No.1053946 英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~soranoさん 2021-02-09 23:51:50 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1341 閲覧ユーザー数:1265 |
~カレイジャス・ブリッジ~
「それを話す前に”黒の工房”の現在の逼迫した状況を皆様にも伝えさせて頂きます。わたくしの件はその件とも関係がありますので。」
「現在の黒の工房の………」
「しかも”逼迫した状況”って言い方をしたって事は、もしかしてアルベリヒやジョルジュは相当追い詰められている状況なのか?」
シャロンが口にした言葉を聞いたその場にいる全員が血相を変えている中ガイウスは真剣な表情を浮かべ、クロウは続きを促した。
「はい。――――――皆様もご存じのように黒の工房の本拠地はリィン様達メンフィル帝国軍が仕掛けた爆薬によって爆破され、本拠地の施設が使用不能になった事は当然として量産されていた兵器や武装も全て破壊され、黒の工房自身の戦力も著しく低下しました。――――――そしてその数日後に、リィン様達―――――”灰獅子隊”が本拠地以外に残っていた黒の工房の拠点を同時襲撃し、全て制圧後レヴォリューションに搭載されている兵装で各拠点を完全に破壊したのですわ。」
「ええっ!?リ、リィン達が!?でも、一体どうやって黒の工房の本拠地以外の拠点を……」
「多分だけど本拠地を襲撃した際のハッキングで本拠地以外の拠点の情報も入手していたんだと思うよ。」
「間違いなくそうでしょうね。その件を考えるとレン達が本拠地を襲撃してハッキングをした目的は黒の工房の本拠地だけでなく、文字通り”黒の工房を完全に機能停止に陥らせる”為でしょうね。」
シャロンの説明を聞いて驚きの声を上げたエリオットの疑問にトワとシェラザードが真剣な表情で答えた。
「えっと…………黒の工房の件で気になっていたのですが、リフィア殿下が放った高位の破邪の魔術をまともに受けてしまった”黒のアルベリヒ”は今どのような状況なのでしょうか……?襲撃の後に少しの間エリンの里に滞在していたリウイ陛下達の話によれば、しばらくは動けない状態になっている可能性が高いと仰っていましたが……」
「……”黒のアルベリヒ”は少なくてもわたくしが新たなる要請(オーダー)を受けて行動をするまでは意識不明の重体でしたわ。」
「!!」
「なっ!?意識不明の重体!?」
「リウイ陛下達の予想通りだったという訳か……」
「という事は黒のアルベリヒは今も目覚めていなく、戦争の裏で何らかの暗躍もすることもできない状態になっている可能性が高いって事ね……」
「ああ……アルベリヒがそんな状態なんだから、黒の工房として活動できるのはジョルジュだけだろうな。」
エマの疑問に答えたシャロンの答えを聞いたアリサは目を見開き、マキアスは驚きの声を上げ、アンゼリカはアリサに視線を向けた後複雑そうな表情で呟き、サラとクロウは真剣な表情で推測した。
「ねえ……団長やレオはどうなっているの?多分だけど二人もリィン達が潰したその施設にいたんでしょ?」
「そういえばノーザンブリアの件で”西風の旅団”が介入しようとした所をリィン達が”返り討ち”にして、そのことで”紫の騎神”は今後の戦闘が不可能な状況にまで陥ったとの事だから、紫の騎神の修理の為に黒の工房に頼っているであろう西風の二人もリィン達が潰した施設にいた可能性は高いわね……」
フィーの疑問を聞いたサラはある事を思い出して静かな表情で呟いた。
「ええ、お二方とも”灰獅子隊”が潰した黒の工房の残りの拠点の一つに滞在していました。ですが、リィン様達の襲撃を知るとすぐに”紫の騎神”の”精霊の道”で撤退したとの事ですわ。」
「ちなみに”紫”の回復状況はどうなっているのかしら?」
「ノーザンブリアの件以降から全く変わっていないとの事ですわ。そこに加えて破壊された武器の調達の目途も全くついていない上、猟兵王も自身の回復の為に黒の工房が用意していた治療ポッドの中で眠って回復に集中し続ける状況が続いている上、”破壊獣(ベヒモス)”は回復に集中して動けない猟兵王の護衛の為に猟兵王の傍から離れる事はできないと聞いています。」
「やはり両腕の破壊は”騎神”にとってもそうですが”起動者(ライザー)”にとっても相当なダメージになったようですね……」
「ハッ、あの二人が復帰する頃には今回の戦争の決着はとっくの昔についているんじゃねぇのか?」
「冗談抜きでその展開になりかねないわね……」
「………団長…………レオ……………」
セリーヌの質問に答えたシャロンの答えを聞いたエマはフィーを気にしながら複雑そうな表情で呟き、アッシュは鼻を鳴らして答え、アッシュの言葉にサラは静かな表情で同意し、フィーは複雑そうな表情でルトガーとレオニダスを思い浮かべた。
「だけど、その情報はあたしたちにとっては朗報ね。」
「ああ。”西風の旅団”の二人もそうだが、”紫の騎神”も鉄血宰相達の”裏の協力者”として何らかの暗躍ができない状態だからな。」
「しかも”黒の工房”は工房長の”黒のアルベリヒ”自身は意識不明の重体の上結社も”道化師”がクロスベルでセリカさんに抹殺されて、シャロンさんはアリサちゃんの元に戻ってきたのですから、”裏の協力者”は”銅のゲオルグ”を除けば”赤い星座”出身のあの女の子しか残っていないんじゃないですか?」
「”紅の戦鬼”――――――シャーリィ・オルランドか……それを考えるとオズボーン宰相達に協力している”裏の協力者”で現在動けるのはジョルジュ先輩と”紅の戦鬼”だけで、後は”赤い星座”を含めたオズボーン宰相達が雇っている猟兵団になるのか……」
静かな表情で呟いたシェラザードの意見に頷いたアガットは目を細め、アネラスが口にした推測に続くようにラウラは真剣な表情でシャーリィを思い浮かべた後現在の”裏の協力者”の状況を分析した。
「えとえと……シャロンさんは黒の工房の本拠地が壊滅した後の要請(オーダー)を請けたって言っていましたけど、もしかしてその要請(オーダー)がアリサさんの元に戻ってくる要因の一つなんですか?」
「ふふっ、さすがはかのラッセル博士の孫娘であられるティータ様ですわね。見事な洞察力ですわ。――――――ティータ様の仰る通り、銅のゲオルグはわたくしに新たな要請(オーダー)を出したのですわ――――――”真なる贄たるリィン様の捕縛を。”」
ティータの質問に対してシャロンは苦笑した後話を続けた。
「……ッ!」
「なっ!?シャロンさんがリィンの捕縛の要請(オーダー)を……!?」
「しかもジョルジュ君がシャロンさんにそんな要請(オーダー)を出していたなんて……」
シャロンの答えを聞いたその場にいる全員が血相を変えている中アリサは息を呑み、マキアスは驚きの声を上げ、トワは辛そうな表情で呟いた。
「……解せんな。幾らリィンが”本来の真なる贄”とやらとはいえ、何故今の状況でリィンを狙ったのだ、ジョルジュ・ノームは。」
「それはやはり”代役”として選ばれた僕よりも、”本来の真なる贄”であったリィンさんの方が利用価値が高かったからではないでしょうか?」
「いや、例えそうだとしても今のリィン君を狙うのは”リスク”が高すぎるよ。以前のメサイア君しかいなかったリィン君ならともかく、今のリィン君には多くの異種族達と”契約”している事で、その異種族達が常にリィン君の身体の中と得物に待機している状態の上、その中には”魔神”や”女神”もいるからね。例えリィン君を不意打ちで気絶させたとしても、リィン君の危機を知ったメサイア君達がすぐに現れてリィン君を気絶させた相手を制圧する事は確実なのは目に見えている。」
「幾ら”執行者”だろうと、相手が”魔神”や”女神”になると”執行者が敗北する事が確実”だからな。しかも今のリィン自身の戦闘能力も”慈悲の女神の力”を解放しなくても相当なものだ。正直リィン一人でも執行者とまともに渡り合える上、相手の力量によってはリィンが優勢になるかもしれん。」
「おまけにみんなの話だと、ジョルジュはその新たなリィンの使い魔の人達がメサイアみたいにリィンと”契約”している使い魔である事もそうだけど、その人達の圧倒的な”力”もカレル離宮で見ているんだよね?それだったらシャロン一人にリィンを狙わせても、”シャロンが返り討ちに遭う事”も目に見えているのに、そんな無謀な要請(オーダー)を出すなんて色々とおかしいよね~?」
考え込みながら呟いたユーシスの疑問にセドリックは自身の推測を答えたが、オリヴァルト皇子がその推測が間違っている事とその理由をミュラーと共に説明し、ミリアムは首を傾げて疑問を口にした。
「……ええ、それは”銅のゲオルグ”も理解されていました。そして彼は”わたくしがリィン様に返り討ちに遭う事が非常に高い事を想定した上でわたくしにリィン様の捕縛”の要請を出したのですわ。」
「……ぇ…………」
「シャ、”シャロンさんがリィンさんに返り討ちに遭う事が非常に高い事を想定した上でリィンさんの捕縛を要請した”って……」
「どう考えても”捨て駒”としてその女をシュバルツァーにぶつけたとした考えられねぇぜ。」
「い、一体何の為にシャロンさんを”捨て駒”に……ただでさえ、”裏の協力者達”の戦力は激減している状況なのに……」
「……考えられる可能性としたら、”彼女が灰色の騎士に返り討ちに遭う事で銅のゲオルグの目的が達成される”から、そんな信じ難い要請を出したのだと思うわ。」
シャロンの答えを聞いたその場にいる全員が血相を変えている中アリサは呆けた声を出し、ティータは信じられない表情を浮かべ、アガットは目を細め、困惑の表情を浮かべているアネラスの疑問にシェラザードは静かな表情で自身の推測を口にした。そしてシャロンはリィンに説明したゲオルグの目的をその場にいる全員に説明した。
「リ、”リィンがシャロンさんを殺した事を知った紅き翼(ぼくたち)がリィン達や連合に対する敵愾心を抱くことで、僕達が連合に対して何らかの妨害やレジスタンス活動を行って、それらの件に連合が対処することで連合の侵攻を遅らせる事が目的”って……!」
「クソ野郎が……!」
「ハッ、随分と紅き翼(おれたち)の事を見くびってくれたものだぜ、ジョルジュの大馬鹿野郎は……ッ!」
「ああ……ッ!さすがに今の話は私も堪忍袋の緒が切れたよ……!ジョルジュはアルベリヒに乗っ取られたフランツさんとは違うと思っていたのだが……どうやら、それは違っていたようだね……!」
「……どうしてそんな酷いことを…………ジョルジュ君………」
シャロンの説明を聞き終えた仲間達がそれぞれ信じられない表情や驚き、怒りの表情を浮かべている中エリオットは信じられない表情で声を上げ、アッシュとクロウは不愉快そうな表情を浮かべて声を上げ、アンゼリカは怒りの表情で、トワは悲しそうな表情でそれぞれゲオルグを思い浮かべた。
「そしてその要請(オーダー)を請けたわたくしは連合によってトリスタが占領されたその日の夜にリィン様がトリスタやトールズ士官学院での思い出にふける為にお一人でトリスタやトールズ士官学院を徘徊すると思い、その機会を待ち……わたくしの予想通り、リィン様がお一人でトリスタやトールズ士官学院を徘徊してリィン様を奇襲する絶好の機会が訪れるとわたくしはリィン様に”夜襲”をしかけましたが……この戦争で飛躍的に成長されたのか、完全に消したはずのわたくしの気配が察知された事で”夜襲”をしかける前に先制攻撃をされ……その後リィン様と一対一で戦いましたが、わたくしはリィン様に敗北しました――――――それも、メサイア様達の助力や”鬼の力”も解放しなかった状態のリィン様に。」
「何ですって!?」
「そ、それじゃあリィンはシャロンさんとの戦闘でメサイア達を呼ばなかった所か、”鬼の力”――――――いや、”慈悲の女神の力”も使わずにシャロンさんに勝ったんですか!?」
「しかも気配を消す事が専門の”暗殺者”の気配を察知できたなんて、今のリィンの気配察知能力も相当なものだね。」
「うむ……恐らく今のリィンは”剣鬼”と呼ばれたころのリィンをも上回る使い手かもしれないな。」
(トリスタが占領されたその日の夜にシャロンさんがリィン君を襲撃………?そういえば、昨日の作戦終了直後に”呪い”の影響を受けた領邦軍の人達を助けてくれたアイドスさんはリィン君に『トリスタを占領したあの日の夜の彼女を救った』って言っていたけど、その”彼女”ってもしかしてシャロンさんの事なんじゃ………)
驚愕の答えを口にしたシャロンの話を聞いたサラとマキアスは信じられない表情で声を上げ、フィーとラウラが真剣な表情で呟いている中シャロンの話のある部分を聞いて心当たりを思い出したトワは不思議そうな表情を浮かべた後戸惑いの表情でシャロンを見つめ
「し、”執行者”のシャロンさんと一人で戦って勝ったなんて、前のリィンさんは知りませんが、今のリィンさんは凄い強いみたいですね……」
「”凄い”ってレベルじゃないわよ……下手したら、”リベル=アーク”に乗り込んだエステルやヨシュアも含めたあたし達リベール組全員で挑んでようやくまともに渡り合えるかどうかのレベルかもしれないわ。」
「ああ……それこそあの野郎――――――レーヴェとまともにやり合えるかもしれねぇな。」
「あはは……レーヴェさんとまともにやり合えたら、冗談抜きで”皆伝”クラスだと思いますよ、今のリィン君の”八葉一刀流”の剣士としての力量は……」
信じられない表情で呟いたティータの言葉に指摘したシェラザードは疲れた表情で溜息を吐き、真剣な表情で呟いたアガットの言葉を聞いたアネラスは乾いた声で笑いながら推測を口にした。
「それでリィンに敗北したシャロンさんはその後どうなったのだろうか?こうして今オレ達の目の前にいるから、リィンはシャロンさんを討ってはいないようだが……」
「多分だけどリィンがシャロンを殺したらアリサが悲しむと思って見逃したんじゃないかな~?」
「でもそれだとアイツがクロスベルの迎撃戦で”子供達”の”筆頭”を討った事と矛盾しているわよ。」
「ルーファスさんは……その……第三学生寮の寮母としてリィンさんや私達のお世話もしてくれた上内戦でも協力してくれたシャロンさんと違って、”顔見知り”程度の上、内戦の件もあったからじゃないかしら……?」
「元々リィン達に殺されて当然の所業を行った兄上の件はともかく………ケルディックで撤退する”第四機甲師団”の手助けをしたクロウの話だと、リィンは”槍の聖女”と共にナイトハルト中佐とクレイグ将軍――――――リィンにとってのクラスメイトのエリオットの父親も討つつもりだったとの事だから、ミリアムの推測は恐らく違うだろうな。」
「それにカレル離宮の時も”劫焔”が”真の姿”を現すまでは”本気”であの場にいた全員――――――”子供達”もそうだけど、”裏の協力者”達も全員殺すつもりだった様子の件もあるから、今のリィンがただの”お情け”でその女を見逃したとはとても思えないわ。」
ガイウスが疑問を口にするとミリアムが推測を口にし、ミリアムの推測に対して答えたセリーヌの指摘にエマはユーシスに視線を向けて気まずそうな表情を浮かべて答え、ユーシスは静かな表情で、サラは真剣な表情で答えた。
「……わたくしを追い詰めたリィン様はわたくしを討つ事にかなり躊躇われていましたが、それでも迷いを振り切って追い詰められていながらもなお諦めないわたくしに”止め”を刺そうとしたその時……―――――ベルフェゴール様が現れて魔術でわたくしを拘束した後、リィン様に暗示の類の魔術をかけ………ベルフェゴール様に暗示の類の魔術をかけられたリィン様は”わたくしを犯したのですわ。”」
「…………え――――――」
「何ですって!?」
「お、”犯した”ってまさか………!」
「その”まさか”だろうな………」
「で、でも……そのベルフェゴールさんという方は一体何の為に………」
「フム……エリンの里でわざわざ自分から私達に会いに来て話をしてくれた彼女から感じた印象では彼女は”魔神”としてはかなり温厚な人物に見えたのだが………」
「……だが”敵”には一切の容赦をしない冷酷な考えを持っているようだったから、彼女が大切にしているリィンを襲った”死線”の事は許さず、そのような凶行に及んだのかもしれん。」
シャロンが口にした驚愕の事実を聞いたその場にいる全員が血相を変えている中アリサは呆けた声を出し、シェラザードは厳しい表情で声を上げ、信じられない表情で呟いたアネラスの言葉にアガットは厳しい表情を浮かべながら同意し、困惑の表情を浮かべているセドリックの疑問にオリヴァルト皇子は真剣な表情を浮かべて答え、ミュラーは複雑そうな表情で呟いた。
「話を続けますが………リィン様に犯された後気を失ったわたくしが目覚めた時にはリィン様達はその場からは姿を消していました……そしてその際にわたくしは”わたくしとリィン様に霊力による繋がりがある事を認識したのですわ。”」
「ふえええっ!?れ、”霊力による繋がり”って事はもしかして、エステルおねえちゃんとパズモさん達と同じ……!」
「”性魔術による使い魔契約”ね……ハア……まさか、異種族だけじゃなく”人間”にまで効果があるとはね……」
「そ、そういえば……ベアトリースさんは”リィンさんと使い魔契約をした新たな使い魔の方々は3人いるような事を言っていた”けど……」
シャロンの話を聞いてある事に気づいたティータは信じられない表情で声を上げ、セリーヌは疲れた表情で溜息を吐き、エマは戸惑いの表情である事を口にした。
私は現在リィン様と契約している者達の中では”二番目の新顔”だ。ちなみにレジーニアは私よりも数日程早く主と出会い、契約したとの事と聞いているから、レジーニアは私に次ぐ”三番目の新顔”でもある。
「あ……ッ!」
「ベアトリースがベアトリース自身は”二番目の新顔”、レジーニアは”三番目の新顔”と言っていたから”一番目の新顔”はシャロンさんの事だったのか……」
「に、人間が人間を”使い魔”にするって無茶苦茶過ぎる……」
「リィン、操られたとはいえ、節操がなさすぎ。」
「ホントだよね~。この調子だとアーちゃんまでリィンの毒牙にかかるかもしれないね~、ニシシ♪」
「ちょっと、ミリアム……それ、洒落になっていないんだけど?」
「そういや殲滅天使の話だと、”本来の歴史”とやらでリィンや俺達が生き残った世界でリィンが結ばれる女連中の中には”ミリアムを除いた新旧Ⅶ組メンバーの女性全員”もいるって話だから、新Ⅶ組メンバーの一人だった黒兎がリィンと結ばれる可能性もありえるって事にもなるよな……」
エマの話を聞いてベアトリースとのやり取りを思い出したエリオットは声を上げ、ガイウスは目を丸くして呟き、マキアスは疲れた表情で溜息を吐き、フィーはジト目でリィンを思い浮かべ、からかいの表情を浮かべたミリアムにジト目で指摘したアリサの話を聞いてある事を思い出したクロウは苦笑した。
「……しかしその話が本当だとしても、何故メサイア達はベルフェゴールの凶行を見逃したのだ?」
「……言われてみればそうだね。メサイア君は常識をわきまえているように見えるし、他のメンバーもベアトリースさんを除けば”女神”に”天使”と良識が高そうな種族の人達なのだから、リィン君を操ってシャロンさんを犯させたベルフェゴールさんの行為も見逃さないと思われるのだが……」
「ハッ、大好きなご主人サマが襲われたんだからあの連中も”当然の報い”だと思って見逃したんじゃねぇのか?」
「どんな目的があろうとも、人を操って女性を強姦させるなんて決して許されない所業よ……!リィン達――――――いえ、連合にこの件を伝えてあの痴女を罰してもらう必要があるわ……!」
真剣な表情で呟いたラウラの疑問に同意したアンゼリカが考え込んでいる中、アッシュは鼻を鳴らして自身の推測を口にし、サラが怒りの表情でベルフェゴールを思い浮かべて提案した。
「うふふ、ご主人様達にもそうだけど連合に私がご主人様を操ってそこの元暗殺者を犯させた事を密告しても時間の無駄だから、止めた方がいいわよ~♪」
するとその時ベルフェゴールが転移魔術でブリッジに現れた――――――!
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第122話