~真・恋姫✝無双~ 孫呉の外史0-0
――作られた外史。
――それは新しい物語の始まり。
――終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれて新生する。
――物語は己の世界の中では無限大。
――そして閉じられた外史の行き先は、ひとえに貴方の心次第。
――さぁ。
――外史の突端を開きましょう。
――春先の夜空の下を、二人の女性が歩いていた。
「漢王朝は既に廃れている。じきにこの大陸は乱世を迎えるだろうな」
「堅殿、それは勘ですかな?」
「それ以前の話だろうさ・・・諸侯の多くは気付いている。今はまだ、切っ掛けがないから大人しくしているだけだろう」
長い桃色の髪を夜風になびかせながら、堅と呼ばれた女性は不敵に笑う。
「爪とを研ぎ澄まし、身を潜めて好機を窺う。まあ、狩りの基本だな・・・・・それはそうと、あたしの馬鹿娘、今日はどうした?」
「冥琳と飲んでおるでしょうな・・・いつものことではありませぬか」
「まあ、確かに・・・な」
「どうかされたのですか?」
こちらも同じく長髪だがこちらの女性は、髪の色は艶やかな薄紫色をしている。
彼女のその問いかけに対して、楽しげに笑みを浮かべた後。
――「いやな、祭よ、これから何かが始まる。そんな気がしてしょうがないのさ・・・呉にとって良い事が・・・な」
そう言って、女性は夜空を見上げた。
――その時、辺りが光に包まれた。
あまりの光に目を開けていられない。
その光は、あっという間に晴れた
「そら、早速何か起こったみたいだ・・・近いな、どれ、見に行くとしようか」
「ああ、待たれよ堅殿・・・やれやれ、やはり策殿の母君であられる」
かく言う祭という女性もどこか楽しげな感じではあった。
二人が辿り着いた場所には、一人の青年が倒れていた。
「さて、この儒子、一体どこから現れたと思う?」
「冷静に考えるならば、さっきの光と共にというのが妥当であろうな・・・しかし、見た事のない服じゃな」
「そういえば管輅の占いにこんなのがあったな・・・たしか〝黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す〟・・・この儒子が妖の類でないのならそうかもしれないな」
「あの占いか・・・にしても堅殿は楽しそうじゃの・・・で?この儒子はどうするのじゃ?」
「連れて帰る。あたしの勘がそうしろって言ってるからな・・・よっこらせっと・・・ん?これはこの儒子の武器か?祭、すまんがこの儒子を預かってくれ」
「うむ・・・しかし、随分と細い剣じゃの」
青年を背負った祭が女性の持つ剣に向かって言う。
彼女たちには全く縁がないが、それは〝日本刀〟と呼ばれるものだった。
「だが、中々の代物だ。コレの本質を知る者が使えば、さぞ名剣となるだろうな。一緒に持って帰るとしよう。さて、帰るぞ、祭」
「御意」
そうして二人は、来た道を引き返して行った。
――これが、〝江東の虎〟と後に〝天の御遣い〟とよばれた青年の最初の出会いだった。
~あとがき~
新シリーズ〝孫呉の外史〟の第一弾を贈らせていただきました。
真にて、名前のみの登場となっている孫堅文台を出演させてます。
まだ名前を出してませんが、天の御遣いは、もちろん彼です。
オリキャラを交えたストーリーですので、大変ですが、書いていて楽しいので、なんとか頑張ってみようと思いますので応援よろしくお願いします。
ここで一つお知らせを。
御遣い君は私の作品after to afterシリーズの後期ぐらいの実力を基礎設定にしているのでかなり強いです。勿論、わたしのafter to afterシリーズの御使い君とは別人ですのであしからず。
孫堅のプロフィールに関しては次のお話で紹介いたします。
それでは次のお話でまた――。
Kanadeでした。
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オリキャラ登場の外史です。
未熟なところが多々あるとは思いますが、楽しんでいただけることを願います
それではどうぞ