No.100173

真・恋姫無双紅竜王伝⑮~曹孟徳、帝と守護竜王を許昌に迎える~

お久しぶりの第15弾です。前回の投稿はいつだったかな・・・7日前!?猛省です・・・

2009-10-10 19:40:45 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7871   閲覧ユーザー数:6532

「桂花、北で公孫賛が敗れたそうね」

「はい。公孫賛の生死は不明だそうですが」

顔良を総大将とする袁紹軍は、迎撃してきた公孫賛軍を野戦で打ち破り、彼女を居城である易京城に追い込んだ。そして、謀略を以て城内で反乱を起こさせて城を陥落させたのだった。

「華琳様。帝に対して謀反を起こした袁紹を野放しにしておくわけにはいきません。帝を手中に収めたのを機に、袁紹討伐の号令を諸侯にかけてはいかがでしょう?」

郭嘉、真名を稟が曹操に進言する。

「桂花、稟、風。言い忘れていたけれど・・・私はしばらく麗羽と矛を交える気はないわよ・・・風、起きなさい」

「おおっ!?」

うつらうつらと舟を漕いでいた風―――程昱は曹操にツッコミを入れられて目を覚ます。

「何か意見はある?」

「そうですね~・・・風は、華琳様に賛成なのですよ」

ぼんやりとした口調で、程昱は続ける。

「今回の袁紹さんの謀反は、軍内部の意見が統一されたものだとは風には思えないのですよ。間違いなく反対意見があったはずです。とくに穏健派の田豊・沮授と強硬派の審配・郭図達参謀は仲が悪いですから・・・今回の事についても、強硬派と穏健派家臣たちの間で溝が深まったと考えてもいいんじゃないでしょうか?」

「舞人と張遼を借りたいと?」

「御意」

三軍師との密談の翌日、曹操は瞳と私的な対面を果たした。用件は瞳が雇用している織田舞人と、皇帝直属という形になっている董卓軍の将・張遼を借り受けたいというものだった。

「しかし曹操よ、貴殿には智勇を備えた夏候姉妹もあれば優秀な三軍師もある。何ゆえさらに2人を欲するか?その理由を聞かせてもらいたい」

瞳は曹操の事を高く評価している。統治者としても、武将としても一級品であり、彼女に従う武将達も精鋭ぞろいの猛者たちで、北の袁紹に対して彼女が劣っているのはせいぜい領地の広さと官位くらいではないかと思っている。

「正直に申し上げれば、今の我が軍の兵力では袁紹軍には勝てません。敵の将は実質文醜・顔良の2人だけですが、兵の数で押されれば我が軍の敗北は免れぬでしょう。そこで必要になるのは、敵の大勢の兵を震え上がらせ、味方の少数の兵を奮い立たせる武威と武名を持つ将軍の存在が必要なのです」

「それが舞人であり、張遼であるわけか・・・」

確かに神速を誇る張遼―――霞や、ただ一騎で連合軍を半壊させ、その武威と血と炎を連想させる深紅の髪と瞳をもって皇帝を守護する『紅竜王』の異名を持つ織田舞人の存在は現在の曹操にとっては必要なのだ。

「・・・よかろう。舞人と張遼を貸そう」

「はっ!ありがたき幸せ。御無事にお返しする事をお約束いたします」

曹操が指揮下に張遼と織田舞人を加えた頃、幽州において袁紹軍の将・張郃は軍を率いて公孫賛の残党の討伐を指揮していたが、彼女の脳裏には先日内密に訪れた敵将・曹操の使者と名乗った程昱というボンヤリとした感じの少女の言葉がこびりついて離れなかった。

『・・・帝に弓を引いた以上、袁紹さんには未来はありません。陛下は御自身に弓を引いた袁紹さんを許すつもりはないようなのですよ』

『それは分かっている。私とて袁紹様を止められなかった者の一人だからな。しかし私は最後まで袁紹様に従い、散るまでだ』

『・・・今の袁紹さんに、命を投げ出す価値があると本当にお思いですか?』

『・・・』

あの時の程昱という少女に反論できなかった自分の心は、もはや袁家から離れているという事なのだろうか。袁家に長年仕えてきた軍師・沮授も釈放された後、自宅で主君に対する『諌状』を残して自害。その後、その『諌状』が主君に対する無礼であると彼の政敵であった審配によって袁紹に讒言されて彼の家族は処刑された。張郃と幼馴染の少女・田豊も袁紹軍を去った。

「私は、どうすればいいのでしょう・・・舞人殿」

彼女の師である青年が別れ際に残した刀を膝に乗せ、答を求めるように話しかけた。

オリキャラ紹介

張郃

字は儁乂(しゅんがい)。代々袁家に仕える張家の若き当主で、袁家外様の豪族たちと橋渡し役を代々務めてきたため彼らに対する影響力が強い。舞人に弟子入りしていた時期もあり、彼を師として慕っている刀の使い手。真面目な性格で苦労性の顔良と馬が合う。舞人と同じ長い赤毛が自慢。大きさは普通だが、美乳スキル持ちで、文醜や顔良から羨ましがられている。

 


 
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