リオレウスを撃破し、ついにキーラを守るバリアが消滅した。
だが、キーラに捕まったファイターはまだこの世界に散らばっている。
一行は残ったスマブラメンバーを助けるため、ベルを先頭に歩いていった。
「次は……あっ、見つけたわ! こっちね」
ベルは何かを発見したようで、滝がある山がある方角にいきなり走り出す。
「ベルベル、何見つけたの?」
「仲間よ、仲間の魂よ! キーラがいる方とは逆だけど、仲間は助けなきゃ! ほら、ついてらっしゃい!」
「あっち行ったり、こっち行ったりと、忙しいな」
ベルは、仲間がいるという北東に行き、皆を誘導した。
あちこちを行き来する忙しさに、ダークリンクはぽつりと呟いた。
「久しぶりのDKアイランドだ!」
こうして、一行はファイターが捕まっている場所、DKアイランドに辿り着いた。
ドンキーコングは懐かしさから少し熱い声で叫ぶ。
「DKアイランド! とうとう深緑の森の軒先にまで来た。今が戦争中とは残念至極!」
久々に故郷、DKアイランドに帰ってきたドンキー。
椰子の木が島を覆い、住むものも木を使って家を建てている。
昔ながらの生活が、ここには存在するのだ。
「聞こえるかしら……?」
すると、ドンキーの目の前に、帽子を被った老婆の幽霊が姿を現した。
「きゃあああああ! お化けええええ!!」
しずえは驚いてベルの後ろに隠れる。
ベルは「何をするの!」と叫んでドンキーの前に立ち、大鎌を構える。
「おいおい、ベル、やめろって! オレのばあさんだぞ!」
「え……あんたのおばあちゃん……?」
ベルは幽霊の正体をドンキーから聞いた後、すぐに大鎌をしまった。
「そうよ。私はリンクリー、ドンキーちゃんのおばあちゃんだったわ」
ドンキーコング、ベル、なおも震えるしずえの前で、幽霊は自己紹介をする。
「だった?」
「ディクシーちゃん、ディンキーちゃん、ドンキーちゃん、ディディーちゃんが帰ってきてすぐに、私は死んじゃったわ」
リンクリーはディクシーとディンキーが冒険を終えた後にこの世を去った。
しかし、その魂は不滅であり、こんな風に幽霊として元気に暮らしていると語った。
「だから、怖がらないでね、若い犬さん」
「でも、やっぱりお化けは怖いです……」
「あらあら……。でも、私がここに現れた理由は、あなた達に伝えたい事があるからなの。
実は、島のみんなが急にキーラを崇め出して、逆らう子を排除したがるみたい。
私はモノに触れないから、あなた達に頼みたいの。お願いよ、島のみんなを助けてね」
そう言うと、リンクリーはスピリッツボールの中に入っていった。
どうやら、このDKアイランドもキーラの影響を受けているようだ。
リンクリーがいなくなったため、しずえはようやく落ち着きを取り戻す。
「はあ、びっくりしました。島にはお化けもいたんですね」
「……ばあさんが応援してくれた。なら、やるっきゃないだろ」
祖母の応援に勇気づけられたドンキー。
彼女のためにも、DKアイランドをキーラの支配から解放しなければならない。
「よし、いくぜ、みんな!」
「はい!」
ドンキーの鼓舞で、一行はDKアイランドの冒険をするのだった。
「ヒャッハーーーーー!!」
「くっ、わたしを殺せるものなら殺してみなさい!」
アイシャはクレムリン軍団の下っ端、クリッター相手に少し苦戦していた。
一方のクリッターは、見た事がない人間に興味津々だ。
「はぁっ!」
アイシャは包丁でクリッターを斬りつけて怯ませ、メイドキックでクリッターを追撃する。
威力は低いが、何度も攻撃していくうちにクリッターは弱まっていく。
「とどめです!」
そして、アイシャが包丁でクリッターを突き刺し、クリッターのスピリッツを解放した。
「……そういえば、キングクルールさんはどこにいるのでしょうか?」
消滅したキングクルールのボディがあったところを見て、アイシャは呟く。
そういえば彼も新参者だったな……と思う。
「さあ、分からないな。でも、ここには多分いないと思うぜ」
「よし、いきましょう!」
「キーラ様、キーラ様……」
「じいさん!」
次に立ち塞がるのは、ドンキーの祖父クランキー。
彼もキーラの光により彼女を崇拝しているようだ。
「キーラ様、見ていてくだされ。ワシはこいつらをけちょんけちょんにしてやるぞ!」
クランキーが戦闘態勢を取り、ドンキー達を排除しようとする。
ジョーカーとシュルクは彼を止めるべく、武器を構えてドンキーの前に立った。
「覚悟はいいか?」
「僕はできてるよ」
「……見えた」
シュルクは未来視を使ってクランキーの行動を予測する。
「ジョーカー、クランキーはこっちに向かって突進してくるよ」
「そうか。スクンダ!」
ジョーカーは呪文を唱え、突進してくるクランキーの動きを鈍らせる。
「バックスラッシュ!」
シュルクはその隙に背後に斬りかかり、クランキーにダメージを与えた。
ジョーカーは距離を置いて銃を撃ち、シュルクはシールドを張ったクランキーを投げ飛ばす。
「いい夢見ろよ」
隙ができたクランキーに、ジョーカーは針を撃ち込んで眠らせる。
「今、僕が助けるからね。モナドスマッシュ!」
そしてシュルクがモナドの剣先でクランキーを貫き、彼を場外に吹っ飛ばした。
ベルはボディから飛び出したクランキーのスピリッツにスピリッツボールを向け、彼の魂を吸い込んで回収した。
「回収完了!」
ベルは、スピリッツボールを閉じてそう言った。
「あんた達の戦いを見てると、前世の事を少しだけ思い出すわ」
ジョーカーとシュルクを見たベルは、前世の記憶を懐かしんでいた。
二人が?マークを浮かべると、ベルは「個人的な話よ」と言ってすぐに切り上げた。
その後、一行はどんどん先に進み、ジンガー、エンガード、ファンキーコング、キャンディーコングのスピリッツを解放した。
「マスタースピリットなのに、ミーの扱いバッド!」
「私も同感よ」
「ごめんなさい、私達は先を急いでいるのよ」
そして、一行は捕まっているファイターの下に辿り着く事ができた。
そのファイターは、ドンキーの相棒、チンパンジーのディディーコングだった。
「ディディー、どうしたんだ!」
ドンキーはディディーに呼びかけるが、ディディーは全く反応しない。
「……どうやら、キーラの呪縛のせいで何も聞こえないみたいだな」
「やっぱり、やるしかないのかよ! やるしか!」
乱闘以外でディディーと戦うのを、ドンキーは避けていた。
だが、ここで戦わなければ、ディディーを助ける事はできない。
ドンキーは覚悟を決めて、光の鎖にジャイアントパンチを放った。
「……」
光の鎖から解放されたディディーは、真っ赤な瞳をドンキーに向ける。
「待ってろよ、今助けてやるからな!」
「僕も一緒に戦う!」
「やめろ」
カービィがドンキーと共に戦おうとするが、ドンキーは彼を制止する。
「こいつはオレの永遠の相棒だ。だから、オレ一人で戦わなきゃ意味がない! お前達はオレを信じてくれ!」
「……分かったよ」
カービィは、ドンキーとディディーの戦いから身を引き、彼らを仲間と共に見守る事にした。
「いくぞ、ディディー!」
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」
今、ドンキーとディディーの、一対一の戦いが始まろうとしていた。
「ヒカリノチカラヨ……」
ディディーはまず、光の力を使って自身の分身を7体召喚する。
本来はディディーが使えない技だが、キーラに操られている間は一時的に使えるようだ。
「おら! おら! おら!」
ドンキーはハンドスラップでディディーの分身を5体一掃する。
その後、ドンキーはディディーの分身に突っ込んで転がるが、分身はそれを回避する。
「……と、見せかけて、おりゃ!」
ドンキーはディディーの分身が回避したところにボディブローをぶち込む。
ディディーはピーナッツ・ポップガンを撃ってドンキーを遠距離から攻撃する。
「こいつ、オレが飛び道具を持ってないのをいい事に、遠距離から攻撃してきたな!」
「クククク……」
「ディディー、負けるんじゃねぇぞ。そしてキーラ、絶対に許さないからな」
不敵な笑みを浮かべるディディーを睨むドンキー。
ドンキーは腕を振って分身を消し去った後、傍にあった樽をディディーに投げつける。
「イテテテテ……」
「よし、今だ!」
ドンキーは怯んだディディーを掴み、リフティングで持ち上げる。
「いいか、ディディー。大人しくしてるんだぞ」
「ハ、ハナセ! ハナセェッ!」
暴れ回るディディーを、ドンキーは必死で押さえ込む。
すぐにドンキーは走り出し、場外に向かって飛び降りる。
「ハナセェェェェッ!」
そして、ディディーがドンキーを振り落とすと、ドンキーは急いで崖に掴まる。
その勢いで、ついにディディーは場外に落ちた。
「……はあ、はあ、どうだ」
「……」
戦いに敗れたディディーは気を失っている。
ドンキーは疲れながらも、ディディーを見下ろしていた。
「……ん、ここ、は……」
しばらくすると、ディディーがゆっくりと起き上がる。
その目は、澄んだ色に戻っていた。
「……オイラは、何をしてたんだ……」
「ディディー! 元に戻ったんだな! ああ、本当に良かったぜ」
「うん! オイラは大丈夫だよ!」
「ああ、本当に、お前が無事で良かったぜ……!」
キーラに操られドンキーに牙を剥いたディディー。
しかし、ドンキーが戦った事によりディディーはドンキーの相棒という自分を取り戻した。
ドンキーの勝利に、スピリッツボールからクランキー、リンクリー、キャンディーのスピリッツが飛び出してくる。
『よくやったな、ドンキー』
『うふふ、私はドンキーちゃんが勝つ事を信じていたわ』
『ドンキー、見事な勝利、おめでとう!』
「じいさん、ばあさん、キャンディー……!」
祖父、祖母、ガールフレンドから祝福を受け、ドンキーは頭を掻き、顔を赤らめた。
スマブラメンバーも(一部を除いて)拍手した。
「えへへ……ありがと、ドンキー。オイラ、身体が動かなくて怖かったんだよ。
でも、ドンキーの声が聞こえてきて、身体が動くようになって……そっちの方に行ったら……ドンキーがいたんだよ。
本当にありがとう、ドンキー……!」
「ディディー……オレはもうお前を、二度と離さないからな……!」
ドンキーとディディーは、涙を流しながらお互いに抱き合った。
こうして、離れ離れになった二頭は、ようやく再会を果たすのであった。
~ベルのスピリッツ名鑑~
リンクリーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♀
クランキーコングの妻で、生前は小学校で教師をしていた。
死後も幽霊になってこの世に留まっており、ドンキーコング達に助言をしてくれる。
クリッター
出身世界:DKアイランド
性別:♂♀両方存在する
クレムリン軍団の下っ端。二足歩行する鰐の姿。
体の色によって行動や攻撃方法が異なり、緑は爪で、青は回転して攻撃する。
クランキーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♂
初代ドンキーコングで、現在のドンキーコングの祖父。
昔はポリーンを攫うなど暴れ回っていたが、今は大人しくなり村の長老となった。
妻・リンクリーコングに先立たれてからは、再び一人暮らしになる。
ジンガー
出身世界:DKアイランド
性別:不明
鋭い針が特徴的な、DKアイランドに住む蜂。
踏む事ができないが、間接攻撃で倒せる。
エンガード
出身世界:DKアイランド
性別:不明
ドンキーコングやディディーコングをサポートしてくれるカジキ。
素早く泳げるようになり、体当たりで攻撃できる。
ファンキーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♂
ドンキーコングの友人。釣りとサーフィンが好き。
サングラスとバンダナが特徴的。
キャンディーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♀
ドンキーコングのガールフレンド。
その艶やかで色っぽい風貌はとても魅力的である。
キャンディー・ミュージックという楽器屋を経営していた事もある。
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ここから、しばらく仲間を救出しに行きます。
寄り道も一応、大事ですしね。