No.1050941

「改訂版」真・恋姫無双 ~新外史伝~ 第45話

遅くなりましたが新年あけましておめでとうございます。

四カ月くらい空いてしまいましたが漸く45話投稿しました。

今回は話が急展開しますが、その辺はご了承ください。

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2021-01-07 20:58:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5162   閲覧ユーザー数:4359

 

董卓が一刀に降伏してから2日後、洛陽に急使が送られてきた。

 

その急使の結果を聞いて何太后が驚きを隠せなかった。

 

「な…なんじゃと!反乱軍の戦いに董卓と賈駆は敗れて“戦死”じゃと!?それに皇甫嵩と盧植は劉協に説得されて既に降伏している!?」

 

「ハッ……函谷関から逃げてきた兵の知らせによるとそのような状況だと」

 

「と…董卓の配下の将はどうしておる、勿論反乱軍に抵抗しておるのだろうな!?」

 

何太后は報告に一縷の望みを口にするが使者は首を横に振り

 

「残念ながら…呂布将軍らも降伏した模様です…」

 

「馬鹿な…」

 

何太后は報告を暫く茫然とし、使者が何時の間に居なくなったのも気付かない状態になっていた。

 

暫くして何太后は気を取り直したが

 

「まずい、まずい……このままでは協の奴は復讐の為に私や空丹(この物語では劉弁のこと)の命を狙ってくるはず。何処に逃げなくては……」

 

何太后は今まで劉協に対し嫌がらせ類等をしてきた事もあるので、何太后の頭の中は既に劉協に復讐されると思い、何処かに逃亡するか思案する。

 

「こうなれば袁紹のところに……否、あの女はわらわを下賤の者とさげすんでいるはず、わらわ達が逃げても丁重に扱われる保証が無い。そうなると……」

 

何太后は自分の都合良く自分の後ろ盾になってくれそうな人物を探し、漸くある人物が浮かび

 

「そうだわ。あの者のところに逃げれば何とかなるかもしれない、早速空丹のところへ行ってここから逃げる準備を…」

そう言いながら何太后は劉弁の元に向かう。

 

その頃劉弁と側近である穆順は維新軍が洛陽に迫りつつある状況に打開策が見いだせずに

右往左往している状態であった。

 

「このままでは私は皇帝から引き吊り降ろされて協に殺されてしまうではないか…」

 

「空丹様、こうなれば協様に皇帝の座を自ら譲れればもしかしたら命が助かるかも…」

 

「馬鹿者!!協が助命してくれる保証が何処にある!!きっとあの者は母上が協の母親を手に掛けたことを根に持っている違いない。そうなると復讐の為に母上だけでは無く私の命も奪うに違いないわ!!」

 

劉弁は白湯が一刀に助命をしていることを知らず、白湯が自分の母親が何太后に殺されたことを恨みに思い復讐されるものだとパニック状態に陥っていた。

 

そんな中、何太后が現れると

 

「空丹、黄。ここは危険だわ。洛陽から離れる準備をしなさい!!」

 

「えっ!?」

 

「瑞姫様…逃げると行っても何処に逃げるのですか?」

 

「今、ここで居場所を言うと後から追跡される恐れがあるわ。だから取り敢えずお金や財宝を詰めるだけ詰め込んで、そして信頼できる者だけを連れてここから逃げ出すわよ!!黄!早く準備をしなさい!!」

 

「は、はい!」

 

何太后から命令されると穆順は逃走の準備を開始する。

 

「お母様…」

 

不安な表情を浮かべている劉弁に何太后は

 

「貴女は何も心配しなくてもいいわよ。今は一旦洛陽から離れてほとぼりが冷めたらまたこの場所に帰って来られるようにするから少しだけ我慢しなさい」

 

何太后からそう言われると命が惜しい劉弁は黙って頷き、何太后に従っておけば命が助かると思い全て何太后に任せてしまうのであった。

 

そして逃走準備が出来た劉弁・何太后親子らは側近の者たちを引き連れ洛陽からこっそり逃亡したのであった。

 

しかし何太后はまずは自分の身と娘の劉弁の安全が第一とばかりに逃げる事しか頭が回らず、ある人物の事を忘れていたことに気付いたのは洛陽から離れてからの事だった。しかし再び洛陽に戻る時間が無いため、心残りであるが誰にも言わずそのままの目的地に向かったのであった。

 

この何太后たちの素早い動きはある意味正解だった。何太后が出奔してから3日後には維新軍の先鋒である翠と霞らが洛陽に乗り込んで来た

 

そして少し時間を遡って董卓が一刀に助命嘆願した直後に

 

「…私をこの戦いで死んだ事にするのですか?」

 

「ああ、勿論名目上の話で本当に命は取らないよ。連合は董卓さんの命を狙っている。だからこの戦いで死んだ事にして連合の大義名分を失くしてしまう。もしそれが否なら別の方法を考えるが…」

 

一刀は董卓をこの戦いで死んだ事にして董卓を庇おうと考え、董卓に話を持ち掛ける。

董卓は一刀の説明は理解できたが、何故自分の命を助けようとするのか今一つ理解できなかったので

 

「何故、そのような事をしてまで私の命を救って下さるのですか?そのような事をせずに私を殺した方がいいのでは…」

「何を言い出すのよ、月!」

 

董卓の言葉に賈駆は思わず声を出す。

「何でそう思うのかな?」

「私は民のためとは言え十常侍たちとか殺してきました。そんな私に生きる価値があるのでしょうか…」

「月……」

董卓の言葉に何も言えなくなる賈駆。

「…そんなに自分を卑下することは無いよ」

「えっ?」

「俺も董卓さんと何も変わらないよ。俺も命令一つで皆を戦場に向かわせたりしているし、それに俺自らも戦場に出て命を奪っている。それに人間誰にだって失敗はある。たった1度の失敗で自分の命を散らしていいほど、君の命は安いものかい?」

「それに董卓さんに付いて来た人たちや董卓さんを信じ、その夢を叶える為に散って逝った人たちの思いも忘れちゃ駄目だ」

「……」

一刀の話に誰も喋ろうとはしなかった。

「だから、死んで逝った人たちの為にも俺や紫苑、それに他の皆も生きていかないといけないんだ。その人たちの分まで幸せになる為にもね」

「御遣い様、それがどんなに苦しい事があってもですか?」

「ああ。それがどんなに苦しくてもだ。死んだ人は二度と苦しむ事が出来ないのだから、もしそれが償いになるのなら俺は甘んじてその苦しみを受けるよ」

一刀はそこで優しく董卓に微笑みかけた。

「もし董卓がどうしても苦しくてしようがないって言うなら。その苦しみを俺にも分けてくれたらいい」

「…良いのですか、私が生きていても…」

「はは。別にかまわないよ。それにこんな可愛い子が苦しんでいるのを俺は見ていたくないからね」

「へぅ……」

一刀の「可愛い」という言葉に董卓は頬に手を当てて照れていた。

「……分かりました。私の命、御遣い様にお預けします。そして私の真名である月を皆さんにお預けいたします。今後ともよろしくお願いいたします」

 

董卓の承諾が得たので、董卓は董白と改名して今後民生担当として活躍することになる。

 

そして賈駆と華雄にも一刀は言葉を掛ける。

 

「賈駆、今回は董卓さんの助命を聞き入れたけど、今回の一件、明らかに君が原因だ。自分では月を守っているつもりかもしれないが、自分の心の弱さを月に依存していただけだ。

月なら自分の弱さや重さも全部受け入れてくれるという甘い考えが月をここまで追い詰めたということを覚えておいて欲しい。そして軍師は他人に依存したり、他人を振り回したりしないこと、それを肝に銘じて欲しい」

 

しばらく賈駆は黙っていたが、

 

「…分かったわ」

 

一刀の言葉に賈駆は納得半分、まだ感情的に受け入れない半分といった憮然とした表情で返事をした後、

 

「それでだ。賈駆の処遇を言い渡すが…」

 

「ちょっと待って。ボクも一緒に月と死んだことにして」

 

「それは月と一緒に殉ずるということ?」

 

「そうよ。ボクもこの戦いで死んだことにしてもう一度一からやり直しをしたいの」

 

「……紫苑、どう思う?」

 

賈駆の言葉に一刀は紫苑に意見を聞く。

 

「そうですね…基本的には賛成ですが、ただ一からやり直すという意味では月ちゃんからお互い引き離す必要があります」

 

「そうか…分かった。ではまず賈駆の処遇を言い渡す。君の言う通り、月と同様、死んだことにして新たな名前として『李儒』と改め、そして軍師の地位を剥奪、一文官として降格、そして君の真名をここにいる全員に強制的に預けることを命じる」

 

「何でアンタたちに真名を預けなければならないのよ!」

 

自分の真名を一刀たちに強制的に預けるという言葉に賈駆は激怒するが一刀は表情を変えずに話す。

 

「賈駆、君は一からやり直すつもりではないのか?一からやり直すということは名誉や地位、誇りなど全てを捨てて本当の意味でやり直すつもりでは無かったのか?さっき言うのを忘れていたけど君のもう一つの欠点は自分の誇りが高すぎて他人を寄せ付けないというのもある。それらを一度壊して本当の意味でやり直す必要があると思ったからそう判断したのだが…もし真名を預けるのが否なら別の厳しい罰も…」

 

「分かったわよ!真名をアンタ達に預ければいいのでしょう!!ボクの真名は『詠』よ!!」

 

賈駆はやけくそ気味に一刀たちに真名を預けたのであった。

 

そしてもう一人の将である華雄は

 

「董卓様のおかげで助かったこの命、命以外の事ならどの様な処分を甘んじて受ける。別に名前を変えても問題は無い」

 

賈駆と違い華雄は名前を変えても良いと覚悟を決めていたが、逆に一刀は華雄の名前の執着の無さに少々疑問を感じた。

 

「その覚悟は良いけど…華雄。一つ聞きたいことがあるんだが」

 

「何だ」

 

「華雄、貴女は何故名前に執着しないかな?普通武人なら自分の武勇を世間に広めるようと自分の名を大事にするのに何故簡単に変えようとするの?」

 

「知れたこと私の名前は董卓様あっての物、むざむざ董卓様をこのような目を合わせて、華雄として名乗るのが恥ずかしいわ!だから名前を変えて一からやり直したいのだ」

 

「……それは逃げだね」

 

「何だと!」

 

華雄の怒りを他所に一刀は話を続ける。

 

「貴女は月や詠と違って前線で戦う武人、月や詠は文官としてやっていくことが出来るから表舞台から消えても生きていけるが華雄さん、貴女は武人だ。武人として表舞台に立つ以上、例え名を変えても見る人が見れば華雄さんの正体は直ぐにバレる。だから名前を変えて一緒だ。それに名誉も恥も一瞬の物、やがては消えるよ。だから華雄、貴女は自分の名前と一生付き合って貰う。それが貴女への罰だ」

 

「……」

 

一刀の言葉に華雄は反論することが出来ない

 

「華雄、貴女の処遇を言い渡す。将軍の地位を剥奪、そして一兵卒からやり直す事。そして決して名を変えることを許さない。それが今回の罰だ」

 

華雄は一刀からの処分を聞くと

 

「……承知しました」

 

華雄は一刀からの処分を聞くと異議を唱えること無く頭を下げ粛々と承諾したのであった。

 

この後一刀たちは今後の方針について協議した結果、まずは洛陽を押さえて何太后や劉弁を捕らえること、連合との戦いは当然覚悟するが防衛線の構築のために時間が欲しいので、連合軍の混乱を狙うべく使者を送ることにすることを決定した。

 

そして洛陽占領の先行部隊として翠と霞が選ばれ、洛陽の占領は勿論、何太后たちの捕縛も任務として出兵したが、残念ながら何太后らを取り逃がしものの、無事洛陽の制圧を完遂した。

 

そして翠たちから遅れて2日後には一刀たちも洛陽に入城した。

 

翠たちは市中の治安維持などで手一杯だったので、何太后たちが逃走した宮廷については出入りを禁止しての守備兵を付けるので精一杯であった。

 

そして一刀たちは紫苑や白湯らを連れて宮廷内に入り見分を行うが、何せ広範囲な宮廷なので手分けして見分が行われ、一刀は紫苑・璃々、恋並びに少数の兵と見分に当たっていた。

 

一刀たちが何太后の部屋を見分して何らかの手掛りやこれまでの行動が分かるような物が無いか確認していたが、そのような証拠などは残されておらず部屋は綺麗な状態であったので、一刀は部屋を離れようと考えていると恋が部屋の片隅でキョロキョロしながら、何かを探している様子であった。

 

恋の様子に気づいた一刀が

 

「恋、何かあったの?」

 

「うん…何か感じる。だけどまだ分からない」

 

恋の勘が鋭いことは一刀らも先刻承知の事なので、しばらく部屋の捜索を続行していると

 

「ご主人様!ここに隠し扉があったよ!」

 

璃々が地下の階段へ繋がっていると思われる隠し扉を見つけた。

 

一刀が興味本位で地下へ潜ろうと考えるも紫苑が

 

「ご主人様いけません。地下に何があるか分かりません。ここは私と恋ちゃんが行きますわ」

 

紫苑は一刀を制し、恋と共に地下へ探索することにした。一刀は地上で璃々と共に待つことなった

 

地下は意外と深く、照明など無いので先導する兵が灯りを灯しながら先行する。

そして地下の一番底に部屋があり、そこから灯りが漏れているのが分かったが、徐々に階段を下りていくにつれて、下より何か声が聞こえてきた。

 

だがそれは普通の声では無く色んな感情が混じった声がする。これを聞いた紫苑と恋は兵たちを制し、この場に留まる様に命じ紫苑が颶鵬、そして恋が方天画戟を手にして部屋に突入する。

 

そして二人が部屋に入るとある人物が男に陵辱されている光景であった。これを見て二人は驚きを隠せなかったが、この後、恋の口から思わぬ人物の名前が出てくる。

 

その人物は恋も知っている人物であり、既にこの世にいないと公表された人物であった。

 

「…どうして何進がいるの」

 

何と陵辱されている人物は死んだとされていた何進であった。これには流石の紫苑も驚きを隠せず、陵辱している男を捕らえて尋問しようとするが、男は突然の紫苑と恋の乱入に既に腰を抜かしてしまい、その場であっけなく捕縛され、何進と思われる女性は意識が朦朧状態であったので救護兵により、まずは手当を受けることになったのであった。

 

 

 
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