黄布党の征伐が一通り終わって1年が過ぎたころ。
とうとうというか、やはりと言うか、霊帝の死と董卓の悪評が書かれた書面とそれを打倒するべく袁紹を中心とする反董卓連合の参戦要求が俺のところにも来た。
諜報機関に調べさせたが、董卓、月は悪政をちっとも布いていなかった。それどころか、十常侍の悪行を何とか押さえ込んでいた。
袁紹の嫉妬とその他諸侯が作り出した偽の情報だろう事は情報を掴んでいるものは誰でも知っていることだ。
それでも袁紹の馬鹿騒ぎに参加したい諸侯は多くこの期に名を売ろうとする者は多い。
俺達はこの討伐要請にどう応えるべきか協議していた。
「まあ、この書簡が嘘八百なのはほぼ間違いないが、俺達は今後どう動くかだ」
「主はどうお考えで?」
星がそう聞いてきた。
「俺の意見は、参戦するべきだと思う。この期に各諸侯の顔を拝み、その腹の内を探るのも良いかも知れない。董卓を助けることも視野に入れ行動するのが俺と愛紗の意見だ」
「確かに・・・諸侯の思惑や、我等の名を売ることも重要でしょう。今後、董卓を打倒した後訪れる戦乱に備えて・・・」
稟は俺達の意見に賛成を示した。
「そうだな・・・ここらで本格的に動くもよろしかろう」
星もまた参戦に意欲を示した。
「風の意見は?」
「Z~Z~Z~・・・・」
「起きろ、風・・・」
「おお!! つい木漏れ日の気持ちよさにウトウトと・・・
そうですね~袁紹のサルの猿回しに付き合うのは尺ですが、虎視眈々と行くのもこれ位で
よいかと・・・あと新兵器も実戦投入したいですし・・・」
「決まりですね」
愛紗がそう締めくくり、詳細や派兵人数も決め出撃が整う。
反董卓連合軍集結地点には名だたる諸侯の旗が翻っていた。
曹操に、孫策、劉備に公孫賛、袁紹、袁術、馬騰などなど、三国志のオールスターが勢ぞろいだ。
「失礼します!! 貴殿の名と兵数をお伺いしたい!!」
金ぴかの鎧の兵士がそう尋ねてきた。
「幽州の北郷 一刀、兵数は5万だ」
「確認いたす!! 暫しお待ちくだされ!!」
しばらくして兵士が戻ってきた。
「確認いたしました!! 他の諸侯はほぼ集まっておいでです!! 急ぎ、中央の袁紹様の天幕までご足労願いますか??」
「了解した! 星!! 我が軍の配置を頼む!風は星の補佐を 愛紗、稟、俺と共に会議に参加だ!!」
「「「「了解」」」」
俺達が中央の天幕に入ろうとしたその時、
「オーーーーホッホッホッホッ♪」
という馬鹿笑いが聞こえてきた・・・
帰っていいか・・・マジで・・・
俺達は天幕に入る。すると、馬鹿笑いしていた袁紹が止まり、他の諸侯も此方を一瞥した。
「遅くなった・・・」
「あら・・・貴方、誰ですの?」
袁紹が諸侯の視線を代表して質問する。
「幽州の北郷 一刀だ」
「貴方があの天の使い~なんて顔どころか体から火が出るほど恥ずかしい呼び名で呼ばれている成金ですの?」
袁紹には悪気はないんだろうが・・・なんかムカツク・・・
「・・・そうだといえば・・・」
「まったく、成金は礼儀を知りませんわね~」
「どうでもいいが、軍議を始めた方がいいのでは・・・」
俺はうっとうしそうに軍議を始めるよう袁紹に諭す。
「そうですわね、では北郷さんも来た事だし、自己紹介から始めますわ」
(帰りたい、本気でマジで帰りたい・・・何だここ・・・)
そんな事考えていると、劉備が挨拶するところだった。
「啄郡から来ました劉備です。此方が軍師の諸葛亮です」
この世界にはいるんだ・・・劉備が・・・そして朱里も・・・
俺は寂しさを覚えながらも劉備を見る。
一見緩そうに見えて、なかなか強かそうな娘だ・・・
そんなこんなで俺の番が来た。
全員が一斉に俺達の方を一斉に見た。もうガン見だ・・・
「幽州の北郷 一刀だ、そして右側にいるのが我妻の・・・」
「北郷 愛紗です・・・以後お見知りおきを・・・」
「そして、左側にいるのが・・・」
「軍師を務めている郭嘉です・・・」
なんか、劉備さんと朱里が驚いている。
ああ、いるんだ・・・この世界に関羽は・・・
愛紗も同じ気持ちらしい・・・心中複雑だろうな・・・
「私は馬超! んで、こっちが従妹の馬岱」
「お姉さま・・・その紹介の仕方バカぽい・・・」
「ウッセッ」
翠か・・・懐かしい・・・
「江南を納めておる袁術じゃ!! 控えておるのは、張勲と客将の孫策じゃ」
「我が名は曹操、後ろに控えているのは荀彧と夏侯淵よ」
あらかた挨拶は終わり、ようやく本題に入った。
が、軍議は難航し遅々として進まない。
この軍の大儀や、都までの進軍経路、などはスンナリ決まったが、総大将が決まらない。
まあ、理由は簡単、この寄せ集めの言葉すら生温い連合軍で誰が総大将をするかが紛糾の原因だった。
まあ、こんな各諸侯の思惑が透けすぎて丸見えな軍の総大将という雑用を誰がやりたがるだろうか・・・いや、誰もやらない・・・
もし、指揮が失敗して自軍だけでなく各諸侯の軍隊に被害が出たらもう目も当てられない。
そいつは各諸侯に糾弾されること請け合いだ。
候補は上がるには上がった。しかも3人・・・
一人目は、河北の名家、袁術。
二人目は、典軍校尉、曹操。
そして、三人目は、幽州の大徳、北郷 一刀、俺である・・・なんでさ・・・
推薦人曰く、俺なら何とかしてくれるそうな・・・恨むぞ、雪蓮・・・
やはりと言うか、何と言うか・・・候補は上がったが、やはり進まない。
その時、劉備から声が上がった。
「もう袁紹さんで良いんじゃないですか!! こんなことに時間なんて掛けてられません!!」
「まあ、劉備さんがそうおっしゃるのなら・・・この袁紹謹んでお受けいたしますわ
おーほっほっほっほっほ!!」
全員異存なく決まった。劉備を生贄にすることに・・・
「それでは劉備さん! 汜水関攻略の先方お願いしますわ」
「ええ!?」
ほら、そうなる・・・
仕方ない・・・助けるか・・・
「あ~袁紹、劉備軍の兵力はこう言っては劉備に失礼だが、高々千だ。そんなのを帝都を
守る第一関門たる汜水関を攻略させる気か・・・?
先方たる劉備が潰れれば、指揮はガタ落ちだ、選抜した総大将の責任問題になりかねない。
なら、我が軍が劉備に加勢する。
これにより、汜水関攻略の勝率は上がる。
どうだろうか?」
「そうですわね・・・じゃあ、北郷さんも参戦しなさい」
食いついた!
「解った。引き受けよう。その代わり、袁紹、劉備に君のところの兵を三千ほどと武器、食料を劉備に分けて貰えないだろうか?」
「な!! 何でですの!? 何で私がそのような事!?」
「劉備軍の数が少なすぎる。これで行かせたら、袁紹の評価はガタ落ちになる。
ならば、懐の深く、寛大で、名家袁紹を見せる時だ。何も全部出せとは言わん、袁家にと
ってはそのくらい雀の涙ほどもないだろ? ここで出し渋れば、袁家はケチだと世間に言
ってるようなものだ。袁家の威光を今見せる時だと、俺は思うが・・・」
「仕方ないですわね!! 出しますわこの袁本初が! おっほっほっほっほっほ!!」
豚も煽てりゃ木に登る・・・
顔良さん頭抱えてるよ・・・
文醜さん呆れてる・・・
軍議は終わり各自自軍の編成を行いに戻った。
「一刀様・・・何故劉備の軍勢に加勢を?」
稟がそう問いかけてきた。
無理も無い、稟は実益を取るタイプの人間だ。
俺の行動も理解できんだろう。
「風評を得る為ですね」
愛紗がそう言った。
「そうだ、俺たちは、今まで虎視眈々と富国強兵を推し進めてきた。それをより確かなものにする為に今回の汜水関攻略を引き受けた。確かに劉備に同情が無い訳でもないが、政策と個人的感情は相容れない。劉備の言っていることは奇麗事だ。奇麗事や志も大切だが、それに見合うだけの力がないとその奇麗事や志も無意味だ。
俺達の今作戦の目的は、我々が正義の軍隊である事を世界の人々に示さなければならない
それに・・・」
「それに?」
稟が問いかける。
「女の子が悲しみ苦しむ姿を俺は見たくない」
「一刀様の場合、それが9割ぐらいでは・・・」
愛紗、そんな不信な目で夫を見るのはいかがな者か・・・
「一刀様には前歴があり過ぎます」
思考に突っ込むな!? 後、なんで解った!?
「一刀様の考えてることなんてお見通しです。私たち・・・夫婦ですから・・・」
愛紗はテレながらそう言った。
瞳は潤み、塗れた唇が口紅でより際立つ、頬は少し赤らみ、ナチュラルメイクでもわかるくらいだ。
か、かわいいじゃないか!! 我が妻よ!!!!!!!
愛紗萌~~~!!!!!!!!!!! 人妻萌え~~~~~~~~!!!!!!!
これが人妻愛紗の魅力だとでも言うのか!?!?!?!?
なんだかイケナイ方向に目覚めてしまいそうだ・・・・・・・・・
青姦・・・・・・・・・・・・またしたいな~・・・・・・・・・・
「愛紗・・・」
「一刀様・・・」
「ん! んんん!!!!」
邪魔するなよ・・・稟・・・
「時と場所を考えてください! いや、マジで!!」
・・・鼻血たらしながら妄想して言うセリフか?・・・
「あと、劉備殿とその家臣が見てますよ。ええ、マジマジと・・・」
「うわ~~~~~~」
「はわわわわわわわわ・・・」
「あわわわわわわわ・・・」
「・・・・・・・・・」
「何で続けないのだ!!」
上から劉備、朱里、魔法使いの帽子を被った少女、過去愛紗、鈴々が此方を見ていた。
視姦・・・・・その言葉にトキメイテしまった自分は駄目な子だろうか・・・・・・・
そして、俺と愛紗以外はこの時こう思ったそうな・・・・・・
(駄目だこの夫婦・・・はやく何とかしないと・・・)
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恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。