繭を部屋へ持ち帰った俺だが、この姿を何とかしなくてはならない。代えの服なら余計怪しまれるし、フリで乗り切ろうとしてもレミリアなら間違いなく見破られる。
ならば効果が切れるまで館に戻らないつもりで行くか!
レミリア「こんなところで何してるの、フラン」
ジュウゴロウ「!!オ、オネエサマ!?」
いつから後ろにいたのか、レミリアが俺を睨んでいた。
レミリア「テラスから見てたけど、日に当たっても平気とは不思議ね」
み、見られてたのか!?こいつはなんで都合よいことをするんだ!!ここまで追い詰められたのなら止むを得なかった。
ジュウゴロウ「ごめんなさい、実はジュウゴロウです。永琳に無理やり飲まされてこんな姿になってしまいました」
レミリア「あの薬師ね・・・まぁいいけど、それはなんなの?」
レミリアは繭を見て質問した。
ジュウゴロウ「こいつは伝説のポケモンが眠っている繭だ。永遠亭で手に入れた」
レミリア「伝説の?」
ジュウゴロウ「ポケモンの中には、伝説とされたポケモンがいる。その能力は通常と比べれば桁違いで、真の実力を持つ者のみしか姿を見せてくれないポケモンだ。その1匹がこいつ、星の神の名を持つ願い事ポケモン、ジラーチで、どんな願いも叶えさせてくれる」
レミリア「なかなか面白いわね。貧乏巫女に仕返しとかできそうで・・・」
そう言いうと違和感全開な顔で笑う。腹黒い!あんた腹黒いよ!
レミリア「そうそう、実は貴方にプレゼントがあるのよ。香霖堂という店に取り寄せられているから受け取ってきて」
ジュウゴロウ「え?直で貰うんじゃなくて?」
レミリア(いいから行きなさい)
このまま言ったら殺されると思い、俺はすぐに向かうことにした。
香林堂は森に囲まれた一つの店だった。しかし、こんな森で経営してたら妖怪に教われないのか?そんなことを俺は疑問に思いながら入る。
ジュウゴロウ「すみませ~ん・・・って、ああっ!!」
そこで見たのは、酷く荒らされた跡だった。その中に傷を負っている少女を支えている男がいた。おそらくあれは店主に違いない。
ジュウゴロウ「この有様は何があったんだ?」
「テレビから変な生き物が飛び出てきて、放電しながら外へ逃げたんだ。おかげで品や朱鷺子が酷い有様どころか、家具まで盗まれてしまった・・・」
ジュウゴロウ「生き物?どんな形だ?」
「赤い物体で、周りに静電気が流れてたんだけど・・・」
赤く静電気を流す物体・・・まさか!
ジュウゴロウ「何処へ逃げたかは?」
「おそらく、湖の方角だと・・・」
ジュウゴロウ「分かった。何とかするぜ!」
俺はすぐに霧の湖へ直行した。到着した先には、チルノと赤い物体が戦っている様子が目に映る。間違いない、あれはプラズマポケモン、ロトムだ!
チルノ「こんにゃろー!ちょこまか逃げやかってー!」
チルノは針を投げまくるが、体が小さいことで当たりにくく、ロトムは盗んでいた赤い電子レンジの中へ入り込む。するとロトムの姿が突如変わってしまう。ロトムは反撃でレンジの蓋からオーバーヒートを繰り出す。
ジュウゴロウ「危ないチルノ!!」
俺が指示していたボーマンダはチルノを掴んで攻撃を避ける。危なかった、あのままチルノは溶けてしまっていたかもしれない。
チルノ「だ、誰なのあんた!?」
ジュウゴロウ「俺だよ、あんたの子分のジュウゴロウだ」
だが話は後にしようと俺は思った。ロトムはレンジから離れ、今度は赤い冷蔵庫に取り付くとまた姿を変え、扉から強烈な氷が吹き出る。吹雪だ。
ジュウゴロウ「火炎放射!!」
ボーマンダは口から強力な火炎で吹雪の勢いを薄くしようとした。しかしこの冷気があまりにも強烈過ぎるせいか、火炎放射ごと俺達に襲い掛かる。
ジュウゴロウ「ぐああああっ!!」
チルノ「きゃあああっ!!」
大ダメージを受けた俺、チルノ、ボーマンダは地面に落とされる。
ジュウゴロウ「ま、まずい・・・ボーマンダ戻れ・・・!」
瀕死寸前のボーマンダをすぐにボールへ戻すが、まだピンチは続いている。ロトムを止めなければならないのだ。
チルノ「な、なんなのよこいつ・・・!いきなり現れて攻撃してきたんだよ!?」
ジュウゴロウ「チルノ、あいつは小さいけど強力なポケモンだ。下手すると感電死になりかねない!」
そう言っているうちにロトムは冷蔵庫から赤い扇風機へ取り付いて姿をさらに変える。ファンが勢いよく回り始める。
ジュウゴロウ「チルノ、左に避けろ!」
俺に合わせてチルノも左に飛びつきながら伏せると、先程いた場所に鋭い刃で切り裂かれる跡ができた。エアスラッシュの跡である。
ジュウゴロウ「なんて威力だ・・・危険すぎるけどやるしかない!」
俺は両手を前へ突き出す。
黒雷「ダークスパーク」
黒いレーザーが発射される。この範囲だ、避けれるのは無理だと確信している俺の予想通りにロトムに命中した。
チルノ「すごい・・・じゅうごろーって、スペルカードつかえたんだ・・・」
ジュウゴロウ「昨日から使えれた・・・ !?」
バリッ!
チルノ「え・・・?」
チルノの真後ろに、倒れたはずのロトムが回りこんでいた。
チルノ「・・・?なんともない・・・じゅうごろー?」
ジュウゴロウ「チルノ・・・だいじょう・・・ぶか・・・?」
俺はチルノを庇い、ロトムの放つ10万ボルトの餌食となっていた。
チルノ「そんな、しっかりしてよじゅうごろー!」
ジュウゴロウ「チルノ・・・俺のことは・・・かまわず・・・逃げろ・・・ロトムは強い・・・」
電撃が強すぎるせいで意識が飛びそうになっていた。もう一発食らえば、確実に死ぬ。
チルノ「・・・じゅうごろーのバカッ!!」
ジュウゴロウ「・・・!」
その時チルノは叫んだ。
チルノ「教えてくれたんでしょ・・・?力を信じる覚悟があるかって・・・だからあたいは特訓して、じゅうごろーとまた戦おうって決めたんだよ!!だからといってこのままにしてたら・・・死んじゃうんだよ!?そんなのでいいの!?」
ジュウゴロウ「チルノ・・・」
涙を流すチルノを見て俺は気づいた。俺は彼女に、未来があると感じたんだ・・・それを俺は・・・
ジュウゴロウ「目が覚めたぜチルノ、戦うぞ!」
チルノ「うん!」
俺とチルノは互いにカードを構える。
ジュウゴロウ「よく覚えておけロトム。俺の名はキバシ ジュウゴロウ・・・人間界最強の男だ!!!」
チルノ「あたいはチルノ・・・げんそうきょーいちのさいきょーよ!!!」
第17話でした。
ロトムも幻想卿に登場!!小さい割には強いなんて何かの間違いかと思われますが、伝説ポケモンの類なんてこんな風にしました。
因みに家具はどうやって盗んだかというと、このロトムにはサイコキネシスを覚えさせているつもりで、それで家具を盗んだというわけです。
そしてここでチルノがまさかの真面目となってジュウゴロウとダックを組みました!強敵に打ち勝てるか!?
次回を待て!
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。