しょーもないバトルによって遅くなってしまった夕食の後、
私は一人、部屋でまったりしていた。
「あ~、くだらないバトルをしてしまった…」
これはまぁ、娘の意地を賭けたバトルだったわけだから、無駄ではないけど、
進まない議論に何時間もかけていたのかと思うと、我ながら恐ろしい…
『女って怖いねぇ』
とは、夕飯前に父事情説明をした時に言っていた言葉。なんだかんだ言って男一人、
父は肩身の狭い思いをしているのだ。
でも…
「何があったのさ。話してくれる?」
母が台所にいるタイミングを見計らっての事情説明。私はこれまでの経緯を話した。
「ふぅん、じゃあえりかちゃんは傘をささなかったんだ」
「だ、だって…」
い、いかん、ここでも形勢不利だ。
「だってじゃないよ。それはお母さんが正しいと思うぞ? こんな時間になるまで強情張ったりはしないけど、
お父さんだって、風邪を引かれたら心配だしね。なかなか強く言えない所が、俺の弱い所だけど」
「ううん、十分。そういう言い方されたら、こっちも強く自己主張できないし…」
やっぱ、肩身が狭いとはいえ、手慣れたもんだ…
「そっか、理解してくれたか。それが、親の本音。いいかい?」
「は〜い」
なんと! この私が素直な返事を! 父め、恐ろしいいい人マジックを…
「じゃ、ご飯を待とう」
「うぃ〜」
てな感じで、事情説明は終ったんだけど…
「この私が素直に負けを認めるなんて!」
もぅ、悔しいを通り越して、すごいよ。
「はぁ、勉強でもするかな…」
あぁ~、お風呂、どうしよう。さっき入ったのは、その場しのぎのシャワーだし。
教科書を広げながら、そんな事を考えていた。
「お風呂…むぅ~~~」
もちろん、下着を替えるつもりはさらさらないけど、入るなら入るで、
行水じゃ済まないのは事実だ。
「めんどくせ~な~」
っとと、いけない。うら若き乙女(小娘?)にあるまじき発言だわ。内容も、言い草も。
「まずは勉強勉強!」
さすがに落ちこぼれるわけにはいかないもんねっ!
結局、その日もしっかりお風呂に入って、乙女タイムを過ごしたのだった。
~つづく~
載小説52編集する2009年10月08日22:56
朝。目覚ましより少し早く起きた。
「ん…明るい…」
むくりとベッドから起きだし、カーテンを開ける。
サァ…!
「っ! っひゃぁ! いい天気!」
目の前に現れたのは、一面抜けるような青空と、所々にのんびりと浮かぶ、
白い雲。
「今日はいい日になるぞぉっ!」
っと、あ、あれ? なんか、世界が…回る?
「あれ~~~…」
「38℃2分、ほら風引いたじゃない。面倒かけて…」
「だから…その事はもう誤ったじゃん…」
はふぅ。どうやら、しっかり風邪の菌が侵入していたらしい…情けない…
「全く…」
というわけで、ベッドの上で母の説教を受けるはめに。うぅ、何が悲しくて…
「それより、何か食べたい。温かい物と果物…」
「あー、はいはい。やっぱり面倒ねぇ。それと、学校には電話しておいたから」
ふぅ…またお小言を言われちゃったよ…トホホ。
「あーい」
「じゃ、今何か作って来るから、出来たら薬飲みなさいよ?」
ぶつぶつ文句を言いながらも、支度をしにリビングに降りて行く。
なんだかんだ言っても、ありがたいもんだ。
「あ、そうだ…」
私はケータイを取り出す。ぼーっとする頭を駆使して、楓と木谷さんに
風邪で休む旨をメールった。
「よし…これでいいか」
こういう時、友達の少ない一年目の春は助かる。三年目だと、きっと大変だろうなぁ。
「はふぅ…」
アイスノンを巻いたタオルが、額に心地いい…
~つづく~
風邪を引いてしまった今日…私はのんびり眠っていた。
朝ご飯を食べて、薬を飲んで、そんな感じだ。
「んん…」
不意に目が覚めた。何時だろう。まだ明るいから、昼間なのは確かだ。
「えっと…」
ケータイを探す。我が部屋にある物の中で、一番手近な時計だ。
「十一時過ぎか…って、メールが二通か…」
多分、楓と木谷さんだろう。ケータイをチェックするだけの余裕はある。
「どれどれ?」
やっぱり楓と木谷さんか…
「うーん、申し訳ないなぁ…」
二人とも、私を心配するメールをくれた。
「返事、返せるかなぁ…」
と、自分の体に訊いてみる。うーん、短いメールなら大丈夫かな。
「よし…」
手短だけど、心配してくれた事へのお礼と、薬を飲んで楽になった事を伝える。
「さてと、お腹も減って来たし、お昼ご飯を食べようかな…」
私はむっくりと起きて、居間に下りて行った。
~つづく~
風邪っぴきの私は、お昼ご飯の後も薬を飲んでおとなしく眠っていた。
「ふぁ…」
不意に目が覚めると、辺りが薄暗くなってた。
「夕方か…」
時間を確認すると、五時。そして、またメールが。
「ありがたいもんだ…」
頭はぼーっとしてる。寝過ぎちゃったかな?
「返事は後でいいか…」
ごめんね。
「にしても…こうして一日寝てると、その日を無駄にした気がするなぁ…」
ずず。
「さてと、もう少ししたら晩ご飯か…」
さすがに寝てるだけだからお腹空かないなぁ。
「でも、よく食べよく寝るのが大事だもんなぁ…」
あ~、今日一日で太りそうだ。明日から、摂生しないとなぁ。
「さてと…」
一応、熱も測りたいし…居間まで行くか。
てとてと
~つづく~
風邪、夜、薬、睡眠。
それが今の私のキーワードだ。
部屋にて一人、のびりしていた。
「さてと、晩ご飯も食べたし、薬も飲んだし、歯も磨いたし、寝るかな」
っとと、忘れてた。
「メール出さなきゃ」
例によって、二人に同じ内容を。
『メールありhがとね
ずっと寝てたから、今返事!
寝まくって食べまくって薬飲んだから、
明日は大丈夫だと思う!
てわけで、明日元気な姿を見せるから
おやすみっ!』
さ、送信っと。
「さて、寝よう」
ベッドに入って、私は静かに目を閉じた。
~つづく~
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第51回から第55回
ストック分を放出してしまった為、次回以降ゆっくり更新となります。