No.1060242

スマブラ Stern des Lichts 第51話 ~ ドンキーコングの世界

Nobuさん

ここから、しばらく仲間を救出しに行きます。
寄り道も一応、大事ですしね。

2021-04-27 11:55:01 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:387   閲覧ユーザー数:387

 リオレウスを撃破し、ついにキーラを守るバリアが消滅した。

 だが、キーラに捕まったファイターはまだこの世界に散らばっている。

 一行は残ったスマブラメンバーを助けるため、ベルを先頭に歩いていった。

「次は……あっ、見つけたわ! こっちね」

 ベルは何かを発見したようで、滝がある山がある方角にいきなり走り出す。

「ベルベル、何見つけたの?」

「仲間よ、仲間の魂よ! キーラがいる方とは逆だけど、仲間は助けなきゃ! ほら、ついてらっしゃい!」

「あっち行ったり、こっち行ったりと、忙しいな」

 ベルは、仲間がいるという北東に行き、皆を誘導した。

 あちこちを行き来する忙しさに、ダークリンクはぽつりと呟いた。

 

「久しぶりのDKアイランドだ!」

 こうして、一行はファイターが捕まっている場所、DKアイランドに辿り着いた。

 ドンキーコングは懐かしさから少し熱い声で叫ぶ。

「DKアイランド! とうとう深緑の森の軒先にまで来た。今が戦争中とは残念至極!」

 久々に故郷、DKアイランドに帰ってきたドンキー。

 椰子の木が島を覆い、住むものも木を使って家を建てている。

 昔ながらの生活が、ここには存在するのだ。

 

「聞こえるかしら……?」

 すると、ドンキーの目の前に、帽子を被った老婆の幽霊が姿を現した。

「きゃあああああ! お化けええええ!!」

 しずえは驚いてベルの後ろに隠れる。

 ベルは「何をするの!」と叫んでドンキーの前に立ち、大鎌を構える。

「おいおい、ベル、やめろって! オレのばあさんだぞ!」

「え……あんたのおばあちゃん……?」

 ベルは幽霊の正体をドンキーから聞いた後、すぐに大鎌をしまった。

「そうよ。私はリンクリー、ドンキーちゃんのおばあちゃんだったわ」

 ドンキーコング、ベル、なおも震えるしずえの前で、幽霊は自己紹介をする。

「だった?」

「ディクシーちゃん、ディンキーちゃん、ドンキーちゃん、ディディーちゃんが帰ってきてすぐに、私は死んじゃったわ」

 リンクリーはディクシーとディンキーが冒険を終えた後にこの世を去った。

 しかし、その魂は不滅であり、こんな風に幽霊として元気に暮らしていると語った。

「だから、怖がらないでね、若い犬さん」

「でも、やっぱりお化けは怖いです……」

「あらあら……。でも、私がここに現れた理由は、あなた達に伝えたい事があるからなの。

 実は、島のみんなが急にキーラを崇め出して、逆らう子を排除したがるみたい。

 私はモノに触れないから、あなた達に頼みたいの。お願いよ、島のみんなを助けてね」

 そう言うと、リンクリーはスピリッツボールの中に入っていった。

 どうやら、このDKアイランドもキーラの影響を受けているようだ。

 リンクリーがいなくなったため、しずえはようやく落ち着きを取り戻す。

「はあ、びっくりしました。島にはお化けもいたんですね」

「……ばあさんが応援してくれた。なら、やるっきゃないだろ」

 祖母の応援に勇気づけられたドンキー。

 彼女のためにも、DKアイランドをキーラの支配から解放しなければならない。

 

「よし、いくぜ、みんな!」

「はい!」

 ドンキーの鼓舞で、一行はDKアイランドの冒険をするのだった。

「ヒャッハーーーーー!!」

「くっ、わたしを殺せるものなら殺してみなさい!」

 アイシャはクレムリン軍団の下っ端、クリッター相手に少し苦戦していた。

 一方のクリッターは、見た事がない人間に興味津々だ。

「はぁっ!」

 アイシャは包丁でクリッターを斬りつけて怯ませ、メイドキックでクリッターを追撃する。

 威力は低いが、何度も攻撃していくうちにクリッターは弱まっていく。

「とどめです!」

 そして、アイシャが包丁でクリッターを突き刺し、クリッターのスピリッツを解放した。

 

「……そういえば、キングクルールさんはどこにいるのでしょうか?」

 消滅したキングクルールのボディがあったところを見て、アイシャは呟く。

 そういえば彼も新参者だったな……と思う。

「さあ、分からないな。でも、ここには多分いないと思うぜ」

「よし、いきましょう!」

 

「キーラ様、キーラ様……」

「じいさん!」

 次に立ち塞がるのは、ドンキーの祖父クランキー。

 彼もキーラの光により彼女を崇拝しているようだ。

「キーラ様、見ていてくだされ。ワシはこいつらをけちょんけちょんにしてやるぞ!」

 クランキーが戦闘態勢を取り、ドンキー達を排除しようとする。

 ジョーカーとシュルクは彼を止めるべく、武器を構えてドンキーの前に立った。

「覚悟はいいか?」

「僕はできてるよ」

 

「……見えた」

 シュルクは未来視を使ってクランキーの行動を予測する。

「ジョーカー、クランキーはこっちに向かって突進してくるよ」

「そうか。スクンダ!」

 ジョーカーは呪文を唱え、突進してくるクランキーの動きを鈍らせる。

「バックスラッシュ!」

 シュルクはその隙に背後に斬りかかり、クランキーにダメージを与えた。

 ジョーカーは距離を置いて銃を撃ち、シュルクはシールドを張ったクランキーを投げ飛ばす。

「いい夢見ろよ」

 隙ができたクランキーに、ジョーカーは針を撃ち込んで眠らせる。

「今、僕が助けるからね。モナドスマッシュ!」

 そしてシュルクがモナドの剣先でクランキーを貫き、彼を場外に吹っ飛ばした。

 ベルはボディから飛び出したクランキーのスピリッツにスピリッツボールを向け、彼の魂を吸い込んで回収した。

「回収完了!」

 ベルは、スピリッツボールを閉じてそう言った。

「あんた達の戦いを見てると、前世の事を少しだけ思い出すわ」

 ジョーカーとシュルクを見たベルは、前世の記憶を懐かしんでいた。

 二人が?マークを浮かべると、ベルは「個人的な話よ」と言ってすぐに切り上げた。

 その後、一行はどんどん先に進み、ジンガー、エンガード、ファンキーコング、キャンディーコングのスピリッツを解放した。

 

「マスタースピリットなのに、ミーの扱いバッド!」

「私も同感よ」

「ごめんなさい、私達は先を急いでいるのよ」

 

 そして、一行は捕まっているファイターの下に辿り着く事ができた。

 そのファイターは、ドンキーの相棒、チンパンジーのディディーコングだった。

「ディディー、どうしたんだ!」

 ドンキーはディディーに呼びかけるが、ディディーは全く反応しない。

「……どうやら、キーラの呪縛のせいで何も聞こえないみたいだな」

「やっぱり、やるしかないのかよ! やるしか!」

 乱闘以外でディディーと戦うのを、ドンキーは避けていた。

 だが、ここで戦わなければ、ディディーを助ける事はできない。

 ドンキーは覚悟を決めて、光の鎖にジャイアントパンチを放った。

「……」

 光の鎖から解放されたディディーは、真っ赤な瞳をドンキーに向ける。

「待ってろよ、今助けてやるからな!」

「僕も一緒に戦う!」

「やめろ」

 カービィがドンキーと共に戦おうとするが、ドンキーは彼を制止する。

「こいつはオレの永遠の相棒だ。だから、オレ一人で戦わなきゃ意味がない! お前達はオレを信じてくれ!」

「……分かったよ」

 カービィは、ドンキーとディディーの戦いから身を引き、彼らを仲間と共に見守る事にした。

 

「いくぞ、ディディー!」

「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」

 今、ドンキーとディディーの、一対一の戦いが始まろうとしていた。

「ヒカリノチカラヨ……」

 ディディーはまず、光の力を使って自身の分身を7体召喚する。

 本来はディディーが使えない技だが、キーラに操られている間は一時的に使えるようだ。

「おら! おら! おら!」

 ドンキーはハンドスラップでディディーの分身を5体一掃する。

 その後、ドンキーはディディーの分身に突っ込んで転がるが、分身はそれを回避する。

「……と、見せかけて、おりゃ!」

 ドンキーはディディーの分身が回避したところにボディブローをぶち込む。

 ディディーはピーナッツ・ポップガンを撃ってドンキーを遠距離から攻撃する。

「こいつ、オレが飛び道具を持ってないのをいい事に、遠距離から攻撃してきたな!」

「クククク……」

「ディディー、負けるんじゃねぇぞ。そしてキーラ、絶対に許さないからな」

 不敵な笑みを浮かべるディディーを睨むドンキー。

 ドンキーは腕を振って分身を消し去った後、傍にあった樽をディディーに投げつける。

「イテテテテ……」

「よし、今だ!」

 ドンキーは怯んだディディーを掴み、リフティングで持ち上げる。

「いいか、ディディー。大人しくしてるんだぞ」

「ハ、ハナセ! ハナセェッ!」

 暴れ回るディディーを、ドンキーは必死で押さえ込む。

 すぐにドンキーは走り出し、場外に向かって飛び降りる。

「ハナセェェェェッ!」

 そして、ディディーがドンキーを振り落とすと、ドンキーは急いで崖に掴まる。

 その勢いで、ついにディディーは場外に落ちた。

「……はあ、はあ、どうだ」

「……」

 戦いに敗れたディディーは気を失っている。

 ドンキーは疲れながらも、ディディーを見下ろしていた。

「……ん、ここ、は……」

 しばらくすると、ディディーがゆっくりと起き上がる。

 その目は、澄んだ色に戻っていた。

「……オイラは、何をしてたんだ……」

「ディディー! 元に戻ったんだな! ああ、本当に良かったぜ」

「うん! オイラは大丈夫だよ!」

「ああ、本当に、お前が無事で良かったぜ……!」

 キーラに操られドンキーに牙を剥いたディディー。

 しかし、ドンキーが戦った事によりディディーはドンキーの相棒という自分を取り戻した。

 ドンキーの勝利に、スピリッツボールからクランキー、リンクリー、キャンディーのスピリッツが飛び出してくる。

『よくやったな、ドンキー』

『うふふ、私はドンキーちゃんが勝つ事を信じていたわ』

『ドンキー、見事な勝利、おめでとう!』

「じいさん、ばあさん、キャンディー……!」

 祖父、祖母、ガールフレンドから祝福を受け、ドンキーは頭を掻き、顔を赤らめた。

 スマブラメンバーも(一部を除いて)拍手した。

「えへへ……ありがと、ドンキー。オイラ、身体が動かなくて怖かったんだよ。

 でも、ドンキーの声が聞こえてきて、身体が動くようになって……そっちの方に行ったら……ドンキーがいたんだよ。

 本当にありがとう、ドンキー……!」

「ディディー……オレはもうお前を、二度と離さないからな……!」

 ドンキーとディディーは、涙を流しながらお互いに抱き合った。

 こうして、離れ離れになった二頭は、ようやく再会を果たすのであった。

 ~ベルのスピリッツ名鑑~

 

 リンクリーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♀

 クランキーコングの妻で、生前は小学校で教師をしていた。

 死後も幽霊になってこの世に留まっており、ドンキーコング達に助言をしてくれる。

 

 クリッター

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂♀両方存在する

 クレムリン軍団の下っ端。二足歩行する鰐の姿。

 体の色によって行動や攻撃方法が異なり、緑は爪で、青は回転して攻撃する。

 

 クランキーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂

 初代ドンキーコングで、現在のドンキーコングの祖父。

 昔はポリーンを攫うなど暴れ回っていたが、今は大人しくなり村の長老となった。

 妻・リンクリーコングに先立たれてからは、再び一人暮らしになる。

 

 ジンガー

 出身世界:DKアイランド

 性別:不明

 鋭い針が特徴的な、DKアイランドに住む蜂。

 踏む事ができないが、間接攻撃で倒せる。

 

 エンガード

 出身世界:DKアイランド

 性別:不明

 ドンキーコングやディディーコングをサポートしてくれるカジキ。

 素早く泳げるようになり、体当たりで攻撃できる。

 

 ファンキーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂

 ドンキーコングの友人。釣りとサーフィンが好き。

 サングラスとバンダナが特徴的。

 

 キャンディーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♀

 ドンキーコングのガールフレンド。

 その艶やかで色っぽい風貌はとても魅力的である。

 キャンディー・ミュージックという楽器屋を経営していた事もある。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択