No.1062091 英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~soranoさん 2021-05-18 00:26:08 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1333 閲覧ユーザー数:1144 |
同日、AM9:55―――――
ジュノー海上要塞から飛び去り、オルディス近辺に到着したレヴォリューションはそのまま戦場となっているオルディス近郊の街道の上空を通り過ぎようとした。
~海都オルディス近郊~
「!准将、ジュノー方面から”灰色の翼”が……!」
「―――――来たか。手筈通りならば、今頃将軍閣下達はジュノーの攻略を開始しているはずだが……」
自分達の背後から現れたレヴォリューションに気づいた軍人の報告を聞いたウォレス准将がオルディスに向かって近づいてくるレヴォリューションを見つめながら呟いたその時、他の軍人から新たな報告を受けた。
「報告!”灰色の翼”からの通信連絡によると、作戦通り将軍閣下達はジュノー海上要塞への潜入を無事成功させ、要塞の攻略を開始したとの事!なお、”灰色の翼”は作戦通りこのまま海都の港湾区に向かい、着水後港湾区で迎撃部隊を展開並びに公爵家の城館の奪還の為の別動隊を出撃させるとの事!」
「了解した!―――――(将軍閣下ならば必ずジュノーを奪還してくれる……!)―――――総員、後顧の憂いを気にせず、敵軍を圧しまくれ!!」
「イエス・サー!!」
他の軍人からの報告を受けたウォレス准将は軍人達を鼓舞して軍人達の指揮を上げた。一方レヴォリューションは激戦が繰り広げられている地上を通り過ぎてオルディスの上空へと侵入した。
「まさか今の灰色の飛行艇は……!お、応答せよ!こちら商業地区最終防衛ライン―――――」
オルディスに侵入する様子のレヴォリューションに気づいた正規軍の指揮官は血相を変えて無線機である場所に通信を開始した。
~数分後・紺碧の海都オルディス・貴族街・カイエン公爵家城館・饗応の間~
「……了解しました。恐らく”灰色の翼”は港湾区に着水した後部隊を展開してこの城館の制圧を狙うつもりなのでしょう。―――――直ちに予備の部隊を港湾区に向かわせてください。それと城館内の地下水路方面の守りを固める事も忘れないで下さい。」
「イエス・マム!!」
数分後報告を受けたクレア少佐は鉄道憲兵隊達に次々と指示を出した。
「……クレア君、先程の報告にあった”灰色の翼”とやらもヴァイスラント新生軍の関係かい?」
クレア少佐の指示を受けた鉄道憲兵隊達がその場からいなくなるとソファーに座っていたレーグニッツ知事がクレア少佐に訊ねた。
「いえ……”灰色の翼”の所属は”メンフィル帝国軍”です。なお、”灰色の翼”を運用する軍団は”灰獅子隊”という名で、”灰獅子隊”を率いる軍団長は……………………リィンさん―――――いえ、リィン・シュバルツァー少将です。」
「な―――――リィン君がその”灰獅子隊”とやらの”軍団長”――――――それも、この戦争で”少将”に昇進していたなんて……!?」
「内戦の終盤、Ⅶ組の方々を率いて私や陛下達を助けに来てくださったシュバルツァー男爵閣下の御子息が……………………という事はこの城館を落とす為にリィンさんの元でエレボニア帝国と戦っているアルフィンもこの城館を落とす為にリィンさん達と共にこの城館に向かってくるのでしょうね………」
クレア少佐の説明を聞いたレーグニッツ知事は信じられない表情を浮かべ、レーグニッツ知事の対面に座っているプリシラ皇妃は辛そうな表情を浮かべた。
「―――――皇妃殿下、ご安心召されよ。皇妃殿下の愛娘であられる皇女殿下を不敬にもエレボニアを滅ぼす為に皇女殿下を利用し続けるどころか、祖国の兵達を自らの手にかける事を強要し続けている愚かなる”灰色の騎士”達は我が剣でもって退け、皇女殿下を皇妃殿下の元へとお返ししますので。」
「……………………」
「子爵閣下……貴方に一体何があったというのです………」
するとその時部屋の片隅に控えてきた仮面を被ったアルゼイド子爵――――――”光のガウェイン”がプリシラ皇妃に話しかけ、ガウェインの言葉にプリシラ皇妃が悲しそうな表情で黙り込んでいる中レーグニッツ知事は複雑そうな表情でガウェインを見つめた。
「皇女殿下の奪還には異論はありませんが……例え貴方程の武人であろうと、今のリィンさん達はそう簡単に倒せる相手では――――――いえ、戦いになれば我々の方が劣勢になるでしょうし、恐らく”紅き翼”の介入もある事も念頭に置いておいてください。」
「無論油断等できる相手でない事は理解している。――――――宰相閣下を、そして祖国を守る為にもこの命に代えても侵略者達も介入者達もこの剣で纏めて斬り伏せてくれよう。」
クレア少佐の忠告に対してガウェインは不敵な笑みを浮かべて答えた。
AM10:00―――――
~オルディス・港湾区~
一方その頃港湾区に到着したレヴォリューションは海に着水した後機体を港に接近させた。すると甲板から次々と桟橋がかけられ、灰獅子隊の面々は桟橋を渡って港に着くと部隊を展開し始めた。
「ここがカイエン公爵家の本拠地――――――オルディスの港ですか……」
「港なのに人も見当たりませんし、船一隻すらも見当たりないのは何故なのでしょう……?」
港湾区の周囲を見回したセレーネは静かな表情で呟き、エリスは周りに人どころか船すらも見かけない事を不思議に思った。
「恐らくだけどヴァイスラントによるオルディスへの襲撃が発生した時点でオルディスの守護を任されている司令官が避難勧告を出したからなのではないかしら?」
「状況を考えるとそうだろうな。――――――こちらとしても市街戦による市内もそうだが市民への被害は最小限に抑えておきたかったから、好都合ではあるな。」
「それはそうなんだが……こうも静かだとあまりにも不気味過ぎて、”罠”があるのかと疑ってしまうぜ。」
エーデルガルトの推測にディミトリが頷く中クロードが警戒の表情で周囲を見回したその時、他の区画から機甲兵や帝国正規軍が次々と現れ、リィン達に向かってき始めた!
「エレボニア帝国の正規軍………!」
「おいおい…………オルディスに侵入した俺達の位置をもう把握したとか、幾ら何でも対応が早くねぇか?」
「どうやらオルディスの守護を任されている司令官は中々頭が回るみたいね。」
「この対応の早さを考えると、恐らくルシエルさんの想定通り地下水路側にもある程度の戦力を割いているでしょうね。」
エレボニア帝国軍の登場を目にしたステラは表情を引き締め、疲れた表情で呟いたフォルデの疑問にレンが意味ありげな笑みを浮かべて答え、エリゼは静かな表情で推測を口にした。
「ミュゼ、地下水路はどこだ?」
「―――――あの出入口から地下水路に入れますわ。」
そしてリィンに訊ねられたミュゼは地下水路へと続く出入口に視線を向けると共に指を刺した。
「リィンさん、ここはあたし達に任せて城館の制圧を!」
「はい!――――――灰獅子隊城館制圧部隊、状況開始(オープンコンバット)!!」
「イエス・コマンダー!!」
ツーヤに先に進むように促されたリィンは仲間達や部下たちに号令をかけて地下水路へと向かい始め
「―――――灰獅子隊迎撃部隊、迎撃開始!プリネ隊はレヴォリューションの守護を担当します!」
「我々フェルディナント隊の役目は”攪乱”だ!先陣を切って敵に一撃を与えた後縦横無尽に戦場をかけて敵軍を攪乱するぞ!」
「ドロテア隊はいつも通り、魔法やアーツによる援護よ!状況に応じて攻撃、支援、回復を使い分けていくわよ!」
「我ら魔族部隊の役目は”主力”だ!空から敵軍を蹂躙してやれ!」
「イエス・マイロード!!」「
「イエス・サー(マム)!!」
「ハッ!!」
「くふっ♪ルーレではオリビエ達のせいであんまり遊べなかった分、たっぷり遊んであげる♪――――――破滅のヴィクティム!!」
プリネ、フェルディナント、ドロテア、ベアトリースはそれぞれ号令をかけて向かってくるエレボニア帝国軍の迎撃を開始し、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべた後先制攻撃代わりに最高位の暗黒魔術を放ってエレボニア帝国軍に凄まじい被害を与えた。
~海都地下水路~
「―――――いたぞ!!」
リィン達が地下水路を進んでいるとリィン達の進んでいる方向から声が聞こえた後鉄道憲兵隊達が現れてリィン達の前を阻んだ!」
「あの軍服は確かTMP(鉄道憲兵隊)……!」
「”鉄道憲兵隊”という事はまさか、オルディスの守護を任されている司令官は……」
「―――――”氷の乙女(アイスメイデン)”か。」
「ふふっ、てっきり出入口付近で迎撃態勢を取っていると予想していたけど、まさかそちらから来るとはね。」
鉄道憲兵隊達の登場を目にしたクルトは表情を引き締め、鉄道憲兵隊達の登場でオルディスの守護を担当している司令官に察しがついたアルフィンは複雑そうな表情を浮かべ、レーヴェは静かな表情で呟き、エンネアは意味ありげな笑みを浮かべて鉄道憲兵隊達を見つめた。
「フン、少佐の推測通り、やはりこの地下水路を使って城館に潜入するつもりのようだな。」
「皇女殿下を連れてくることもそうだが、指名手配中の反逆者、ミルディーヌ公女も連れてくることも想定済みだ。現在オルディスとジュノーを攻めているヴァイスラント新生軍を纏めて降伏させる為にも絶対にここで皇女殿下を奪還し、公女を捕える……!」
「この地下どころか、我らと共にアルフィン皇女達まで城館攻めに参加する事も想定済みとは流石は氷の乙女といった所か。」
「この分ですと、城館の出入口付近の守りも固めているでしょうね。」
鉄道憲兵隊達の話を聞いたアイネスは感心した様子でクレア少佐を思い浮かべ、オリエは静かな表情で推測した。
「問題ない――――――!」
その時リィンは声を上げて太刀を構え、リィンに続くように仲間達や部下達もそれぞれの武装を構え
「敵の数は多いがこちらは精鋭揃いだ!援軍が到着する前に早急に片付けるぞ!」
「同感ですわ!雑兵如きが数を揃えた所で私達に勝てる等100年早い事をその身に叩き込んでやりますわよ!」
「フフ、私達の動きを把握できたことは見事ですが、肝心の”戦力差”を把握できなかった事をその身と命をもって味わってくださいませ♪」
「あら、レンのセリフが取られちゃった♪なかなかやるじゃない。」
リィンの言葉に続くようにデュバリィは力強い答えを口にし、意味ありげな笑みを浮かべて呟いたミュゼの言葉を聞いたレンは小悪魔な笑みを浮かべてミュゼに感心した。
「舐めるな……!」
「祖国の為……宰相閣下の為……そしてクレア少佐の為にも……!」
「鉄道憲兵隊の誇りにかけ、ここは一歩も通さん!!」
一方鉄道憲兵隊達も戦意を高めてリィン達を睨み
「―――――総員、戦闘開始!敵兵を一人残らず殲滅するぞ!!」
「イエス・コマンダー!!」
リィンは号令をかけて仲間達や部下達と共に鉄道憲兵隊達との戦闘を開始した!
~同時刻・港湾区~
一方その頃オルディスに突入したカレイジャスが着水して港に接近して桟橋をかけた後、桟橋から紅き翼の面々が次々と現れた。
「こ、これは………」
「ルーレの時と違って完全に市街戦に突入しているわね………」
「クソッ、民間人が巻き込まれてなきゃいいが……!」
戦場となっている港湾区の状況を目にしたアネラスは不安そうな表情を浮かべ、シェラザードとアガットは厳しい表情で呟いた。
「……ざっと見た感じ、巻き込まれた民間人は見当たらないようだね。」
「リィン君達が民間人達に警告したか、もしくはオルディスの守護を担当している司令官が避難勧告を出したかのどちらかだろうと思うが、恐らく市民達は市街戦が起こる前に既に避難をしていたんだろうね。」
「うん。だけど、このままカレイジャスを待機させていたらカレイジャスまで市街戦に巻き込まれるかもしれないから、カレイジャスにはすぐにこの場から退避するように伝えておくよ。」
フィーは周囲を見回して静かな表情で呟き、アンゼリカの推測に頷いたトワはエニグマを取り出して通信を開始した。
「!ね、ねえ……!あれって、エヴリーヌとベアトリースなんじゃないの……!?」
「あ………」
その時ふと空を見上げたエリオットはそれぞれ戦場の上空を飛行しながら戦っているエヴリーヌとベアトリースに気づくと声を上げ、エリオットが視線を向けた方向に仲間達と共に見つめたセドリックは思わず呆けた声を出した。
「キャハッ♪もっとエヴリーヌと遊んでよぉっ!!」
「ガフッ!?」
「ぐが……っ!?」
「グフ……ッ!?」
エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべながら次々と上空から矢を放ち、エヴリーヌが放った神速のような速さで襲い掛かるかつエヴリーヌの膨大な魔力によって具現化している”矢”は次々と機甲兵の装甲を易々と貫いた後機甲兵を操縦しているエレボニアの正規軍の軍人達に刺さって軍人達を絶命させ
「何故落ちないんだ……!?」
「クッソ――――――ッ!?いい加減落ちろ――――――ッ!!」
「そんな遅い攻撃で飛天魔である私を討とう等笑止!――――――ハァァァァァァ…………ッ!!」
「「ぐあああああああ………っ!?」」
一部の銃を持つ機甲兵達は必死にベアトリース目掛けて銃撃をしたが、ベアトリースは余裕の様子で回避した後一気に詰め寄った後暗黒の魔力を宿した連接剣による剣舞を放つクラフト―――――暗黒剣舞で機甲兵達を切り裂くと共に操縦席にいる軍人達も切り裂いて絶命させた。
「魔術どころか旧式の弓矢で近代兵器――――――それも機甲兵を圧倒するなんて、エヴリーヌの弓矢は一体どうなっているのよ……!?」
「それも”ドラッケン”や”シュピーゲル”どころか、重量級の機甲兵の”ヘクトル”すらも一撃で制圧するとか、情報局の情報よりも凄すぎるんだけど……」
「得物が最上級クラスの古代遺物(アーティファクト)レベルってのもあるでしょうけど、エヴリーヌの”矢”は普通の”矢”ではなく、エヴリーヌ自身に秘められている莫大な霊力のほんの一部を”矢”として具現化して放っているから、あんなとんでもない威力があるんだと思うわ。」
「その”ほんの一部の霊力”だけで、近代兵器すらも圧倒するとは、殿下達が仰っていた通り”魔神”という種族は我々”人間”からすればあまりにも圧倒的かつ理不尽な存在のようだな……」
「はい……実際エヴリーヌさんはゼムリアストーン製の武装ですらも通じないという聖獣の足を破壊していましたから、エヴリーヌさんがその気になれば聖獣すらも滅する事ができるかもしれませんね……」
エヴリーヌ達の様子を見たアリサは思わず信じられない表情で声を上げ、ミリアムは疲れた表情で呟き、セリーヌは目を細めて推測を口にし、ラウラとエマは重々しい様子を纏って呟いた。
「第一それを言ったらベアトリースもそうだが周りの異種族達も”魔神”とやらじゃないのに近接戦で、それも生身で機甲兵を次々と操縦者ごと葬るという非常識過ぎる事をしているぞ……」
「フン、”黒の騎神”を生身で圧倒したリウイ陛下達という”実例”もあるのだから、連合の関係者が見せる”非常識な強さ”等今更だろう。」
疲れた表情で呟いたマキアスの言葉に続くようにユーシスは鼻を鳴らして呟いた。
「それよりもエヴリーヌ達と一緒に空で戦っている周りの連中も見た所ベアトリースやベルフェゴールと同じ種族の異種族である上ベアトリースの指示で戦っている様子から察するに、あの連中もルシエル達のようにベアトリースと一緒にこの世界に現れて、ベアトリースがリィンに従うようになったから、灰獅子隊の指揮下に入ったのかもしれないわね……」
「しかも天使連中と同じように女ばかりとか、あのシスコンリア充剣士の女運はマジでどうなってんだよ……」
厳しい表情を浮かべてベアトリース達と共に戦っている飛天魔や高位の睡魔達に視線を向けたサラの言葉に続くようにクロウは疲れた表情で呟いた。
「エヴリーヌ様達に蹂躙されている正規軍の方々にはお気の毒ですが……逆に考えればこれでリィン様達がわたくし達を阻ませると思われるメンバーもかなり限られてくるかと。」
「そうだね……どうやら地上の迎撃部隊はプリネ皇女が全体の指揮を取っているようだし、彼女の傍でも彼女の”使い魔”の一人にして”魔神”でもあるアムドシアスも一緒に戦っている様子からして、少なくてもリィン君達が保有している”魔神”メンバーの内エヴリーヌ君とアムドシアスは私達を阻まない事が確定したね。」
「そうなると、俺達を阻む可能性がある”魔神”は”彼女”に限られてくるな……」
「ベルフェゴール………」
「それとレーヴェの野郎も見当たらねぇことからして、もしかしたらあの野郎だけ俺達を阻む為か”光の剣匠”対策に城館を攻めるシュバルツァー達の部隊に組み込まれているかもしれねぇぞ。」
シャロンの指摘に頷いたオリヴァルト皇子は真剣な表情で地上で迎撃部隊の指揮を取っているプリネやその傍で戦っているアムドシアスに視線を向けて呟き、重々しい様子を纏って呟いたミュラーの言葉に続くようにアリサは複雑そうな表情でベルフェゴールを思い浮かべると同時にその名を口にし、アガットは厳しい表情である推測を口にした。
「ハッ、確かにあの痴女は戦闘になれば相当ヤベェ女だが、連合もそうだがシュバルツァー達はオレ達を殺すつもりはないから、シュバルツァーを”ご主人様”呼ばわりしているあの女も”本気”でオレ達を殺しにかかってくる事はない上、オレ達の事を”虫けら”のように弱い連中だと高をくくっているんだから、その油断をついてあの痴女に吠え面をかかせてやればいいだけじゃねぇか。」
「ア、アハハ……言っている事は間違っていないけど、それでも”魔神”という種族はここにいる全員で挑んでも正直勝率が低い相手だから、慢心はしない方がいいよ?」
「それに可能性としては低いけど、レジーニア達のようにあたし達が知らない間に灰色の騎士やその仲間達が新たに契約した異種族が阻んでくる可能性も考えられるから、ルーレの時以上の厳しい戦いになるでしょうね。」
鼻を鳴らして呟いたアッシュの言葉にアネラスは苦笑しながら指摘し、シェラザードは真剣な表情で推測した。
「―――――トワ会長、”トールズ義勇隊”の集合並びに点呼、完了しました!いつでも、行動可能です!」
するとその時一部の”トールズ士官学院”の生徒達、マカロフ教官とメアリー教官、更にセレスタンとアリサの友人にして同じ部活仲間であるフェリスの実家に仕えているメイド――――――サリファを率いたパトリックがトワに声をかけた。
「了解!――――――まずわたし達が先行するから、パトリック君達はわたし達の先行から5分後にみんなの足並みを揃えて後を追ってきて!皇妃殿下と知事閣下……そして子爵閣下を救うために迅速かつ着実に作戦を遂行するよ!
「おおっ!!」
そしてトワはその場にいる全員に号令をかけた後アリサ達と共に地下水路へと潜入し始めた。
~海都地下水路・カイエン公爵家城館非常出入口~
「四の型―――――紅葉切り!!」
「アルゼイド流―――――洸牙絶咬!!
「轟け――――――雷牙轟閃!!」
「雷を喰らいやがれ――――――迅雷!!」
「ぐあああああ……っ!?」
「ガフッ!?」
「つ、強すぎる………」
「うああああああっ!?少佐……申し訳……ございませ………」
トワ達が行動を開始したその頃、地下水路で迎撃態勢を取っていた鉄道憲兵隊達を電光石火の早さで殲滅したリィン達は城館の出入口でも迎撃態勢を取っていた鉄道憲兵隊達も凄まじい早さで次々と討ち取り、最後はリィン、エーデルガルト、ディミトリ、クロードがそれぞれのクラフトを放って止めを刺した。
「戦闘終了。ステラ、フォルデ先輩。味方の被害状況はどうなっていますか?」
「何人か軽傷は負いましたが既に治療済みで、死傷者・重傷者共になしです。」
「こっちも問題なしだ。」
太刀に付着した血を一振りで振るい落として鞘に収めたリィンはステラとフォルデに状況を訊ね、訊ねられた二人はそれぞれ報告した。
「わかりました。ミュゼ、あの階段の先がカイエン公爵の城館内でいいんだよな?」
「はい。城館全体の位置で言えば右翼の最奥に出て、そのまま道なりに進めば正面ロビーに出ますわ。」
リィンの質問にミュゼが答え終えるとデュバリィがリィンに声をかけた。
「シュバルツァー。打ち合わせ通り、私とエリゼは”紅き翼”に対する”第一陣”としてこの辺りで迎撃しますわ。」
「そうか…………ルシエルも言っていたように、二人はあくまで”第一陣”だ。幾ら二人が相当な使い手とはいえ、多勢に無勢だから、何が何でもアリサ達全員を後ろに通さない為の無茶な戦いだけはしないでくれ。」
「はい……!兄様もどうかご武運を。」
「貴方こそ幾ら相手が”光の剣匠”とはいえ、無茶な戦いをしてエリスに心配させるような事をするんじゃないですよ!」
リィンの言葉にエリゼは頷き、デュバリィはリィンに激励の言葉を送った。そしてエリゼとデュバリィはその場に残り、リィン達は城館への侵入を開始した。
AM10:15―――――
~カレイジャス~
「……く……ここ……は……?」
「!お目覚めになられたのですね、ライサンダー卿!」
一方その頃、カレイジャスの一室のベッドで眠り続けていたトマスは目覚め、トマスの看病をしていたロジーヌはトマスの目覚めに気づくと血相を変えてトマスに声をかけた。
「ロジーヌ君……どうやら私は聖痕(スティグマ)の使い過ぎによる疲労でしばらく意識を失っていたようですね……まずはあれからどうなったのか、教えて頂きますか?」
ベッドから起き上がったトマスはすぐに自分の状況を悟ると現状を把握する為にロジーヌに問いかけ
「はい。まず作戦の成否についてですが――――――」
問いかけられたロジーヌはトマスに今までの事を説明した。
「そうですか………”守護騎士”としての権限を凍結された事や”メルカバ”を運用できなくなった事はかなり痛いですが……それでも、教え子達と共に戦えるように取り計らってくれた総長やバルクホルン卿には本当にお世話になりましたね……さてと。いつまでも休んでいられませんね。」
ロジーヌの説明を聞き終えたトマスはベッドから立ち上がった。
「え……ま、まさか今からトワ会長達の後を追うおつもりですか……!?その……大変申し上げにくいのですが、カレイジャスはトワ会長達をオルディスに降ろした後は離陸してオルディス近郊の領空に滞空している状況の為、トワ会長達の後を追う事は不可能なのですが……」
トマスの行動を察したロジーヌは申し訳なさそうな表情でトマスに指摘した。
「ハハ、ロジーヌ君。教会より運用が許可されている私が保有している”匣”の力の一部である”転位”の能力をお忘れですか?」
「それは勿論覚えておりますが……先程も説明しましたように、ライサンダー卿が連合の勢力との戦闘で”聖痕(スティグマ)”もそうですが、ライサンダー卿が所有している古代遺物(アーティファクト)の使用も禁じられているのですが……」
苦笑しながら問いかけたトマスの問いかけにロジーヌは困惑の表情で指摘し返した。
「”匣”の使用が禁じられているのは”連合との戦闘”なのでしょう?今からしようとすることはあくまで”移動”なのですから、教会の命令にも反していませんから心配無用です。」
「あ………」
しかしトマスの説明を聞くとロジーヌは呆けた表情で声を出した。
「フフ、このタイミングで目覚めるとはまさに君達教会が崇めている空の女神による”運命の悪戯”というべきかな?」
するとその時その場に男の声が聞こえた後ブルブランが転位術でその場に現れた!
「”怪盗紳士”……!?一体いつの間にこの船に……!?」
「神出鬼没でかつてはこの船に忍び込んでⅦ組メンバーの一人と入れ替わった事がある彼にとっては”今更”ですよ。――――――それで、結社とは袂を分けた執行者が私達に何の用ですか?ロジーヌ君の話によると、貴方は今回の”黄昏”の件に関してはオリヴァルト殿下やⅦ組に力を貸してくれているとの事ですが。」
ブルブランの登場に驚いたロジーヌがブルブランを警戒している中、疲れた表情で呟いたトマスは表情を引き締めてブルブランに問いかけ
「なに。我が好敵手やⅦ組への”援軍”の為に、わざわざ連合によって滅ぼされた共和国より様々な伝手を使って帝国に入国した者達がこの戦場の近くまで来ていてね。彼らを我が好敵手達の元へと送り届ける手段を探していたのだよ――――――」
トマスの問いかけに対してブルブランは髪をかきあげて事情を説明し始めた。
~同時刻・カプア特急便・山猫号二号機~
「こ、これは……」
「既にオルディスでの戦端が開かれたようだな………やれやれ。できれば戦端が開かれる前にシェラザード達と合流したかったが、一足遅かったようだな。」
一方その頃、”とある郵送会社”が保有している飛行艇のブリッジからオルディス近郊で繰り広げられているヴァイスラント新生軍とエレボニア帝国軍の戦いを見ていた二人の遊撃士――――――誰もが振り返る美貌の容姿の娘は驚きの表情で”戦場”を見つめ、東方風の服装を身に纏った大柄な男性は真剣な表情で呟いた後疲れた表情で溜息を吐いた。
「見た感じ双方共に軍用飛行艇を使った空中戦は繰り広げていないようだけど、さすがに山猫号二号機のスペックだと、戦場の上空を突っ切てオルディスに突入してオルディスの空港に着陸するなんて無茶な事はできないよ。戦場の上空を突っ切るなんて事をしたら、間違いなく双方の軍に”不審船”扱いされて地上から戦車で狙われるだろうし、オルディス空港に着陸できるスペースがあるかどうかもわからないし。」
その時操縦席に座っているバイザーをしている娘――――――運送会社”カプア特急便”の”支社長”を務めているジョゼット・カプアは疲れた表情で二人の遊撃士に忠告した。
「ハハ、”遊撃士”の俺達が”民間人”でもあるお前さん達にそんな危険な事をしてもらおうなんて露程も考えちゃいないさ。ここまで送ってくれた事に十分感謝している。」
ジョゼットの忠告に対して大柄な男性は苦笑しながら答えた。
「ですがこれからどうするんですか?あの様子ですと、私達を地上に降ろしてもらった後”戦場”となっている街道からオルディスに潜入するなんて事は幾ら何でも無謀ですし、それ以前に”紅き翼”の方々が既にオルディスに潜入しているかどうかも不明ですから、今の状況でオルディスに潜入することは止めた方がいいと思うのですが……」
「そうだな………せめて、皇子達――――――”紅き翼”の関係者と連絡が取れればいいんだが……」
娘にこれからの方針を訊ねられた男性が考え込んでいたその時
「フフ、それならその連絡役、私が務めた方がよさそうね。」
「え――――――」
突如女性の声が飛行艇内に響き渡り、聞き覚えのない声を聞いた娘が呆けた声を出すと鈴の音が響き渡ると共にルシオラが転移術でその場に現れた!
「なっ!?いきなり目の前に人が……!?」
「お前さんは………ハハ、俺よりも先にシェラザードに無事な姿を見せた方がいいんじゃないか?」
「フフ、シェラザードには既に会っているわ。」
ルシオラの登場に娘が驚いている中ルシオラに見覚えがある男性は目を丸くした後苦笑しながらルシオラに指摘し、指摘されたルシオラは静かな笑みを浮かべて答えた。
「へ……?その女の人と知り合いなの……?」
ルシオラを顔見知りのように話しかけた男性の様子が気になったジョゼットは戸惑いの表情で訊ねた。
「そういえばお前さんは直に会った事はなかったな……簡単に言えば3年前の”リベールの異変”に関わったヴァルターの元”同僚”だよ。」
「あの”痩せ狼”の”同僚”扱いされるのは正直心外だけど……まあいいわ。元結社”身喰らう蛇”の執行者No.Ⅵ”幻惑の鈴”ルシオラよ。」
男性のジョゼット達に対する自分についての説明に眉を顰めたルシオラはジョゼット達に自分の名を告げた。
「な―――――く……っ!?」
「け、”結社”の”執行者”……!?」
ルシオラが”執行者”と知った娘は絶句した後すぐに表情を厳しくして自身の得物である騎士剣を構え、ジョゼットは不安そうな表情で声を上げた後導力銃を構えた。
「二人とも落ち着け。遊撃士協会からの情報によると、今回の”黄昏”関連の件に関して”幻惑の鈴”と”怪盗紳士”はオリヴァルト殿下達に協力しているとの事だから、今目の前にいる執行者は敵どころかむしろ”味方に近い中立”だ。」
「そういえばそんな話もありましたね……」
「あー、もう……それならそうと、最初に言ってよね……」
しかし男性が落ち着いた様子でルシオラの事を説明すると二人はそれぞれ武器を収めた。
「それで先程の口ぶりから察するに、お前さんが皇子達――――――”紅き翼”に俺達の事を伝えてくれるのかい?」
「ええ。とはいってもシェラザード達は既にオルディスに潜入しているわよ――――――」
そして男性に問いかけられたルシオラは男性達にオリヴァルト皇子達の現状についての説明を始めた――――――
今回の話の最後で出てきたキャラ達の内の一人は名前はまだ出していませんが、空シリーズをプレイした人達なら誰でもわかるかとwwそして予告通り、恐らくクロの軌跡に出演、本格的に活躍予定かつクロの軌跡の主人公とも何らかの関係があると思われる”彼女”が超フライング登場(クロの軌跡すらまだ発売どころか、発売日も未定の状況でww)しましたww
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第128話