マウェッタのオモテビ
みぎよは戦いの合間、何をしているか?
自分の部屋でゲーム・・・では無く、何か、練習をしているのである。
そう、みぎよは泡と水の二王に対して、殺す準備をしているのである。
その練習に時間を割いてまで、葬る用意をしているのである。
憎いとか使命感とか、そう云うものでは無い。
・・・・・・そう、言うなれば、オモテビの為である。
日輪と云う、単純な信仰と云う訳では無い。
表の陽、正々堂々である。
その為だけに殺す練習をしているのである。
みぎよは最後に(ラストステージ)二王のみを狙い、殺すのである。
何もかもがその前には無効である。
これは、日常と云う名のマウェッタのみぎよを描くものである。
第一話 遠当必中の練習
水と泡の二王を殺す為には、色々な練習が必要に成る。
最初の練習がこれである。
「なにゆえ、そんなに端から撥水(はっすい)しているのか?
邪魔じゃなければ、教えて欲しい。」
おおてふ(ちょう)がみぎよに尋ねる。
ここは軍専用の練習場。
この時間は、みぎよがそこを独占しているのである。
だから、やる事も無いので、おおてふは彼女に聞いたのである。「なんで、そんな所に居て、何かをしているのか」と。
「遠当(とおあて)必中の練習。」
練習しながら、みぎよは質問に答える。
「そう。」
おおてふは納得した訳では無かったが、そう云う風に会話が途切れたのである。
残念だが、答えに応えたのは、おおてふなので、仕方無く黙る。
しかし、ちょっとすると、又、疑問が浮かび上がった。
そこで、こう口を開く。
「まず、何をしているのよ?」
「泡と水の二王、人類の宿敵を倒す練習。」
「なら、二王のイメージトレーニングはし無いの?」
「・・・特徴は全て、玉取(ぎょくどり)博士から聞いてる。イメージトレーニングなんてする必要は無い。」
「なぜ?」
「見れば、そのまま、分かるから。」
”見たままの敵だと言う事か。”
そう考えて、おおてふは質問をやめる。
だが、すぐに、こう質問する。
「遠当必中で無ければ、やられてしまう敵と言う事ね?」
「その通り。近距離に行けば行く程、ダメージが軽減される。
狙い目は、ステージ登場時とタワー直前。」
タワーとは、ライフへのダメージの判定が有る所。TD(タワーディフェンス)のタワーである。
つまり、最終ステージのみぎよの配置はステージの真ん中の場所だと言う事だ。
と云う事で、みぎよは、やろうと思えば、遠当必中をする事が出来るのである。
みぎよだけ、特別なのである。
無論、それによって強制が生れる訳では無い。
あくまでも、みぎよの自主的な練習・行動である。
集中していて、言動、語尾等がおかしいが、あくまでも、この場所・時間だけである。
遅らばせながら、みぎよとおおちょうが居る練習場は直線的ボーリング場的射的場的四角形の施設だった。
広く、隅から隅は3km程有った。
四隅の右上から四隅の左上に、みぎよが居て、元の四隅の右上に対して、遠当必中の練習をしているのだった。
おおてふは、その練習の時間が終わると、みぎよにそっと近づいて、肩を無言で軽く叩くのだった。
みぎよは集中状態から解放されて、
「おおちょう、お疲れ様でした。」
と、自分が疲れてい無い様な非現実的アピールをするのだった。
裏腹に、みぎよの顔に滴(したた)る滝の様な汗で、さすがに持参したタオルで拭(ぬぐ)うのだった。
おおてふはそれを見て、黙って、ただ、そっとその小さな手を引くだけであった。リラックスさせる為に。
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みぎよとおおちょう、仲間達の日常である。