恋ちゃんは争いが大嫌い
だから恋ちゃんは彼に言いました
孫権はあの日以来、魂が抜けた感じだった
今日も彼女はただ部屋から見える空を見ているだけ
「……はぁ」
そして溜息の連続
気持ちを切り換えようにもなかなかできない
それどころか、彼を見かけるたびに心が痛む
――トントン
扉をノックする音
今日も甘寧あたりが仕事の催促に来たんだろう
「開いている。入れ」
ガチャリと鳴る扉の音
『ああ……いつまでこんな気持ちを引きずっていなければならないのだろう』
嫌な気持ちを切り替えるつもりで視点を前を向ける孫権
「え……な、なんで?」
そこにいたのは……彼だった
チクリ
胸をギュっと握りしめる恋ちゃん
恋ちゃんは彼女を許した
いや、彼は元から『恋ちゃん』だけの人じゃない
『みんな』の人
彼を愛するみんなの人
「礼を言う……呂布」
頭を下げる甘寧
「……ご主人様はみんなの。だから恋、我慢する」
そう言いつつも胸を握り続ける恋ちゃん
「……美味しい店を知っている。一緒に行かないか呂布」
気を使ってくれているのだろう
「……うん」
恋ちゃんはコクリと頷いて甘寧に手を差し伸べた
「恋……真名」
フッと笑う甘寧
「思春だ」
握手する二人
……心の痛みは取れないけれど、かわりに新しい友達ができる恋ちゃんでした
Tweet |
|
|
52
|
2
|
追加するフォルダを選択
こんな事を書きたくはなかった