ストームを助けた一行は、キーラの目が届かない安全な場所でゆっくりと身体を休ませていた。
「なるほど……君が使うのはそういうタイプの武器なんだね」
「そういうタイプとは……銃を知らないのか?」
「ああ、僕の元いた世界には無かったよ」
「シャドウの銃は重たいけどとってもかっこいいよ! 私が初めて見た時はちょっと驚いたよ」
ストーム、シャドウ、マールは、射撃武器(マールは「ブキ」)を使う者同士、という事である意味親近感を抱いた。
「矢にトルネイドの竜巻を纏わせ、矢の速度と威力を上げて……」
「この拳銃と機関銃は僕の手に合ってな、戦いが終わるまでは手放せなくなった」
「私が愛用するブキのわかばシューターは、サポートが得意で、誰もが持ってるんだよ」
武器(ブキ)関連で三人の話は一気に盛り上がる。
周りの姿や声がほとんど目に入らないほど、彼らは武器(ブキ)の話題で熱くなっていた。
「よし、試し撃ちするか」
「やるぞー!」
「いくよ」
そして、ストームが弓、シャドウが拳銃、マールがわかばシューターを構え、試し撃ちをしようとしたその時――
「やめろーーーーーーーーっ!!」
ダークリンクの叫び声が聞こえてきて、ストーム達は一斉に彼の方を向いた。
もちろん、それぞれの武器(ブキ)を構えながら。
「いや、その武器、しまってくれ」
ダークリンクがツッコミを入れると、三人はすぐに武器(ブキ)をしまうのだった。
「こんな笑えない時なのに、笑わせてくれてありがとよ」
ははは、とドンキーコングが笑っている。
今はキーラのほとんどに戦力を奪われており、とても笑えるような状況ではない。
が、ストーム、シャドウ、マールのやり取りはドンキーに笑いを与えてくれたようだ。
「「真面目にやったつもりだが」」
「なんで笑ったのかな?」
ストーム、シャドウ、マールは呆れていた。
しかし、笑いによってスマッシュブラザーズの緊張は一気にほぐれた。
「ありがとよ。おかげで、リラックスできたぜ。さ、みんなで仲間を探すぞ」
「……ああ!」
一行は、山岳地帯にいる残ったファイターを解放しに向かった。
ストームの次に見つけたファイターは、タツマイリに住む金髪の少年、リュカ。
彼には、ドンキー、バンジョー、カズーイ、シャドウ、アイシャで立ち向かった。
「リュカ、ボク達を信じてね」
「はっ!」
シャドウが拳銃から放った弾丸が、吸い込まれるようにリュカの腹部を撃ち抜く。
「おらぁ!」
「そぉれ!」
「……」
リュカはバンジョーとカズーイの攻撃をかわし、ドンキーをPKフラッシュで惑わす。
「うおっ! 眩しっ!」
「コレガキーラサマノヒカリダ……マブシイダロウ……」
「ああ、眩しいぜ。だが、それがどうした? オレのパワーは負けないぜ! おりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ドンキーはジャイアントパンチをリュカに食らわせる。
しかし、リュカは痛くも痒くもない表情をした。
「なっ!? オレのパンチが効かない!?」
「オマエノチカラハ……ボクニハキカナイ」
「ふざけやがって……うぐっ!?」
ドンキーが再び殴ろうとすると、彼の身体から力が抜ける感覚がする。
「なんで、力が出ないんだ……!?」
「コノPKフラッシュハ……アイテカラチカラヲウバウノサ」
「何、だと……!?」
ドンキーはふらつきながらもゆっくり起き上がる。
しかし、確実に立つ力は減ってきていた。
「ドンキーに何をするんだよ!」
バンジョーはパンチで攻撃するが、リュカはシールドで攻撃を防ぎ、PKサンダーで反撃する。
その攻撃をアイシャが代わりに受け、彼女は皿を投げつけてリュカを攻撃した。
「あまり攻撃は得意ではありませんが、リュカさんを助けるためならこれくらい……」
シャドウは再び、拳銃でリュカを撃つ。
攻撃を食らったリュカは、PKサンダーでドンキー達を痺れさせた。
「ぐっ……!」
「動けない……」
「コレデ……トドメダ。PKスター……」
リュカが強力なPSIを発動させようとした時、唯一動けるカズーイがリュカの方に飛んでいき、嘴で彼を攻撃した。
頭をつつかれたリュカは集中力が途切れ、PSIを発動できずに終わる。
「うぐっ!?」
「バンジョーもドンキーも動けないけど、あたいまでは止められなかったみたいね!」
「カズーイ、よくやった!」
相棒の活躍を褒めるバンジョーに、カズーイはへへへと照れる。
彼女はすぐに真剣な表情に戻り、再びリュカに突っ込んでいく。
リュカはPSIで反撃しようとするが、カズーイに頭をつつかれたため上手く発動できなかった。
「これで、とどめよ!」
そして、カズーイがリュカを掴むと、彼を地面に叩きつけ、戦闘不能にする。
こうして、リュカとの戦いは、終わるのだった。
「……ボクは一体、何をしてたの……?」
正気に戻ったリュカは、他の助けたファイター同様キーラに操られていた記憶は無くなっていた。
しかし、傷はしっかり残っており、リュカが操られてドンキー達と戦ったという事実は残った。
「大丈夫でしたか、リュカさん? 今、わたしが治しますわ」
アイシャは治癒の力を使い、戦いで傷ついたリュカを治療する。
「……身体の痛みが消えてる……キミが治したの?」
「ええ。もう大丈夫ですわよ」
起き上がったリュカにニッコリと微笑むアイシャ。
「ところで、あなたはどうしてこちらにいらっしゃいましたの?」
「あ、実はネス君と一緒に光から逃げたんだ。でも、光だから凄く速くて……ネス君も、ボクも……」
リュカは落ち込みながらアイシャ達に事情を話す。
アイシャは「なるほど」と頷いた。
「それで、ネスさんは一体どこにいったんですの?」
「それは覚えてないから分からないよ。だけど」
「確実に無事ではなさそうですわね」
ネスもキーラに操られた被害者だ。
今もなお、母体をキーラに利用されている……そう思ったリュカは身体が震え出した。
「でも、大丈夫だよ。ボク達が必ず、みんなを助けてあげるから」
「くよくよしないで! あんたの元気がなかったら、あたいらも元気じゃなくなるわよ!」
バンジョーとカズーイが落ち込むリュカを元気づける。
確かにこんな調子では、スマッシュブラザーズを助けるための気力が足りなくなる。
立ち止まってはいられない、とリュカは立ち上がった。
「ありがとう、熊さん、鳥さん。キミ達のおかげでボク、元気になったよ」
「あ、名前を言い忘れちゃったね。ボクはバンジョーだよ」
「あたいはカズーイよ、よろしくね」
「よろしくお願いします、バンジョーさん、カズーイさん!」
そう言って、リュカはバンジョーの腕を右手で、カズーイの羽を左手で握った。
ちなみにバンジョーとカズーイは、後で「呼び捨てでいいんだけど」とリュカに言った。
こうして、スマッシュブラザーズは、光の鎖からリュカを解き放つのだった。
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リュカ参戦回です。
最初にはちょっとしたギャグを入れてみました。