No.102128

恋姫と無双 ~恋する少女と天の楯~

柳眉さん

 この作品は真・恋姫:無印:妄想=3:1:6の、真の魏を基にして自分設定を加えたものになります。

 ご都合主義や非現実的な部分、原作との違いなど、我慢できない部分は「やんわりと」ご指摘ください。

 作品の感想・誤字脱字・一言言いたいなどありましたら、忌憚なく、バシッと言っていただけたら嬉しいです。「心は硝子」の柳眉が壊れないサジ加減で頼みます。

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2009-10-20 21:01:56 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:13444   閲覧ユーザー数:10235

 

恋姫と無双 ~恋する少女と天の楯~ 其の一

 『胡蝶の夢』

 

 

 

 

「オオォオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

 燃えている。曹魏の旗が翻る船は火に包まれ、敵軍の雄叫びが空気を震わす。しばらくしたら前方から孫呉が、後方から劉蜀が連動して総攻撃を仕掛けるだろう。こちらにはもう戦線を維持する力はなく、兵の士気は見込めない。ここ赤壁での戦は我が曹魏の敗北。それは火を見るより明らかだ。天命は私から去っていき、天意は、時代は、この曹孟徳を求めなかった。相手の数倍の兵を十分に戦いうる将が率いた、それなのに敗北を喫した。つまりは、天が私を求めなかった、ただそれだけだ。それだけのことなのだ。天が私を求めないのであれば、私も天を求めるつもりはない。

 それでも、魏に忠誠を誓った兵をなんとか生きて自国の地に還し、魏の民を巻き込まないようにしよう。それが魏という国を建てた覇王としての最後の責務であろう。

 

 

 

華琳「……もはやこれまで、そうでしょう?」

 

最後の軍議の中、皆の視線を受け、これまで私を支え仕えてくれた一人ひとりを見ながら言った。

 

桂花「ですが華琳様っ!」

 

まったく、この娘は…

 

華琳「……聞きなさい、桂花。私たちは相手の数倍に匹敵する兵力を持ち、十分に戦いうる有能な将たちがいて、それなのに敗れ地にまみれた。これはもはや、天は私から去ったと見るべきでしょう」

 

この期に及んでも、私を全幅の信頼と忠誠をくれる。……それが嬉しかった、ありがとう。

 

風 「……天は覇王ではなく、均衡を求めた。そういうことなのでしょうか」

 

日輪を支える夢を見たあなたに、今の私はどう映っているのだろうか。

 

華琳「どうでしょうね、天意などもはや知らず。天が求めないのであれば、私もまた天を求めない、それだけのことよ……春蘭」

 

改名するほどの決意に相応しい覇王であったのだろうか。ふふっ、風の顔を見る限りどうやら愚問のようね。…ありがとう。それでも、この娘の決意に応えられないことが悲しい。

 

春蘭「は、はっ!」

 

今の話についていけなかったのかしら。相変わらずお莫迦なところもかわいい、憎めない娘ね。

 

華琳「戦場を放棄、撤退する。可能な限り兵をまとめ、一点突破で脱出」

 

だけど、魏武の象徴であるあなたの存在が、どれほど戦場で支えられ、頼りになったか…

 

春蘭「はっ!」

 

言葉に言い表せないくらい、感謝してる。……ありがとね。

華琳「桂花」

 

桂花「はっ」

 

呉と蜀、孫権と劉備なら、略奪などして民を悪く扱わないでしょう。

 

華琳「本城に伝令。曹操は本城に帰らず。後のことは自由にせよ、と」

 

…願わくば、魏の民に被害が及ばないとを。

 

稟 「!!本城には戻らないのですかっ!?」

 

ことある度に突っかかってきた稟。私の気を引こうとしている姿がいじらしかった。

 

華琳「これほど損害を受けたのだ、本城に籠城したところで勝ちを得ることは難しい」

 

華琳「それに本城に籠もれば、両軍の苛烈な攻撃に曝される。そうなれば、兵ならいざ知らず、民をも巻き込んでしまう。……それだけは避けなくてはいけないでしょう」

 

その神算鬼謀を聞き届けていたのなら、孫策と英雄同士の戦が実現できたのだろうか。…今更悔やんでどうする!しかし、訪れることのない「もしも」を戦のたびに思い出すことで、慢心することなく戦が出来たことも事実。嫌われ役を演じる稟がいるから、様々な状況を想定することが出きた。損な役回りを任せることが多かったわね……ありがとね、稟。

 

秋蘭「しかし……我らはどうするのです?」

 

真っ直ぐな娘達が多い魏において、抑えに回ることが出来る数少ない一人。春蘭と並んで公私とも最も長い付き合いの秋蘭。いろいろ気がつく面倒見の良いあなたのことだから、私の見えないところでも多くの苦労があるのでしょう。それでも常に冷静なあなたに、私は幾度となく感情的になったときでも、落ち着きをとり戻すことが出来た。……ありがと。

 

私は、自らを覇王と称したときに立てたの誓いを守ろう。

 

完全なんて存在しない。「何か」を得ようとする者が、代償なしでその「何か」得ることは誰であろうと出来はしない。『この国に住むすべての民の平穏と幸福』その理想を成すことに犠牲が必要なら、1を切り捨てることで9を生かすことが出来るなら、例え誰からも理解されずとも、誤解を受けようとも、すべて受け止め自分の成すべきを為そう。

 

そして、今切るべき1は

 

華琳「我らは――――――――」

 

そこで、華琳の意識は途絶えた。

 

 

 

………………………

 

…………

 

……

 

 気付くと、暗闇の中に居た。ただ暗く、それでいて自分の手ですら見えない程の闇の中。

足の裏以外に何かが触れている感覚がないから、自分が今立っているのだろうと思う。何を言っているのか自分でも分からないが、体重がどこかにかかっている気がしないのだ。なんと言うか「浮いている」というのだろうか、どこか意識がはっきりしない。

 

華琳「フンっ、この曹孟徳とも在ろう者が、よもや気付かれることなく連れ出されていたなんて……相手の技量を褒めるべきなのかしら」

 

 軽口をたたきながら辺りの気配を探ってみても自分以外の存在を認識できないし、危害を加えるものもないようだ。最低限の安全確認を終えて、現状の確認を始める。

 

華琳「そもそも私はいつここに連れて来られたのかしら。最後の記憶は……赤壁の船の上であってるわよね。そう、そこで……」

 

私は、秋蘭の問いに答えようとして…それからの記憶がないことに気付く。考えられることとしては、その辺りで呉もしくは蜀の攻撃を受け船は沈み、私自身気絶して今に至る場合。または…

 

華琳「っ!!」

 

突然、思考に没頭していた華琳の目の前に淡い光の粒が現れ、次第に集まっていき人の形を成していった。存在感から眼前の人らしきものは幻ではなく、実在していることが分かる。身構えるものの、なぜここにいるか、ここは何なのか、その問いが未知のものに遭遇した恐怖を上回り、一呼吸で立ち直り問い質そうとした。

 

華琳「……ここはいったい」

 

??「ここは一つの外史の終端。魏は敗れ、呉と蜀の2国により大陸は統治され、曹孟徳が『乱世の奸雄』で終わってしまった外史。」

 

姿ははっきりしないが、声からして女性のようだ。

 

華琳「…外史?」

 

??「歴史の歩む可能性と思ってくれればいい。」

 

この声から、懐かしさを感じる。

 

華琳「…そう。つまり、外史はこうなっていたかもしれない歴史。私が大陸を治めた外史、戦場で死んでしまった外史などもあるのかしら」

 

??「そうとってもらって構わないわ。それだけ外史は数多く存在し、赤壁で敗北した外史もその一つ」

 

今では遠い昔、幼き日に聞いた……

 

華琳「外史についてはなんとなく分かった。今度はなぜ私がここにいるか。理由があるのでしょう」

 

??「それは……一つの忠告のため。あなたは一人になってはいけない。少女のあなたを護るものを見つけなさい。……あの外史で、あなたは信頼を受けることはあっても、あなたを理解するものが居なかった。あなたと同じ目線で対等な人間は居なかった。だからあなたは理想のため、一人で常に覇王として1を切り続けなければならなかった。もし、あなたを理解することの出来る人が居たら。もし、切られる1を救う人が居たら。あなたは覇王であると同時に年相応の女の子でいることができるでしょう。辛くとも、王としてだけではない、人として、女としての幸せを得ることも出来るでしょう……」

 

人の声に嗚咽が混じる。ああ、この声は

 

??「少しでも幸せになる可能性があるのならば、人の子の親である私が…」

 

どこか暖かさを感じるこの声は

 

??「あなたの親である私が、子のあなたの幸せを願いうのは当然のこと。……どうか幸せにおなりなさい」

 

大好きだった、私のことをいつも気にかけてくれた母様の

 

華琳「待っ」

 

気配が消えていく、思わず呼び止めようとした私の意識は、そこで闇の中に落ちた。

 

 

……………………

 

…………

 

……

 

目を開ける、見慣れた私の寝室の中に居た。火に包まれた船に居たことも、暗闇の中で大事な人に逢ったことも、夢と一言で片付けることは出来ないほどの現実感を持っていた。それゆえに、今がいつなのか曖昧で断言できない。まるで南華老仙の胡蝶の夢のよう。

 

華琳「……冷たい」

 

頬を撫でる空気が冷たい。手を当てると暖かい雫が伝っていた。夢を見て泣いていた、いつ以来だろうか。夢で涙するなど、と自嘲するするも、夢で見た母の死してもわが身を気遣うやさしさに触れることが出来て頬が緩む。素直に嬉しい。

 

秋蘭「華琳様いらっしゃいますか?」

 

秋蘭の声で、我に返る。このまま顔を見せる訳にはいかない。

 

華琳「少し待ってなさい」

 

涙の跡を消して、声をかける。

 

華琳「入りなさい」

 

部屋に足を踏み入れた秋蘭は、私の顔を見るなり心配した顔をしたが、私が話さないところを見て、ここに来た用件を報告することにしたようだ。

 

秋蘭「2件あります。1つはここ数日城下で広まっている噂について。もう1つは近くの州牧の治める地での賊の話になります。」

 

他の管轄地に兵を連れて行くとなると、相応の手続きが必要だ。まして、援軍の要請が現状ない今、すぐに向かうことは出来ない。

 

華琳「…噂?」

 

秋蘭「はっ、管輅という占い師が基になっているようなのですが」

 

管輅ね…天の御遣いのことかしら

 

秋蘭「何でも『白き輝く流星、黒天を裂き天つ楯をこの地に運ぶ。その者治世の能臣を支え、護り世を太平に導くであろう』と」

 

華琳「!!」

 

どういうことっ!!管輅は御遣いの占いではないの?私の『現実の記憶』はどこまでで『夢の記憶』はどこからなのか、その境目が分からない。

 

華琳「……そう、一応気に留めておきましょう。」

 

なんとか動揺を抑え、自然に振舞ったつもりだが察しの良い秋蘭には、違和感があったのだろう。

 

秋蘭「どうかなさいましたか?か___」

 

ドタドタドタッ―――物凄い勢いの大きな足音が部屋に近づく。思い当たるのは一人しか居ない。苦笑して横目で秋蘭をみると、やれやれと溜息をついていた。

 

足音は部屋の前まで来ると、そのままの勢いで戸を開けた。バッターン―――姿を見せたのは案の定というべきか、春蘭だった。だがいつもの蝶を模した眼帯はなく、両の目で私を見ていた。春蘭が片目を失っていないことを嬉しく思いながらも、思考は『今』がいつであるかに耽っていた。

 

秋蘭「落ち着け、姉者。」

 

秋蘭は私の様子を、呆れてものが言えないと受け取ったようだ。

 

春蘭「これが落ち着いていられるかっ!白き流星が流れているところを見たのだ!!」

 

華琳&秋蘭「っ!!」

 

華琳「秋蘭」

 

秋蘭「はっ、おそらくは件の占い師のものかと…」

 

華琳「でしょうね、間が良すぎるとも思うけど…春蘭、その流星はどこに向かったのかしら?」

 

春蘭「はっ!あちらの方角に向かいました」

 

そういって、春蘭は自信満々に大雑把な方向を指で指した。

 

・・・・・・一瞬時間が止まった。様に感じた。

 

華琳「……秋蘭?」

 

分かった?と視線を送る。

 

秋蘭「はっ、おそらくですが。その方向ですとこれから報告する2つ目の場所に近い」

 

華琳「ならいいわ。それで秋蘭、先ほどの報告だけどまだ残っていたわよね」

 

秋蘭「はっ、近くの州牧が治める地に300人単位の盗賊団が拠点を持ち近隣の邑を襲撃していると…」

 

華琳「その話は以前聞いたわね、その州牧から援軍の要請でもあったのかしら?」

 

秋蘭「いえ、どうやらその州牧は自らの領地を捨て身を隠したそうです。」

 

華琳&春蘭「!!」

 

春蘭「華琳様っ!」

 

華琳「これより賊の討伐に出る。直ちに出立の準備をせよ。」

 

春蘭&秋蘭「御意っ!!」

 

 

どうもはじめまして、柳眉です。

 

今回初めて、自分の妄想を文にしてみました。

 

文字にしていく毎に、「あれ、この話し方で合ってる?」「どうやったらテンポよく行くの」

 

「書き方が分からん」などなど、表現が分からないことばっかでした。

 

もし読んだ方がいて評価していただけるのなら、アドバイスいただけるのなら嬉しいです。

 

 

 

 

今後、物語の展開について

 

主人公は北郷一刀ですが、名前だけが原作と一緒なだけです。知識や武力については変更し、性格も変えるでしょう。他のキャラにしても登場の仕方により、主人公に対する好感度や対応を原作とは変えるつもりです。

 

各勢力の人事異動もあります。これじゃバランスが…と思っても暖かい目で、もしくは冷たい目で見てください

 

あからさまにするつもりはないですが、ルートでは魏>呉>蜀が柳眉の好感度です。表現に柳眉の個人的見解が入るかもしれません。そのときはご容赦ください。

 

最後になりましたが、ここまで目を通して頂きありがとうございました。

次にまみえるご縁があることを……

 

 
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