侯惇、夏侯淵、許緒、典韋、荀彧、程昱、郭嘉、張遼、楽進、于禁、李典。
一人また一人と、悲しみを振り払い、臣下の礼を取って跪く。
全幅の信頼を置く曹魏の将と軍師を見下ろし、魏王・華琳は毅然と言い放つ。
「さあ、作戦を考えるわよ。――大陸の平和を取り戻す為に!」
同盟軍の本陣に木材を叩く音が響く。
明日の作戦の為に、夜通し作業で戦車を解体し、森の木々から木材を作り、障害物を設置しているのだ。
「眠れないの? 桃香」
将達は交代で休憩する手筈になっているが、桃香は一人月を見上げていた。
「――華琳さん。と、蓮華ちゃんも?」
「泣いて、いたの?」
その姿は、とても儚げで。思わず華琳はそう問い掛けていた。
「……ううん、ちょっと考え事。さっきも言ったけど、私はご主人様が死んだなんて思ってないから。勿論、雪蓮さんもね。そう言う二人も……眠れないの?」
微笑む桃香。
明らかにその瞳の周りは赤く腫れており、泣いていたのは一目瞭然ではあったが。
少なくとも、その瞳と言葉には絶望を跳ね返す力が込められていた。
そんな彼女に、華琳も蓮華も幾分雰囲気を和らげた。
「ああ。どうしても……な」
「蓮華ちゃん、『王様もーど』なの? 今は私達三人しかいないし、『女の子もーど』でいいと思うな♪」
「お、王様もーど?」
「きりっとした方の蓮華ちゃんを、ご主人様がそう呼んでたんだよ」
「またぞろ天界の言葉でしょ。でも……言いえて妙かもね」
「ふう……それもそうね。ふふ、『女の子もーど』、か……」
くすりと笑う蓮華はどこか子猫のようで、桃香も華琳も釣られて笑う。
「……ねえ。華琳さん、蓮華ちゃん。私――どうしても、今。聞いておきたいことがあるの」
と桃香が切り出した。二人も沈黙で続きを促す。
「二人とも……ご主人様が、北郷一刀さんが好き?」
華琳は一瞬たじろいだが、すぐに持ち直し、腕を組んで瞑目する。
蓮華は明らかに動揺し、泡を食っていた。
まずは華琳が答えた。
「――そうね。正直判然としない悔しさはまだあるけれど……男に唇を許してもいいと思ったのは、アレだけだわ」
「そっか。蓮華ちゃんは?」
「く、く、くちびっ!?……って、ええ!? わ、私は……」
暫し口はもごもごと動いていたが、はっきりとした言葉は出ず。
しかしとうとう観念したか、口を開いた。
「……私も。彼が……北郷一刀が好きよ。それに雪蓮姉様も小蓮も、きっと私と同じくらいに」
「だよねぇ」
と桃香は苦笑。
「で……この状況で、改めてはっきり聞いた意図を尋ねてもいいかしら?」
「うん。……私ね。赤壁の後の決戦で、華琳さんに言ったよね。『たった一人がいなくなっただけで崩れる平和じゃ意味がない』って」
「……確かに聞いたわ」
「でも。私は自分の理想に目が眩んで、道を見失ってた。だから……魏や呉のみんながご主人様と仲良くなろうとしたとき、なんだかご主人様を取られてしまうような気がして。私達の“たった一人”がいなくなってしまう気がして。……だから納得出来なくて対抗したの」
「「……」」
二人は沈黙した。
極論を言えば、現在のこの難局を作り出してしまったのは、三国が北郷一刀を取り合い、諸外国への注視を怠ったからだ。
「だから考えてたの。もし……もし、ご主人様が戻って来てくれたらって」
「万一、戻って来たとしても……振り出しに戻るだけじゃないの? 当然、今回の反省は生かすけれど」
片手を上げて肩を竦めつつ、疑問を提示する華琳。
対して、桃香は真っ直ぐに華琳を見据えた。
「華琳さん。もし、ご主人様が戻って来てくれたら。私を天子様に会わせて欲しいの」
「劉協に……?」
漢王朝の現皇帝・劉協は現在曹魏の庇護の下に在る。
しかし最早権威ばかりでその力は――武力も権力も――無きに等しい。
「直接、天子様に上奏したいことがあるの。もうこんな仲違いで平和が崩れないように。だって……私達はもうお友達――『仲間』なんだから」
「「!!」」
『仲間』――いつしか、また幾度となく、北郷一刀本人からも聞いた言葉。
「ま、まさか……桃香、あなた……!?」
「ど、どういうこと!?」
「ご主人様なんだもん。みんなが好きになっちゃうのはしょうがないよ。今までだって私達はそうやってきたのに。『国』が違うってだけで拒絶して。私は理想へ、平和への道筋を見失ってた。だから――」
山颪(やまおろし)が吹き、三人の王の髪を棚引かせる。
「――――――」
桃香の言葉に、蓮華は動揺し、華琳は一瞬呆けた後、大きく笑い出した。
「じ、自分が何を言っているのか、分かってるの、桃香!?」
「――くくっ、ははは……あはははははは!」
「か、華琳! 笑い事じゃないわよ!?」
「あははは……! なに、蓮華は文句があるの? 桃香は“既得権”を捨てて、私達に機会をくれるのよ?」
「そ、それは……」
言い淀んだその時、蓮華は雪蓮が以前零していた言葉を思い出した。
『あ~あ。一刀が呉に降りてくれればよかったのに……』
そうだ。もし、桃香の言ったことが実現されれば、一刀は『蜀王の下に降臨した天の御遣い』ではなく、『大陸に降臨した天の御遣い』となる。
「桃香は……蜀の者達は、それでいいの……?」
「私達は今までもそうやってきたんだよ。
最初は……私と愛紗ちゃんと鈴々ちゃん、そしてご主人様の四人だけだった。
次に朱里ちゃんと雛里ちゃんが軍師になってくれて。
星ちゃんが力を貸してくれて。白蓮ちゃんが逃げて来て。
月ちゃんと詠ちゃんが侍女さんになって。
麗羽さんと猪々子ちゃん、斗詩ちゃんを保護して。
恋ちゃん、ねねちゃんと仲良くなって。
益州に逃げてからも、翠ちゃんとたんぽぽちゃん。紫苑さんと桔梗さん、焔耶ちゃんが仲間になってくれた。
南蛮から美以ちゃんたちも来てくれた」
昔を懐かしむように、順々に仲間達の名を挙げていく。
「そうやって私達は理想の為に強くなった。今度だっておんなじだよ♪」
「これが、蜀の『大徳』の器……いや、何か違うような……」
「ふふ、気にしたら負けよ蓮華。相手は天然なのだから」
「あ~、ひどーい!……でも、言っておくけど」
不平を漏らし頬を膨らませた桃香だったが、すぐにふにっと笑う。
「“一番”はわ・た・し、なんだから♪」
その一言に、華琳は面白げに笑い、蓮華は驚いた猫のように瞳を丸くする。
「あら、それはどうかしらね?ふふふ……」
「なっ!? わ、私だって……負ける気は更々無いわ」
「えへへ。そうだよね♪」
相対しつつも笑い合う三人の王。
「さあ。となればなおさら明日からの決戦に負けるわけにはいかないわね」
「――明日の戦いの先に、平和を掴む為に」
「うん!」
いつも通り、威風堂々とした華琳。その頭脳では必勝の為の策を組み立て続けている。
一瞬で王の目となった蓮華。月を見上げる彼女の胸中にあるのは、姉の面影と祖国の風景。
蜀王・桃香は、そんな二人へ信頼の眼差しを向ける。
大きな存在を欠いたままの王たちの語らい。しかし、誰もがその喪失には触れず、ただ未来を見据える。
そう――今は悲しみに耽る時に非ず。
たとえ、北郷一刀も雪蓮も戻らずとも。最早、三国――いや大陸の平和が崩れる事は無い。
三人の王はそう確信していた。
明くる日。この戦、正に正念場である。
同盟軍本陣には、敵の侵入を妨害する様々な障害物が無数に立てられており、兵は布陣していなかった。
その障害物から後方(北方)には――魏・蜀の騎馬突撃(ランスチャージ)隊とその後方の騎馬隊が雁行陣にて、数に勝る鮮卑騎馬隊の方陣に相対する。
その逆側。障害物だらけの本陣から前方(南方、昨日の同盟軍本陣方向)には、呉軍を中心として三国の歩兵隊が魚鱗陣を布陣していた。
そして櫓に登り、その勇姿を見せたのは三国の王。
その中から、蓮華が前に出る。
「聞け!呉の兵(つわもの)よ!友なる同盟の兵(つわもの)よ!」
剣を抜き放ち、前方へと翳(かざ)しながら兵達へと語りかける。
「卑怯なる五胡どもの罠により、我が姉・孫策は謀殺された!
そうだ! 奴等は夜闇に乗じて山を崩し、我らが王を殺したのだ!
だが兵達よ! 恐れるな! 呉王・孫策は、今でも我らを守ってくださる! 我らに力を与えてくださる!
敵に立ち向かう勇気を! 敵をねじ伏せる剛毅を!
勇敢なる将兵よ! その猛き心を! その誇り高き振る舞いを! その勇武なる姿を我に示せ!」
蓮華は、掲げていた剣を一旦床に突き刺し。右手を剣の柄に。左手を自らの胸に当てる。
「兵よ! 我が友よ! 愛すべき仲間よ! 愛しき民よ!
我が名は孫仲謀! 孫文台、孫伯符に続く三代目の呉王である!」
王を名乗った蓮華は、剣を引き抜き……その剣で以って自らの後ろ髪を切り落とした。
――それは偉大な母、姉を継ぐ覚悟の顕れ。
――失ったものを振り返らない覚悟の顕れ。
その覚悟と共に……剣を天高く掲げ、なお大きく、高らかに宣言する。
「三国同盟を代表し、ここに大号令を発す!
大陸の平和を脅かす、忌むべき敵を!悉く討ち滅ぼせ!
全軍!突撃ーーーーー!!!」
新たなる呉王、孫仲謀――蓮華の大号令により、同盟軍は前後に同時突撃を開始した。
------------------------------------------------------------
後方(北方)の鮮卑騎馬隊に対し、蜀・魏の騎馬突撃(ランスチャージ)隊が雁行陣でもって当たった。
リーチの長さを生かした騎馬突撃は、優秀な鮮卑騎馬隊に対しても大きな効果を発揮した。
騎馬同士の正面激突は明らかに同盟軍側が優勢で、敵本陣に迫る勢いであった。
またその後方から、一撃離脱を主とする突撃騎馬の後背を補助すべく、張遼と馬超の親衛隊を中心とした騎馬隊が波状攻撃を仕掛ける。
二人の親衛隊には、絶対に後退しないことで有名な羌族(チベット系民)が多く所属しており、その突撃力は凄まじかったが、隊を率いる将軍である翠と霞の武力は、それすら霞む程に圧倒的だった。
「あたしの槍は天の光を受けし白銀の一閃!!――おらぁぁぁぁ!纏めてぶっ飛びやがれぇぇぇーーー!!」
「こんな激情に身を焦がすんは初めてや……! おんどれらにも、ウチの怒りを教えたらぁぁぁぁぁ!!」
先日までとは全く違う戦法に、鮮卑騎馬兵は意表を突かれた形ともなっていた。
しかし、鮮卑騎馬兵もまた退かずに激しく応戦した。何故なら、自分達と反対側から戦象兵の突撃で挟撃する手筈になっている上、こちらの騎馬隊は、今日中にも更に後方から援軍が補充されることが分かっていたからである。
しかし、同盟軍の狙いは騎馬隊本陣ではなく、電撃的な一当ての後の、一斉退却であった。
「そろそろかいな!?」
「おう! 全軍反転ーーーー!一気に引くぞーーーー!!」
大きく銅鑼が鳴らされる。
敵前曲を突き抜けるが如く突進した同盟軍騎兵は、今度は真逆に反転し、波が引くように走った。
しかも“帰り”がけの駄賃とばかりに騎馬突撃に加え、翠・霞の二人の猛将が鮮卑騎馬兵を散々に蹴散らしながら。
------------------------------------------------------------
一方、前方(南方)の五胡兵……先日の夜襲後、そのまま陣を構築した戦象兵隊を中心とした部隊に対して、同盟軍の歩兵を中心とした部隊もまた退く事なく突撃を敢行した。
『八陣図』を採用しなかったのは、戦象兵の攻撃力が脅威であったことと、なにより機動力の確保だった。
まず、馬上の武将が先陣を切り、象よりも小回りの利く騎馬で乱戦に持ち込んだ。
すると、それまで直線で動いていた戦象兵は、途端にその機動力を失った。
(やはり一刀の言った通り! 興奮剤で戦場に駆り出しているが故に、火こそ恐がらないけれど……混乱すればただ暴れるだけ!)
前方の基本戦術は、騎馬の速度による象の撹乱がひとつ。そして……
「敵は混乱しているぞ!愚鈍な獣は無視しろ!弓兵は乗っている人間を狙え!歩兵は突き進め!!」
魚鱗陣とは「△」の形に兵を配し、敵より少数兵力の場合でも正面突破に有効な陣形であるが、特に今回は、その名の通りの『鱗』が戦術の骨子だった。
そも魚鱗と呼ばれるのは、全兵力をひとつの密集陣に纏めるのではなく、数百人単位の密集陣を単位として編隊する為である。そしてその密集陣に、八陣図の要点である長槍・弩の兵を組み合わせたのだった。
また、先陣部隊には、精鋭たる『鋼鉄陣』の重装歩兵が配置されており、その優秀な武装をもって五胡歩兵を切り崩し、後方からの槍・弩兵の『鱗』が突進する道を作る。
これにより、暴れるだけで向かってくるわけでない戦象兵を半分無視できるだけでなく、八陣図の簡略版とも言うべき、全体の攻撃力と突破力を確保したのである。
但し、これは横撃や後方からの追撃、また包囲されることに対しては極端に脆い戦術である。
そこを『呉王孫策の死』という起爆剤を用いて一気呵成に突撃し、その先の友軍と合流することが今回の同盟軍の策だった。
------------------------------------------------------------
その頃、後方(北方)では同盟軍の騎馬隊が電撃的な撤退を見せていたが、その背後からは、これまた猛烈な勢いで鮮卑の騎馬隊が追撃を仕掛けていた。
もし、このまま撤退して同盟軍前曲に追いついてしまうと、鮮卑騎馬隊も前曲に突撃することになり、作戦が崩壊してしまう。
しかし。
両軍の騎馬隊が向かう先――同盟軍の無人の本陣には、山地の間に迂回出来ない程の夥(おびただ)しい数の障害物が張り巡らされていた。
「野郎共!分かってんな!?間違えたら死ぬぞ!!」
障害物を直前にしても同盟軍の騎兵達は速度を落とさない。そしてそのまま――通り抜けた。
驚愕したのは、追撃をかけようとしていた鮮卑の騎馬隊である。彼らにとっては障害物がある限り、その速度を落とさざるを得ない。しかも、障害物を通り抜けようとすると、落とし穴や掛け縄、仕掛け矢などの罠が幾重にも仕掛けられており、落馬するものが続出した。
これこそは『伏龍』諸葛孔明の罠――戦陣構築の兵法(方術という噂も……)『奇門遁甲の術』を用いて、真桜を筆頭とした魏の優秀な工作兵が僅か一晩で構築した、障害物を一定の法則で配置した陣地。敵軍を惑わし必殺の罠に陥れる『石兵八陣』である。
これは陣地そのものが大迷路であり、正解のルートから外れた瞬間、膨大な数の罠が襲い掛かり、哀れな迷い人を死に追いやるという極悪な罠。
正解のルートを知っている、同盟軍でも特に集められた優秀な騎兵に、ぴたりと肉薄して追いかけることが出来なければ、通り抜ける事すら出来ない巨大なトラップだったのだ。
しかも――
「全員通り抜けたな!よっしゃ、射ったれぇーー!!」
霞の合図とともに、障害物だらけの無人の陣に火矢が射かけられると、陣地は一気に炎の壁と化した。
柵と柵の間や、落とし穴、また障害物自体にも大量の火油が塗られていたのだ。そして、左右の山の森から切り崩した木材によって、山火事への延焼さえ利用し、火力が維持できるよう設置されていたのであった。
「おっし!さっさと前曲に追いつくぞ!!」
かくして後曲は火計によって封じられ、同盟軍の騎馬隊だけが進んだのであった。
------------------------------------------------------------
視点はまた北方、前曲本陣へと移る。
ここまで、作戦はほぼ狙い通りに進められていた。
正面から激突した五胡の戦象兵らが、先日まで同盟軍が本陣を張っていた箇所に布陣していたが、同盟軍はこれを一気に中央突破によって通り抜け、友軍と合流すべく前進していた。
そして先頭を行く前曲(国主や軍師達)を守る為、追撃してくる五胡兵に対し、後退戦闘を行なっていた。
後退戦闘において活躍するのは、防衛に長ける八陣図のひとつ、『大盾陣』の部隊である。
後退移動する為多少隙間が大きいが、密集した大盾の部隊が追撃を受け止め、足の止まった五胡兵を『鋼鉄陣』の重装歩兵や『弓兵陣』の騎馬弓兵、本陣に残っていた騎馬隊が打ち崩す。
本来、後退戦闘というのは圧倒的に不利であり、特に直線的な突進に優れる戦象兵は未だ脅威であったが、同盟軍は見事に互角の戦いを繰り広げていた。
蜀兵は象との戦闘を幾度か経験しており、まして暗闇による“正体不明の獣の重圧”がなくなったこともある。
しかし、その大きな要因は、三国の名立たる武将が縦横無尽の活躍を見せていたことだった。
……魏の武将も。
「今日の私は酷く機嫌が悪い!我が『七星餓狼』の血錆となることを恐れぬならば、いくらでもかかって来い!!」
「一矢一殺! 我が弓の前に屍を晒せ!」
「畜生!畜生!畜生! お前等なんかに! お前等なんかにーーーー!」
「(兄様の仇!一兵たりとも先には進ませません!)てぇぇぇぇぇぇい!!」
「あの“笑顔”を奪った罪は――万死に値する! 我が拳、我が蹴りは……断罪の一撃だ!!」
「(もう、もうあの笑顔を見ることも出来ないの……!)あああぁぁぁぁぁぁ!!」
「ウチの螺旋よ、天まで届け!全ては――華琳様とあのお人の目指すモンを果たす為や!!」
……一刀のみならず、王を失った呉の武将も。
「我が主の涙の代償は――貴様等全ての命よりも重い!……我が鈴の音を――黄泉路への手向けにするがいい!」
「邪魔です!今、私の前に立つなら……一切容赦しません!!」
「(……儂より先に若き光が落ちるとは……)我が『多幻双弓』の剛なるを、たっぷりと喰らわせてやろう!」
……そして。
一刀と深く繋がっていた蜀の武将も。
「我が手に在りしは天の刃! 我が魂魄を籠めしこの一撃を――天命と心得よーーーーーッ!!」
「燕人張飛の丈八蛇矛、受けられるなら受けてみろなのだぁぁぁぁぁぁ!!」
「天よ!ご照覧あれ! 趙子龍の槍武の舞を!!」
「(また、先立たれてしまうなんて……でも、ご遺志は確かにこの胸に!)曲張比肩の弓の味、篤と味わいなさい!」
「もう――もう、失ってたまるか!……我、魏文長! 此処を通りたくば我を倒してみせよ!」
三国の武将は、それこそ戦象すら正面から打ち倒した。
怒り、悲しみ、悔しさ……あらゆる感情が彼女達を突き動かしていた。
だが、彼女らの目的に一切のずれはない。
首脳陣を守り、友軍と合流すること。平和を乱す原因を打ち払うこと。そして、その後の平和を維持すること。
その目的の為に、彼女達は戦い続けた。
「先遣隊はまだ戻らないの!?」
桂花は前線で行進する首脳陣よりも更に先行して馬を走らせ、早馬による先遣の諜報部隊が戻るのを焦れつつも待っていた。同盟軍にとって、この先の情報は生死を分かつものだからだ。
友軍が陣を敷く場所までは(伝書による情報からの戦地予想によれば)二十キロメートル強。その間、戦象兵を含む五胡兵と、後退戦闘を続けなくてはならない。
また、下手に時間を掛ければ、火計の火が消え、鮮卑の騎馬隊が追いついてしまう。
まさに時間との勝負であった。
しかも、同盟軍には一点、懸念が残されていたのである。
この先、友軍と合流するまでに南方に大きめの河が横切って流れている為、渡河の必要がある。
幸いここ最近に大雨はなかった為、渡河そのものは問題ない。
だが、その河に五胡の部隊が布陣している可能性があるのだ。
先日は、件の夜襲の後、そのままその位置に敵陣が布陣された為、諜報することが出来ず、その先にある河川周辺の情報を手に入れることが出来なかったのである。
また、日数をかけてしまうと、挟撃される立場である同盟軍側の消耗が激しくなり、突破するだけの戦力が残せない。故に時間をかけて諜報活動を行なうことも出来なかった。
先日の夜襲の際、戦象兵は突如後方より現れた。
これだけの巨躯を、相当数率いてきたならば、その輜重隊を含めての大部隊。どこかで情報が手に入る筈。
しかし、実際には奇襲は成功されてしまっている。
となると、戦象兵を含む大軍がこれから渡河する予定の河を利用して高速輸送された可能性が高い。
輸送部隊や輜重隊だけならばよいが、万一予備兵力が大軍であった場合、下手をすれば全滅の虞(おそれ)もある。
だからこそ、桂花はカリカリしているのだった。
「報告、ほうこーーく!」
「来たっ!河の様子はどう!?」
「はっ!多数の中・小型船が停泊しており、護衛と思われる兵は歩兵を中心にその数、十万!」
「じ、十万!? わ、分かったわ!下がりなさい!」
桂花は急いで首脳陣へ向かった。
「十万……予備ですらそれ程とは……まずいな」
「対して、こちらが前衛で戦えるのは四万と少し。後方で後退戦闘している部隊が約五万はいますが……動かすのは危険すぎますねー」
「翠さんや霞さんやの騎馬隊は……追いついても三万強ぐらいでしょうか」
「一先ず、春蘭と秋蘭を後方から呼び戻すわ。早々に対応してもらわなくては。後退戦闘は二人が抜けても、維持出来るでしょう」
「船を奪うという選択もありますが、二倍以上の戦力に対してでは無謀かと。……軍として戦うなら、ですが」
「稟。御旗のみ撤退する策はまだ不要よ」
「はっ。失礼致しました」
(とは言ったものの……二倍の戦力と戦っていたら、後方から戦象兵と共に五胡軍が完全に追いつき挟撃される。そうなって日時を掛ければ、火計で封じた騎馬隊にも追いつかれる。その時点で我々の敗北は確定……)
「後方に戦象兵が健在であることを鑑みれば、陣を張る方向はないな」
「となると、迂回するしかないですかねぇ~」
「き、騎兵の皆さんはともかく。既にかなり疲労している歩兵の皆さんは、おそらく敵前曲に捕まるかと……」
万事休すだった。
この状態では、前曲の歩兵を囮とし、騎馬隊を中心に敵船団を迂回するのが精一杯だった。
だが、それは前曲歩兵の中心である呉の陸軍が甚大な被害を被る――つまり見捨てることとなる。桃香だけでなく、もう覇王であることを辞めた華琳にも苦痛の選択。
『見捨てる』こと――王としては必須であろう『大を取って小を切る』ことを、少なくとも即断はしない。
それは最後の最後。王だけが逃げる、という最悪のシナリオの一歩手前まで、選択したくなかった。
桃香と朱里も同様の結論を目で通じ合っていた。
一方、蓮華は最悪呉の陸軍を囮として、残りの戦力を渡河させることも視野に入れていた。
孫家にはまだ孫尚香――小蓮が健在だ。せめて柱石として冥琳か穏、或いは亞莎だけでも遺せれば、呉はまた力を取り戻すだろう。とはいえ、それを蜀魏の王は良しとすまい。ならばこそ呉王もまた、より良い方策を探していた。
首脳陣は馬上ながら凄まじい思考速度で考え続けた。
だが、その長考が悩むだけの思考になりかけた頃。
後方から首脳陣のところまで前進してきていた春蘭が異変に気付いた。
「んん?何だ?」
「どうした、姉者?」
「いや、さっきからチカチカと……」
「あ、あれは!? 華琳様!左手の山をご覧ください!」
「なに?……何かが煌いて……いえ、規則性のある発光!?」
それは一刀が天の知識として広めた長距離高速情報伝達手段だった。
光線を断続的に放つ機械によって、モールス信号のように情報を伝達するという寸法である。
因みに光源は、真桜と共同開発した『手動発電式白熱灯』――要はハンドルを回して発電するライト――が軍では採用されている。ハンドルを回すと竹製フィラメントに電流が流れて、黄がかった白色に発光し、またシャッターによって自由に光を遮ることも出来る代物である。
「……我天也。此方援軍。挟撃於!?」
ワレテンナリ。コチラエングン。キョウゲキセヨ。
『天!?』
思わず誰もがが叫んだ。
コードネーム“天”。
こんな不遜な自称を容認される人間など一人しか居ない。つまり――『天の御遣い』北郷一刀である!
「あの腐れ精液まみれ男!もうちょっと細かい情報送りなさいよ!!」
桂花が悪態を吐く。
「ふふっ、いいわ。このままでは埒が明かなかったところだし。一刀に合わせて動くわよ!」
「はいっ♪」
華琳の言葉に、桃香を初め皆に笑顔が戻り始める。
「敵は歩兵と弓兵の混成部隊。騎兵は少なめ。まあ船団の護衛だからな。そして……」
「おそらくは左翼側から一刀様の奇襲があるはずです!」
「左翼側……河下ですか。となると船ではなく山からの歩兵突撃の可能性が高いですかねー」
「ならば……迂回すると見せかけて、敵の注意を河上――右翼側に引き付けちゃいましょう♪」
英傑を纏める軍師達である。方策が定まれば、その行動は迅速の一言。
「よし!伝令!」
「はっ!」
「まずは『陣』を入れ替えます! 前曲『長槍陣』は、後退戦闘中の『大盾陣』と交代して下さい!
その後、前曲は右方へ迂回すると見せかけ、河沿いで転進!
『大盾陣』を中心に『八陣図』をすぐしゃま敷いてくらひゃい!……はわわぁ~……////」
「なにやら締まりませんねー(ニヤニヤ)」
「全くだわ! 本陣騎馬兵は歩兵部隊の更に右へ!同様に河沿いで転進!『八陣図』の『騎馬陣』となれ!」
「後退戦闘へ回った『長槍陣』の兵は、進軍を停止! 方円陣に切り替えて、敵軍を足止めせよ! 船団軍を攻略するまでの時間を稼げ!」
「後方騎馬隊へ伝達! 馬超隊は後曲の軍と敵を挟撃! 張遼隊は敵軍を迂回し、船団軍へ突撃せよ!……亞莎、後曲の指揮は任せるぞ!」
「はい!船団軍攻略まで持ち堪えて見せます!」
「弓兵さんは火矢を準備してくださいな~。迂回と見せた移動中にあの船に射掛けちゃいましょ~♪」
『ははっ!!』
以後の戦闘は、同盟軍前曲が移動しているうちこそ五胡側優勢に見えたが、河沿いに『八陣図』が敷かれると、戦況は三国同盟軍が優勢となった。
まず五胡船団軍は正面からぶつかったが、歩兵や弓兵の攻勢は八陣図の『大盾陣』に阻まれ、戦果が上がらない。
次に五胡勢は、同盟軍の左翼側、片面が河であることから小船による襲撃を試みたが、河上へ進む為速度が出ず、『弓兵陣』による火矢によって悉く燃やされた。
ならばと、騎馬兵が右翼(河と逆側)から迂回気味に襲撃すれば、『大盾陣』の左曲に配置されていた寡兵の『長槍陣』で足止めさせられたところに、同盟軍後方(河上側)からの騎馬隊に横撃され壊滅してしまった。
「何をしている!相手は此方の半分程度なんだぞ!大体、本陣の象どもはどうした!?」
「そ、それが……」
追撃してきた五胡の本陣部隊(戦象兵を含む部隊)は、後退せずに済むことで方円陣を敷いた同盟軍歩兵の柔軟な防御力と勇猛な武将たちの武力、そして後方から突撃してきた騎兵・突撃騎兵に挟撃され、完全に浮き足立っており、とても此方まで援軍を出すような余力はなかった。
「な、なんだと!? ちっ、役に立たんな……。よし、小細工はなしだ。此方が数で勝る以上、正面から真っ当に当たる! 全軍を集結させろ!! 目の前の敵大将の首を落とせば、我等の勝ちなのだ!」
「ははっ!」
しかし、五胡船団の司令官が決戦を決意したその時。
既に状況は決していたのだ。
五胡船団兵が同盟軍へ正面からの大攻勢に出る為に集結したその時である。
「報告ーっ!後方より奇襲であります!」
「そ、そんな馬鹿な!? 奴等にそんな余裕がある筈が……!」
後方の山中より、異質な兵士達――黄色い布を被った軍が、五胡船団軍の背後を突く形で強襲を掛けた。大半が歩兵で、その数も五千人強の部隊だったが、その戦意たるや凄まじく、戦況は一方的だった。
「敵を右翼側から横撃!河に叩き落す勢いで突撃せよ!――兵どもよ、この葉雄(しょうゆう)に続けぇぇぇい!!」
指揮そのものは前衛で大戦斧を振るう武将と、指揮官らしき男性、そして軍師だろう女性が行なっていたが。
なにより異質であったのは、その後方、戦場から離れた位置に置かれた御輿(人力で持ち上げて運ぶタイプ)の上で、戦場には余りにも場違いなことに、三人の女性が軽快に歌い踊っているのである。そして……
「うぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!」
「ほわぁぁぁほっ、ほっ、ほっわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「中・黄・太・乙! 中・黄・太・乙! 中・黄・太・乙! 中・黄・太・乙!」
と兵士達はその歌唱に熱狂しており、自分達の二十倍近いの敵兵が集結する陣へ果敢に突撃し、正に死兵となって戦ったのである。
「なんなんだ、こいつ等は!?」
「見た目や戦い方は、まるで黄巾党のようです!」
「黄巾党がこんなに統制が取れている筈が無い! くそっ、だが奇襲の兵は寡少だ! 落ち着いて、後方の部隊で取り押さえろ! 残りは予定通りに正面作戦に……」
五胡船団の将軍たちはそれでも対応し始めていた。だが……
「ほ、報告!河下側の船から火の手が!!」
五胡の船団の一部、河下側の小船に突如火の手が上がった。連なって河沿いに停泊していた為、その赤い炎は瞬く間に隣接している船をも呑み込んで行く。
「まだ火は小さい!消火作業を――げぶぅ!」
燃え上がった船を管理していた五胡の将らしき男が指示を出さんと声を張り上げるが、言い終わる前に剣によってその首を斬り落とされていた。
「ふ。ふふふ……」
赤く燃え上がる船体や帆に照らされた、赤い衣を纏った女傑。彼女は鮮血の赤にも染められて――昏い微笑を浮かべていた。
「(次から次へと、どうなっているのだ!?)消火作業はどうなっている!?」
内心の苛立ち・動揺を抑えこみ、五胡船団の司令官は部下の将を問い詰める。
「それが、部隊は送っているのですが、消火作業を行う部隊を悉く斬り殺す鬼がいる、と!」
「鬼、だと!?馬鹿なことを――」
部下の非現実的な報告を一笑に付そうとした司令官へ、声を掛ける者がいた。
「あら、こんな美人を捉まえて鬼だなんて。酷いわねぇ……♪」
薄笑いを浮かべ。
右手には血に濡れた宝剣『南海覇王』。
その身に纏う赤い衣装は、返り血に染められて尚紅く。
既にこの中央の闘艦も火の手に巻き込まれているのか。吹き荒れる熱い風に長い髪を棚引かせ。
その碧い双眸に、火焔の如く揺らめく、昏い光を宿らせて。
女が一人、立っていた。
「なっ!? き、貴様は――孫伯符! 生きていたのか……!?」
中央の闘艦で軍議を行っていた司令官を含む将軍数人は、咄嗟に各々の武器を抜くが……
「ふふっ……どうした、かかって来ないのか!?」
あたかも為す術なく炎に焼かれる船の如く、誰もが雪蓮の覇気に呑み込まれ、身動きが取れずにいた。
「ち、ちくしょうーーー!」
「――その程度で、この孫伯符を殺せると思うか!!」
ズシャッ!
自棄になった将の一人が突撃するも、雪蓮に一撃の下に斬り捨てられる。
それを皮切りに、雪蓮は将軍達へと走り出す。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃあぁあああ!!」
「おのれ……おのれぇぇぇぇ!!」
百隻を越える船団は、火の海――この場合は火の河と言うべきか――となっていた。
既に上陸し、集結していた五胡兵達は、司令塔を失い、呆然とそれを見ていることしか出来なかった。
「ふふ……ふははははは!! 五胡共よ、これで土石流の計の借りは返したぞ!!」
そして、燃え上がる一際大きな中央の闘艦に仁王立ちし、その一身に返り血を浴びたまま、凄惨な笑みを浮べる美女――孫伯符こと雪蓮。その姿を見た者達は戦意を失い、恐慌状態に陥ったという。
指揮官を失い、最早船で逃げる事も、まともに戦うことも出来ず。
五胡船団軍は、燃える河を背に三方から攻められ、敢え無く討ち散らされたのである。
指揮官が死亡していることが確認出来ていた為、同盟軍が逃亡兵を追うようなことはなかった。
その後、すぐさま同盟軍はここまで持ち堪えていた後方の戦場へと進軍。
此方も程なくして船団軍同様に討ち散らしたのだった。
「ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
涙を振りまきながら、桃香が一刀に飛びつく。
「――心配かけたね、桃香」
と、一刀が桃香の頭に手を乗せようとすると……
「ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
今度は愛紗が抱きつく。
その締め付けに、一刀は自分の身体から嫌な音を発するのを自覚した。が、そこは男の子。我慢の子である。
「――な、泣かせちゃってごめんね、愛紗」
二人の肩に手を回そうとすると……
「おにいちゃーーーーーーん!!!」
「ちょっ!?」
鈴々の首、というか寧ろ顔面を狙ったタックルで、とうとう一刀は地面に倒れた。
その様子を蜀だけでなく、魏・呉の将達も様々な表情――羨ましげな翠や蓮華に三国のちびっこ達、どこか怒り顔の華琳や春蘭に思春、ニヤニヤ笑みの星や年長者達などなど――で見ていた。
「みんな。ごめんね!――ただいま!!」
愛紗と鈴々の締め付けで、身体中が軋んでいる気もするが、それでも。
倒れたままではあったが、皆に聞こえるように、一刀は精一杯の大声で帰還を宣言したのだった。
積もる話もあったのだが、今は戦中。まして後方には火計で封じたとはいえ鮮卑騎馬隊が残っている。
一同は軍を纏め直し、そのまま渡河。その先にて雛里、恋、白蓮、蒲公英、桔梗が率いる友軍と合流。
裏切り者である匈奴王を討ち、南方を平定。
その後、一晩休息を取った同盟軍は踵を返し、再度渡河して五胡の残兵――鮮卑騎馬隊と相対せんとするが。
南方の船団が焼かれ、また匈奴王が討たれたことを知ったのか、鮮卑騎馬隊の残兵は、最早刃を交えることなく全面降伏を申し出て来たのだった。
こうして『第三次五胡戦争』は三国同盟軍の勝利にて終結を見たのである。
続。
諸葛瞻「しょかっちょ!」
曹丕「そうっぺ!」
周循「しゅうっちの!」
三人「「「真・恋姫†無双『乙女繚乱☆あとがき演義』~~~☆彡」」」
諸葛瞻「お読み戴き多謝でしゅ。諸葛亮こと朱里の娘にして北郷一刀の第23子、しょかっちょでしゅ!」
曹丕「乱文乱筆なれど楽しんで戴けたかしら。曹操こと華琳の娘にして北郷一刀の第9子、そうっぺよ♪」
周循「少しでも面白いと思って下されば重畳。周瑜こと冥琳の娘にして北郷一刀の第25子、しゅうっちで~す☆」
周循「という訳で戦争が終結しました。あっさり過ぎという方もおられるやも……」
曹丕「ま、戦争はハーレムフラグの為の伏線のようなものだし」
諸葛瞻「……ついでに言えば、筆者の力量では、戦闘やら戦争やらの描写には限界がありましゅしね……」
周循「それと、真・桃香様が目覚めてますね。いよいよ桃香様が“道”を見出した回でもあります」
曹丕「今回の本編では、桃香様の台詞が伏せられているけれど……バレバレというか、伏せる程の内容とは言えないような気もするわね……」
------------------------------------------------------------
諸葛瞻「今回は議題がありましぇんので、さっさとゲストコーナーへ行くでしゅよ~!自己紹介、どうじょ!」
夏侯充「応よ! 夏侯惇こと春蘭の娘で、北郷一刀の第19子の夏侯充(じゅう)だ! 因みに史実の夏侯充は字が不明だからって、次男坊の字『子林』を設定してあるらしい。全く、どうでもいいと思うんだが」
夏侯衡「んむ。夏侯淵こと秋蘭の娘にして北郷一刀の第20子、夏侯衡(こう)と申す。以後、見知りおき戴きたい。私も史実の夏侯淵の長男そのままだな」
周循「お二人は生まれた順序こそ隣り合ってますが、実は学年が違います。洛陽学園は中国の学校なので、新学期が9月から始まります。つまり……」
夏侯衡「んむ。私は誕生月が9月なのでな。生まれた日は姉者――夏侯充と数日しか変わらんのだが。私は学年がひとつ下で、年少上級(小4クラス)になるのだ」
夏侯充「おお、そうだな。充は8月生まれで、年長下級(小5クラス)だ!」
諸葛瞻「同じパターンの姉妹がもう一組いましゅけど。いずれ紹介出来ると思いましゅ」
------------------------------------------------------------
○質問:特技・特徴は何ですか?
夏侯充「充の特技と言えば当然、母者直伝の剣術だな!」
曹丕「そうね。猪突に見えてその実、攻守バランス良く、剣のみに頼らない、状況によって柔軟に変化可能な戦闘術。立派な技術だわ。……身体的には」
周循「夏侯充姉さんは、ご母堂の春蘭様以上に『まっしぐら』な方ですからね……。そこを突かれることが多いようで。まだまだ搦(から)め手に弱い面があると母さんから聞きましたね」
夏侯充「しょぼーん……」
諸葛瞻「相性の問題とも言えましゅから、そんな落ち込まないで下しゃい、夏侯充お姉しゃま」
夏侯充「そ、そうだな!」
曹丕「立ち直りの早さも春蘭様譲りかしら? 私個人の意見だと、夏侯充って好き嫌いがはっきりしている感じね」
諸葛瞻「そうなんでしゅか。では、好きなものは?」
夏侯充「運動、一騎打ち、戦争ごっこ、賭け事……そして何より、お猫様!」
周循「嫌いなものは?」
夏侯充「勉強、罠、幽霊、あと父者が発明した『納豆』! あれだけは……誰かが食べるのを見るのも嫌だーー!」
曹丕「素直ではっきりしているが故に行動原理を読まれ易いとも言えるのだけれどね……さて、次は夏侯衡ね」
夏侯衡「は。馬と弓が得意で、文学も嗜みます。姉者と同じく、『戦争ごっこ』が大好きです」
曹丕「何より夏侯衡の特徴と言えば、その美貌――というには幼いのだけれど――整った外見でしょう。張苞(ほう)お姉様【鈴々】と二人で、皇女の中でも『双璧』と謳われる程よ。……まあ皇女たちは基本母親似で、皆可愛らしいのだけれどね」
天の声『張苞【鈴々】と夏侯衡を“特に美人”と設定しているのは、資料にその類の記述があることを根拠にしています。張苞の場合、張飛の娘である敬哀皇后と張皇后が美人だ、という俗説があることから。夏侯衡は、人物設定の一人、夏侯湛が大変な美形で、潘岳とともに“連璧”の異称を得ていたことを根拠としています』
諸葛瞻「こほん。筆者の設定ノートによりますと『夏侯淵の子ら、覇の傑出した弓馬術、称の弓術、威の勇気・男気、栄の才知、恵の文才、和の弁舌、湛の美貌を併せ持つ』とあります。湛はひ孫ですが……そうっぺと同じ、完璧超人の一人、という訳です」
夏侯衡「余り持ち上げられても困る。所詮は子供のままごとだ」
曹丕「年下ではあるけれど、私も数多い姉妹でも同列の存在として見ているし、お母様もその才をとても愛してらっしゃるわ」
夏侯衡「身に余る光栄です」
周循「相変わらずクールだな、お前は……」
夏侯充「正直、比較される身にもなって欲しいがな。まあ充は充、衡は衡。余り気にしていないが」
夏侯衡「ふふっ……その度量の広さこそ、姉者の一番の長所だと思わないか?」
曹丕「くすくす……夏侯衡の言う通りね」
------------------------------------------------------------
○質問:特に仲の良い姉妹は?
夏侯充「衡は勿論として。特に仲が良いのは、孫登様【蓮華】と荀惲(うん)【桂花】だな。週に2、3度は茶会を開いているのだ。街の茶屋で飲んだり、後宮のテラスで飲んだりと、場所は色々だ」
曹丕「性格的に言って、荀惲【桂花】とは相性悪そうだけれど、仲は良いのよね。……散々、荀惲【桂花】に陥れられているのにねぇ」
夏侯充「その辺はもう諦めました……。大体、アレの謀略に対抗出来る奴など、姉妹でも限られるというのに、勉強からっきしの充が対抗出来る筈がない。仲が良いのは、馬が合うというだけの話ですよ、そうっぺ」 ←曹丕相手なので丁寧語
諸葛瞻「不思議でしゅねぇ……短気ではあっても、根に持たない夏侯充お姉しゃまだからこそ、という気もしましゅけど」
夏侯充「あと、姉妹ではないが……猪々子様とは賭け事仲間で、よく遊んで貰っている。余り付き合うと小遣いがなくなってしまうので、程々にしようといつも思うのだが……つい熱中してしまうのだ……(汗」
周循「それは自業自得ですよ、夏侯充姉さん……お二人とも、基本的に賭け事に向いてませんし。勝ったという話を聞いたことがないですよ」
夏侯充「しょぼーん……」
曹丕「それから、私も所属している『猫々党』の一員よね。私は犬も同列に扱うから、党内ではちょっと異端なんだけど」
夏侯充「(しゃきーん!)はい! お猫様は素晴らしい!!」
周循「えー、『猫々党』というのは明命様を党首とした、猫愛護団体というか……。活動はひたすら洛陽の街をぶらついて猫を愛でるというものらしいですね。お母様方ですと、夏侯充姉さんの実母である春蘭様や、風様が所属されています。姉妹にも何人かいますし、洛陽の民にも結構な数のシンパがいるとか……」
諸葛瞻「続いて夏侯衡しゃんは如何でしゅか?」
夏侯衡「んむ。『戦争ごっこ』好きということもあり、姉者を含めて、武官候補の姉者方とは仲が良いな」
周循「武官候補の姉妹は、大概が年長組だから、年少組でそちらに参加しているだけでも凄いがな。年少組だと鳳宏【雛里】が中心になって大騒ぎになることが多いが、夏侯衡は寧ろ年長組と付き合うことの方が多そうだな」
夏侯衡「んむ、確かにそうかも知れん。だが、鳳宏【雛里】に付き合って、洛陽の悪ガキどもを集めての『戦争ごっこ』にはよく参加しているぞ?」
周循「そうなのか? 鳳宏【雛里】と袁譚【麗羽】との諍いに参加しているのは見たことがないが」
夏侯衡「ああ、其方には興味がないな。私は甘述【思春】らと共に中立の立場を取っている」
諸葛瞻「……あの『戦争ごっこ』はもう止めて欲しいでしゅ……。鳳宏ちゃん【雛里】ったら、しょかっちょまで巻き込むんでしゅよぉ~……軍師として参加しろって……」
曹丕「兵法を試すいい機会じゃない。……でも、『ひきこもり』のしょかっちょには、悪ガキ相手は辛いかもね……」
諸葛瞻「しくしく……」
夏侯衡「それから、先程も少し触れられたが。曹丕様――そうっぺには望外の寵愛を戴いている。共に行動することも多い」
曹丕「側近として、友として、何より愛しき妹として。文武に優れ、見目麗しい存在を侍らせたいのは当然だわ。自慢の妹を見せびらかしたい、と言ってもいいかしら」
夏侯衡「勿体無いお言葉です」
諸葛瞻「ホントにクールでしゅね~……同い年とは思えましぇんよ……色んな意味で」
諸葛瞻「えー、ここで告知というかお願いでしゅ。またまたゲストのリクエストを募集致しましゅ。でしゅが……」
周循「そろそろ誰が既出か分からない、ネタバレの関係でまだ出せない、などの問題がありますので、候補を用意致しました。読者様におかれましては、コメントの際に、ちょこっと付け加えて戴けると嬉しいです」
曹丕「では以下のどちらか、お好きな方を選んで頂戴」
A:猪々子・斗詩の娘たち、『三“子”バカ』の従者コンビ
B:沙和・真桜の娘たち、『三羽子烏』の二人(凪の娘は既出)
諸葛瞻「宜しければ、リクエストにお答え下しゃい。もし誰からも返答がなかった場合は、筆者が適当に選ぶそうでしゅ……」
曹丕「……そうならないことを祈ってるわ。さて、次回はどんなお話なのかしら?」
周循「はい、今回決着した戦争の裏側で北郷一刀は何をしていたか、ですね。いよいよ残るあの方たちも本格的に登場です。お楽しみに!……それではっ」
五人「「「「「バイバイ真(ま)~~~☆彡」」」」」
Tweet |
|
|
215
|
43
|
追加するフォルダを選択
第12話を投稿です。
同盟軍VS五胡軍の決戦! 戦争の描写は本当に難しいですね(- -;
…前回熱い展開をお望みの方が結構いらしたのですが、筆者にはここが限界です…orz
今回も真・桃香が炸裂! いよいよ彼女の光が三国の進む道をを照らし始めます!
東ぉ~西ぃ~、かたや三国同盟軍~、こなた五胡連合軍~! 蜀END分岐アフター、はっけよい!